愛する魂の冒険者たちへ
あるとき母の日に際して
両親のすまいに電話をかけたら、
送ったお菓子を喜んでくれたのと
「最近、カラオケのマイクを買って楽しく歌っている。
いろんな曲が入っている」
との話で、
母は歌うのが大好きなので、
声が嬉しそうに弾んでいましたよね。
「へえ、マイク、どこでみっけたの? いいねえ〜」
「ネット通販でパパが見つけてくれたのよ」
とのこと。
(パパ=僕の父です)
美空ひばりさんの
「愛さんさん」や
どこかの学校の校歌?などを
歌いまくっているとのことで、、、
そうか、
そういう楽しみ方もあるんだなあと思いましたよね。
そのころ父母は、自然の中にある
健常者向けの高齢者施設に入居して
父の体調のこともあって
散歩も長くはできない時期でしたがが、
そんななかでも、
なにかと楽しみを見つけられるものなのかもしれません。
それにしても、母だけじゃなく
父も楽しく歌っているとのことでびっくりしました。
父に電話を変わってもらったら
「カラオケの採点機能で90点以上が出たんだよ。
なかなか出ないらしいね」と
うれしそうでした。。。
(2回くらい言ってました)
ところで以前、
母の誕生日にお祝いに行った時、
「人生でよかったこと」について会話したことがあるんです。
こんなことを話してくれました。↓
〜〜〜
(20歳くらいからの)人生どうだった?
よかったよ。
何がよかった?
男運がよかったね。
他の人と結婚してたら、
きっと貧乏してたり、
相手が女狂いしてたりしてたよ。
そういうのってわかるのよ。
そうか。
結婚して55年だもんね。(当時)
すごいね。
いい人と結婚したよね。
いい人すぎちゃってね。
今やってる映画の会とかもね、
わたしが後をついてくることを信じて疑わないわけ。
例えば?
入場者からお金を集めるとかね、
そういうことを、わたしがやってくれるもんだと思ってるの。
それで、やってるの?
やってるわよ。
結局、向こうがあーしよう、
こーしようっていうのに、わたしがついてってるのよね。
じゃあ、いろいろ、こっちから提案っていうか、
自分がやりたいことに誘ってみたら?
そうね。
最近は近場の温泉行くのが関の山でね。
市民は200円でいいのよ。
いいね。温泉か。
なかなか遠くに行く気力がなくなってきてね。
温泉も、パパ一人で行ってきたらって言っても、一人だと行かないのよ。
いっしょじゃないと寂しいんじゃない。
そうね。寂しいのね。
うーん、ケーキうまいわね。
ケーキなんて一年でクリスマスくらいしか食べないから。
あそう?
よかった。
ケーキっておいしいね、フワフワしてて。誰が考えたんだろう。
パパったら同窓会でモテるとかって言ってるけど、そのくらいでね。
その同窓会も大変みたいでね。
ボケ者続出。
ボケ続出?
そうなのよ本当に。
ボケると嫌なこと忘れられるっていうけど、、、実際は大変だよね。
そうよ。ボケちゃったら世間が相手にしてくれないよ。
そうか。世間て大事だよね。
大事よ。
ところで、どうしてそんなに長年、父と仲良くできたの?
パパは一本スジが通ってたっていうか、
自分の理想があって、
ずっと社会正義を求めて活動してたからね。
あんまり女のほうばっかり向いてないっていうかね。
それがよかったわね。
お互いに、自分があったのがよかったってこと?
そう。
わたしのほうは、毎月お給料を入れてもらって、
かわいい子どもたちに恵まれて、子育てして、住む家もあってね。
おばあちゃんにもずいぶん助けてもらったしねえ。
何の不満もないよ。
そうかあ。こんな話聞けて嬉しいよ。
いつもありがとう。
体に気をつけて楽しく長生きしてください。
〜〜〜
自分の親から聞くと、妙にリアリティを持って言葉が迫ってきました。
もちろん、山あり谷ありの二人だったことを
僕だって知っているわけですが、
それだけに
80代、70代までずっと
一緒に歩いてきた二人を尊敬しているんです。(タフですよね!?)
長続きするパートナーシップのコツは、
満足・感謝すること。
それぞれが、自分自身であること。
僕もトライしていこうと思います。
あれから父は旅立ちましたが
ああいう時間を持てた両親を
目撃できたこと、
神様に感謝します。
お父さんお母さんありがとう。
(ある年のお正月の写真)
今日も命にありがとうございます。
西田普
にしだあまね