今日は、おかげさまで大好評をいただいている、
小林正観さんのCDブック『神様を味方にする法則』から、
越後屈指の大地主である伊藤さんのエピソードをご紹介いたします。
■本物のお金持ちは「お金をどう貯めるか」を考えない
ほんとうのお金持ちというのは、「いかにお金を使うか」ということを一生懸命に考えている人たちらしい。
「お金をどう貯めるか」を考えている人ではないようです。
新潟市の横越町という町に、北方文化博物館という建物があります。
越後屈指の大地主である伊藤さんというかたの屋敷ですが、敷地8800坪、建坪1200坪、母屋の部屋は65室もあって、個人の家では日本最大であろうと言われています。
その屋敷を、8代目当主の伊藤さんは北方文化博物館に寄贈し、博物館の館長をされています。
1964年に新潟大地震がありました。
マグニチュード7.5の大規模地震で、横越町も大きな被害を受けました。
しかし伊藤家は、なんの被害も受けなかった。
瓦1枚落ちず、壁にひびさえ入らなかった。
この家はすごい、という話になりました。
私も博物館にうかがい、館長の伊藤さんに案内をしていただいたことがあります。
伊藤さんは、このような話をしてくれました。
大広間の前に池があり、その奥に小さな築山があります。
高さ5m、幅10m。ブルドーザーなら2時間でできるかもしれません。
その小さな山は、完成までに3年半もかかったそうです。
「なぜ3年半もかかったのですか?」と、私は聞きました。
伊藤さんによると、昔、新潟で3年間飢饉が続き、米がまったく取れない時期があったそうです。
そのとき、伊藤さんのお父さんかおじいさんが、近隣の農家に声をかけ、築山を作らせました。
しかも「機械をいっさい使わず、手だけで作ってください」と言ったんだそうです。
お年寄りも小学生も、みんな築山を作りました。
■「あなたのおかげで、一家心中せずにすみました」
子どもだった伊藤さんは、なぜそんなことをするのかわからなかったそうです。
全部できあがってから、こう聞かされました。
「お金というのは、いつどのように使うかをいつも考えていないといけない。
なぜ手だけで作ったのかというと、長い時間と、たくさんの人手が必要になるから。
その間、みんなにずっと賃金を払い続けることができるから」
その後、伊藤さんは近所の農家から、このように言われました。
「伊藤さんのおかげで、一家心中せずにすみました。あの仕事でどれだけ助かったことか」
周りの人たちはきっとその後も、
「伊藤家に富を蓄えていてもらいたい」
「伊藤家に仕事を頼み、伊藤家に富を蓄えれば、いざというときに、伊藤家は私たちを助けてくれるだろう」
と思い続けていることでしょう。
日本最大級のお屋敷にもかかわらず、伊藤家には、妬み、嫉みは一度も浴びせられなかったと聞きます。
新潟大地震で多くの家が倒壊したとき、伊藤家だけが無傷だったのはなぜか。
この家は、そのとき食べ物からなにから、全部放出した。
65室の住まいでは、家を失った人たちがしばらく生活しました。
「この家だけは、近所近隣の助けとなるから、傷つけないようにしよう」と神様は思ったのではないでしょうか。
伊藤家は「いかにお金を貯めて、自分だけがいい思いをするか」を考える家でなく、「いざというとき、いかに周りの人々に喜んでもらえるか」をいつも考えていた家だったからです。(続く)
~『小林正観CDブック 神様を味方にする法則』
1章「お金と仕事へのありがとう」より
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