専決処分に関する全員協議会は終了。こんな暴挙を許したら、議会は不要 | いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

第一子誕生をキッカケに地域に目を向け色んな「縁」のおかげで地域に生きる“日常の豊かさ”を実感。2013年市議会議員初当選。2017年市議選でトップ当選、再び市政の最前線へ。2022年11月27日市長選挙75%の得票、当選!市長となる。

10月4日(火)、小金井市議会は西岡市長の専決処分についての全員協議会が開かれ、終了しました。丸3日かかりましたね。…10月7日の専決処分についての承認議案に注目が集まります。公立園廃園の是非は色々あるでしょうが、それとは別として、今回は首長による専決処分の濫用について地方議会を代表してしっかり「これは暴挙である」と示さないといけません。

 

 

 

 

この全員協議会でわかったこと(まとめ)

 

【経緯】

◯9月28日の本会議終了後、市長は専決処分を決断。緊急の庁議を開き、約3時間にわたって協議があった。

◯この庁議において、大多数の出席者(部長職者等)から意見があった。

<庁議で出された意見>

「議案が継続審査とされたことを理由とした専決処分の事例等はあるのか」、「地方自治法の『議会が議決しないとき』に該当するということで法定に問題はないのか」、「議会の方で『厚生文教委員会で継続』という判断をした段階で専決することに問題はないのか」、「専決は大きな事件となり、様々な大きな意見・声が上がるのは明らかである。そういったところで、会期が残る中、混乱が必至であるので、今後どのように信頼関係という点で、今後調整等大きな影響が懸念される中、どういった形で考えているのか」、「もう1年ぐらい延ばすのは」、「スケジュール的な見直しは」

◯副市長からは、庁議とは別で以下の見解が示された(市長が代弁)

「あまり例のないことなので、要件に該当しているのかという議論が出てくる可能性があるのではないか」

「今後の議会との関係性をどうしていくのか」

「最終的には市長の判断を支えていきたい」

◯9月29日(木)決算審査初日の昼休憩に専決処分した。12:20頃に議長へはじめて報告→議会で周知の事実となる→決算審査を止めて翌30日に全員協議会を開くことを決定

 

【状況】

◯専決処分にあたり、判例について2件あることは市長は確認したが、判決文まで読んでいない

◯顧問弁護士には、専決処分の要件のみを確認したが、具体的な今回の事案が適法なのか等の見解は確認していない

◯学識者(有識者)には今回の専決処分についての見解を確認していない(専決処分前も、指摘された後も)

◯公の施設の廃止に関する専決処分の事例は見当たらず

◯継続審査案件の専決処分の事例は、全員協議会で指摘されてはじめて明石市の事例のみ抽出(ただし臨時会における補正予算についての事案)

 

【専決処分の理由】

◯「期限」がある議案について、市議会厚生文教委員会が参考人質疑を決め継続審査となった(9月27日未明に決定、9月28日の本会議で委員長報告で確定)。そこで、R10年3月末に2園を廃園するスケジュールに沿って、来年4月入所の募集で2園の0歳児募集停止を周知するために、ここで市長は専決処分を決断。

※この「期限」とは、施行日(R5年4月1日)ではなく、廃園条例を議決して欲しいスケジュールのこと(だそうです)

=ここで議決をすれば、来年4月の入所募集段階で2園の0歳児募集をしないことに間に合うという論法。

=あくまで市長がR10年3月末の廃園という廃園方針のスケジュールにこだわる

 

【地方自治法の解釈について】

市は、地方自治法第179条にある「議決すべき事件を議会が議決をしないとき」にあたると解釈。議会が継続審査を決めたことが「故意に議事引き延ばしをはかった」と捉え、事実認定した(らしい)。

 

 

 

 

これは、市長による議会の議決権への越権であり、専決権の濫用でしかない

 

昨日も書いたのですが、市長と議会は「対等」と言われますが、実際は市長に圧倒的な権力があります。しかし、議会に「議決権」があるからこそ「対等」といわれる所以です。それを越権行使したことは、到底許されるものではありません。…ただし、専決権そのものを否定するつもりはなく(これまでも緊急時に専決処分したことを承認してきた)、今回の内容と状況からして、「市長の思う通りに政策が進まないから」という理由で専決処分することは、地方自治法の趣旨から認められていません。

 

「廃園するためには条例制定が必要。条例制定のタイムリミットは提示してあったがそれまでに議会が議決しなかった」

→ 「議会が議決をしないときに該当すると判断」

 

こんなひどい論法はありません。

 

なぜなら、何度も何度も聴いても

 

R10年3月末に2園を廃園にしなければならない客観的な根拠はない

 

からです。これについての答弁が出ません。

 

<市長が全員協議会の冒頭で述べたこと>

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今回の専決処分を行った背景には、園舎の築年数60年が迫る園もある中、子どもの安全を第一に考え、老朽化した施設への計画的な対応を行っていく必要があり、来年4月から順次これを進めていかなければ、そのリスクは年々高まるほか、施設老朽化以外にも人材確保の困難性、国や都からの財政支援がないという財源の課題などもあり、このままではいずれ運営に支障が生じる可能性も大いにあると考えています。

 

また、すこやか保育ビジョンに掲げた保育の質の維持・向上のための施策やこれまで課題となっていたサービス拡充を行うためには、さらなる人材確保が必要であり、市政運営の観点からも、さらに職員を増やして対応していくということは困難であると言わざるを得ません。

 

さらには、待機児童も減少してきており、逆に市内民間保育園に空きが出ている状況に加え、今後、人口減少が見込まれる状況もございます。これら、様々な状況を踏まえた上で、今後、計画的に進めていくためには、少しでも早く着手する必要があり、「小金井市立保育園条例の一部を改正する条例」をご提案させていただきました。

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…これらはもっともらしく聞こえますが、だからこそ、しっかり審議をしないといけない。市が結論ありきで昨年突如としてどこでも議論されてこなかった「廃園」という方針を決めたことから、すべての公立園の父母会からも抗議文等が何度も提出されてきました。有識者の意見を聴くために参考人承知を決めたのです。

 

 

そしてあくまで「少しでも早く着手する必要」なのです。繰り返し言いますが、R10年3月末に2園を廃園にしなければならない客観的な根拠はありません。

※公共施設個別施設計画では、建物の状況を調査し専門家によって対応のスケジュールも書かれてありますが、「R12年迄」に抜本的な対策を施すことや、「部位修繕を行う」というものであり、「老朽化」といえばそうですが、R10年3月末に専決処分してまで廃園を決めなければならない状況ではありません。

 

結局、西岡市長の政策意思であるその廃園期限に向けて段階的縮小をスタートする事務スケジュールの期限でしかない。

 

 

有識者からは、厳しい指摘の数々…

 

以下、新聞報道でも有識者の取材コメントが掲載されています。

島根県立大の岩本浩史教授(行政法)は「専決処分は地方自治法で認められているものの、補充的で例外的な手段。条例改正では、国の法改正に伴う形式的なケースでしばしば使われるが、今回の事例では審議を経て改正するのが望ましいのではないか」と話している。

(引用)東京新聞 2022.9.30

 

また、この岩本教授の論文では以下のように書かれてあります。

「議会において議決すべき事件を議決しないとき」 という要件についても、 基本的には長は議会が議決を行うのを待つべきであろう。 議会の不作為が、 意図的なものか、 自然災害によるものか、 あるいは、 案件の性質上審議が長引いていることによるものかを 問うべきではない。 そうであるとすれば、 やはり、 緊急に処理することが必要な案件であることを要すると解される。

(引用)「長の専決処分」(2011年3月) 島根県立大学 総合政策学会

 

また、地方自治に詳しい大正大学の江藤俊明教授は、次のように述べています。

賛否が分かれないようなものを除き、専決処分は大震災などのきわめて例外的な場合にしかできないと強調する。「議会は様々な問題点をあぶり出し、よりよい政策を作るためにある。未知の危機といわれたコロナ禍の対策ですら、専決処分ではなく議会で議論を尽くすべきだった」と指摘する。小金井市の判断については「保育園は生活に密接に関わる。議会が継続審査としたということは、それだけ大切な問題ということ。時間をかけて議論すべきではないか」

(引用)朝日新聞 2022.10.01

 

 

繰り返しますが、これは市長の専決処分権の濫用です。議会には議決権があるからこそ圧倒的権力をもつ市長と対等であり、議会は住民から選挙で選ばれているため、この議会の議決権を奪うということは、住民自治の破壊そのものです。

 

「私(市長)の思い通りにいかないから、専決しちゃいました」


これはとんでもないです。これがまかり通るなら、首長は何でもできます。これなら議会は不要となります。決してこの違法性の高い専決処分を許してはいけません。さすがに議会がこれを承認したら、全国地方議会の恥です。自治体業界の笑いものであり、100年にわたって小金井市のみならず小金井市議会も誹りを受けることになります。他の自治体へ行政視察にいくたびに「議会権能を放棄した首長の追認機関が来た」という目で見られるのでしょうね…。

 

 

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【白井亨(しらいとおる)Profile】

1975年生まれ/大阪府枚方市出身/関西大学社会学部卒業/民間企業にてコミュニケーション・プランニングや商品開発・企画・マーケティング業務(1999年〜2012年、2016年)/一新塾30期生/家族は1人の妻と2人の小学生/元高校球児(背番号17番の副キャプテン)/Mr.Children好き/得意料理はコロッケ、餃子、メンチカツ/家事担当:毎日の朝ごはんと休日のご飯全部、洗い物全般、台所周りの掃除/富士山は3回登りました(2回目は登頂手前まで)、最近は毎週日曜日早朝6kmランニングを続けています(夏はサボりぎみ)/国家資格キャリアコンサルタント試験合格(第20回/2022年7月試験)→現在登録申請中

 

小金井市議会議員(会派:小金井をおもしろくする会・2013年4月~2015年10月迄、2017年4月〜)

2007年に当時の勤め先の転勤で東京へ。吉祥寺や三鷹に住みたかったが家賃が高くて西へ流れ、小金井市に偶然住むことに。2010年まで政治に無関心市民。息子が産まれたため地域デビュー、小金井市政のごみ問題などがキッカケで市政・市議会に関心を抱き陳情書を提出したり、地方議会に関する勉強会に参加するなどして「地方議会がもっと機能すれば小金井市はいいまちになる」と確信。結局「自分でやったほうが早い」と思い立ち2013年3月、政党無所属、特定の組織・団体からも支援を受けず素人市民のみでチーム(政治団体)を作り、市議会議員選挙に臨み、ギリギリ当選(966票で24人定数/34人立候補/20番目当選)。

 

2015年12月13日の小金井市長選挙において、「他の人に任せておけない」と市議会議員を2年半で辞職。告示まで残り1ヶ月強の段階で急遽記者会見を開き無所属で出馬するも、2,408票差で惜敗。2017年3月市議選、3,709票を得てトップ当選(過去最多得票)し再び市政の最前線へ。2021年市議選では第2位当選(現在3期目)。

 

“日本最大の政策コンテスト”マニフェスト大賞2020年、2021年実行委員長。ローカル・マニフェスト推進連盟共同代表(2020−2022)

 

<活動の特徴>

◯日本一わかりやすい(自称)市政報告会「議会カフェ」「議会ナイト」を定例会前後に開催

◯住民とのコミュニケーションはPlanning、Design、Contents を大切に

◯情報発信NO.1★ブログ365日更新中 ※2019年1月30日より(市議選投票日を除く)

 

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