先日、テレビのインタヴューで評論家でドキュメンタリストの立花 隆が残り少ない人生でやりたいことをこう言ってました。再び公衆の知識と学問の最先端の差が開き過ぎてきた。このギャップを縮める仕事をしたいと。評論家の福田恒存だったか、戦前は文化が瓢箪型であった、つまり、極く少数の知識人が専門知識を握っていて大衆の知識のレベルとでは瓢箪がくびれるようなレベルの断絶があった。しかし戦後はラジオ、テレビ、印刷物などから日常的にかなりの専門分野の知識もいれて大衆がかなりの知識をたやすく得ることができるようになり嘗て知識層と大衆層が瓢箪のようにくびれていたカタチからくびれの無い提灯型になったといいました。しかしさらに50年過ぎ今日、高校の化学や生物学が依然19世紀のものを中心に教えていると立花 隆はいっております。現在の分子生物学にしても遺伝学にしても宇宙物理学、古生物学など20世紀後半になってあらゆる科学の分野の進歩はすさまじいものがあるそうです。今日再び知識が瓢箪型に逆戻りしているといいます。しかしかつて提灯型になった知識が科学の進歩が加速化している現在学問全体を新しい科学をもとに再編成して教育の内容を一新することはなかなか大変な一大事業であろう。医学というか発生学というか現代が人間の臓器を意のままにつくってストックすることも将来可能になってきていること、病気の治療が分子レベルになってきている。この半世紀で科学の概念が我々高校時代のレベルから途方もなく進化していったことに感慨をおぼえます。私はつい最近まで文明のこの加速化にむしろ嫌悪を覚えていました。しかしこのスピードを落とすことは不可能のようです。このスピードのなかですでに起こっている問題と今起こりつつある問題近未来に起こるであろう問題を進歩した科学とテクノロジーを利用して解決する努力をするほうが否定するより格段に得策であるということがわかってきました。文明のテンポを変えるのはもはや不可能にみえます。何故なら世界が生き残るために日夜熾烈な競争を闘っているからです。只このスピードのなかで旨く適合できず病気になったり落ちこぼれる者を救い上げるのは大変なエネルギーがかかるでしょう。この文明下で萎えた生命を復活する分野の総合研究が必要であろう。人間は等しく大きな可能性をもつ存在と私は確信しています。人生の目的を個人の物質的欲望の充足に置くからこそ本当の力が出ないと思います。今こそ人間とは何か、日々戻れない時間を如何に意識して生きるか、焦る気持をどうしたら払拭できるか、とにかく小さいときから人間存在と文明のあり方にたいする批判力を身に付けることが世界を良い方向に長い時間をかけてももっていけると思います。100年前までは権力者によって庶民の命など簡単に抹殺できましたし白人、黄色人、黒人と差別されましたが今アメリカでは黒人の大統領も実現しました。世界が現在カオスに見えても人間は進化していることを信じて諦めないことです。ヒロシマ、ナガサキの原爆記念日にアメリカを始め各国の大使や元首が参列する時代にもなりました。また原発事故の問題も今や世界の問題です。世界は生き延びるために熾烈な競争をしていますが、世界が一つの村に向かっていることも確かなことです。竹島をめぐって韓国と険悪な政治の駆け引きをしている現実と日韓両国の若い俳優や歌手などの交流は最近盛んです。やがて心理的に国境は希薄になっていくでしょう。政治権力が体制を強引に維持しようと大衆が望まなければやがて権力でコントロールはできなくなるでしょう。今、中国では沿海地方と山岳地帯の格差を埋めようと行動を開始しています。再び天安門事件を引き起こさないように政府も最新の注意をはらっているでしょう。中国共産党はかつて民衆を蜂起させて権力をにぎったのでその民衆の力を十分知っているでしょう。中国も必死になって13億の民をまとめるのに必死でしょう。しかし100年後には世界が一つの村になる過程で大中国は再びチベット、ウイグル、モンゴルなど分れないないとも限りません。ソ連崩壊後各民族は独立しました。それでみな満足して民族の伝統をまもっています。原爆実験を何百回繰り返したカザフスタンは後遺症で悲劇を生みましたが。これからますます人間は皆同じだということを実感していくだろうと思います。かつてアフリカの高地で最初の人類が何十万年前に誕生したといわれます。最初は黒い肌ともいわれています。それがより良い生活環境を求めて世界に旅たちます。将来地球から宇宙に飛び出すように当時の最初の人類は世界に散らばりそれこそ南米の最南端まで移住しました。この宇宙には地球と同じ水の惑星が無数に存在するという。やがてその水の惑星がみつかり移住するときがあと1万年でできるかもしれません。その頃にはわれわれの地球文明もかなり今とは違ったものになっているでしょう。地球政府ができているでしょう。脳科学もかなり進化しているでしょう。宇宙士が声を揃えていうのは地球には国境はなかったということです。我々は無限の進化の過程にあるのです。だからといって未来の犠牲になる必要はありません。個人は繰り返すことの無い1回限りです。しかしそれは繋がっていくのです。宇宙が無といってもいいものから生じそれがかくも色んなものが生じ世界を彩っています。しかしその背後には常に無がへばりついています。真に色即是空です。そこに慈悲の心があるのかも知れません。我々はあまりに縛られ過ぎています。この夏休みの間星でも眺めてふと我に返りたいものです。