追記:本記事のホップ加工はスピードシューティングで外部ソースを使用することを前提としたものです。サバゲー等で使用可能なホップモデルに関してはこちらも参照して下さい。




こんにちは、とーるです。



安価で効率的、比較的お手軽、そして効果絶大

クラウンモデルガスリボルバー「やえやまカスタム」の紹介も今回が最後となりました。

ホップパッキンの加工です。


とても重要で最も難易度の高い部分で、細かいコツを言い出すとキリがないため、当ブログでは具体的な方法を紹介するのではなく理論的な部分を紹介するに留まる事を何卒ご容赦下さい。


クラウンモデルガスリボルバーの改造をする人のため、少しでもヒントになればと思います。



(取り外して分解したバレル。画像は訳あってガスリボルバーの物だが、シリンダーを10禁に変更している場合はエアリボルバーの物を加工したほうが良い)

ホップパッキンはフォーシングコーンのカバーを開けると取り外すことができます。これはガスリボルバーもエアリボルバーも共通。

(ガスリボルバーは真鍮製バレルだが、エアリボルバーはアルミ製バレル)

エアリボルバーのアルミ製インナーバレルは、強度や耐久性は真鍮製よりも劣ります。ですが、エアリボルバーの方が安価で手に入りやすいので、消耗品と割り切って使うのがオススメです。アルミ製ならばテーパー加工等もやりやすいです。

さて、ホップパッキン加工は、私はハサミやカッターで丁寧に切って行っています。

下の解説図の通り、ノーマルのホップパッキンは単純なカマボコ型をしていますが、この形状はシリンダーギャップで偏向されたBB弾にとっては相性が良いとは言えません。


(安定した命中精度を出したければ2点ホップが良い)

V型や2点保持型にカットすると、単純なホップアップの効果だけではなく、BB弾の向きを整える清流効果が期待できます。安定して弱い縦回転を加える事ができるためです。

この理論は野球ボールを例に説明することができます。

ナックルボールという変化球があります。ナックルボールは左右の不規則な変化を伴います。これは、ボールに回転をかけずに投げると空気の流れが不安定になる原理を利用した変化球です。ボールに回転が無いため空気抵抗をもろに受けながら失速し、揺れながら落ちるボールとなります。

ナックルボールは投手すら予想できない変化球となるのです。

対してストレートはというと、空気抵抗に対して縦回転を加えるため空気の流れが安定し、ボールはまっすぐミットに向かって行きます。

なので、BB弾に縦回転を加える事はシリンダーギャップはもちろん、場合によっては細かなゴミなどの影響を抑えられる可能性があるので、近距離の精度を確保するためには重要です。

もしこれがガスブローバックやスライド固定ガスガンなら、障害物となり得るホップを無くした方が安定性が上がるのかもしれません。しかしガスリボルバーには、シリンダーギャップという持病が存在するため、必ず安定した弾道になるとは限りませんので、ホップパッキンによる清流効果が安定性向上のために有効と考えています。

ノーマルにはかなわないかもしれませんが、V型ホップならば多少の飛距離を稼いだりもできます。

しかし、これにはなるべく正確にホップパッキンを加工しなくてはなりません。角度がズレてしまうと、弾道が曲がってしまい、スライダーやシュートになってしまうからです。

以下に実際に加工したホップパッキンの画像を載せておきます。

(ノーマル)

(V型に加工したパッキン:ノーマルほどではないがそれなりの飛距離を期待できる。ただし、10禁用のホップパッキンはそもそも効き目が弱いので、飛距離を稼ぎたければ0.12や0.15gの軽量BB弾がオススメ)


(2点保持型に加工したパッキン:ホップはほとんどかからないが、弱い縦回転を加えられるためノンホップとほとんど変わらない精度を実現。また、ホップパッキン自体がシリンダーギャップで偏向されたBB弾を清流する効果も期待できるためガスリボルバーに関してはノンホップよりも命中精度が良くなると考える。ただし、加工やセッティングを雑に行うと逆効果となり得る)


クラウンリボルバーのホップパッキンをカットする弊害として必ず飛距離の低下が起きます。回転数が減るからです。

体感としては、クラウンモデルガスリボルバーの水平発射の飛距離が仮に50メートルだとすると、ホップパッキンをカットした場合は30メートルくらいに落ちる程度でしょうか。

結構な飛距離低下だと思います。

有効射程となると、V型ホップではマンターゲットで15メートル。15センチ円形プレートターゲットなら7~10メートル程度。

しかしながら、ノーマル状態ならば精度が低すぎてそもそも有効射程の概念が無いので、カスタムの恩恵はとても大きいかと思われます。

それに当カスタムでは近距離の命中精度しか求めていませんので全く問題無いです。私はカスタムする際は基本的に2点保持型を採用しています。


(コンパウンドで磨き上げてから組み込んだホップパッキン。バレル内は非常にきれい)

インナーバレルを常に綺麗に掃除しておくことも命中精度の維持にかかせません。


という事で、クラウンガスリボルバーの命中精度向上カスタム、いかがだったでしょうか。皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

最後になりますが、クラウンガスリボルバーのノーマルと、今回の方法でカスタムした物の命中精度を比較してみましたのでご覧下さい。

(左:ノーマルM686、右:カスタムM586。※ターゲットペーパーが無くなったので手書きの的です)

5メートルの距離から、ダブルアクションで撃ちつづけた結果です。スピードシューティングを想定してトリガーはなるべく素早く引ききるようにし、わざとシリンダーの回転速度を上げてより厳しい条件となるように撃っています。

今回使用したM686のノーマルは、当たり個体だったようで、だいたいがA4用紙に命中しています。ガスリボルバーとしては、ダブルアクション連射の割には決して悪く無いと思います。

しかし、カスタムの結果は見て分かる通り明らかに安定しています。

1発だけ、大きく外れてしまった 着弾点がありますが、私のミスなのかシリンダーギャップによるフライヤーなのかは不明です。

しかし、20発以上も撃って、ほとんどが10センチ圏内に入っています。外部ソースによる初速安定性もありますが、リキッドチャージでも結果は似たような物になります。

念のため繰り返し言いますが、これはダブルアクション連射です。

ダブルアクションを連射し続けてここまでの精度を発揮するリボルバーは、箱出しではなかなかありません。それこそ数万円の高級品を購入しないと無理だと思います。

しかし、このカスタムならば、ガスリボルバーとエアリボルバーの金額しかかかりません。
※必要な工具等の初期投資は無視してます



他人からしたら、見た目もいかにも玩具っぽい安価なリボルバーかもしれません。


しかし、そこにかけた情熱は、金額では計り知れない物です。何よりも自分でここまで育てたガスリボルバーという愛着。それに勝る満足感はありません。

ご覧になって下さった皆様、本当にありがとうございました。ガスリボルバーの命中精度について考える際は是非、シリンダーギャップが起きやすくなっていないかを考えてみて下さい。


by やえやまとーる




※エアソフトガンの改造は自己責任です。怪我等に充分注意して、眼鏡や手袋等の保護具を着用して行って下さい。また、法定初速を超えた改造は決して行わぬよう願います。

※解説内容は、必ずしも科学的に検証を行ったものではなく、あくまでもエアガンカスタムを行ってきた経験に基づいた予想です。よって内容の正確性、再現性については一切保証できません。中には間違い等あるかもしれません事、何卒ご了承下さい。