父がまだ元気だった頃の事です
両親、次子(妹、母からは次女)や三子も招待して
有名な老舗温泉旅館宿泊(部屋で夕食、朝食付き)を奮発しましたが
母と妹たちには文句ばかり言われました
昔から
何かとケチをつけられ貶される私ですが
招待してあげた甲斐がなかったな
落胆して眠れず
露天風呂に入って気分をスッキリさせようと思いついて
朝靄のかかる中、湯殿に向かいました
すると
一番乗りと思ったのに
先客がいました
紅葉の陰に
年配の女性が半身で湯に浸かっていて
靄と湯気に溶け込んでいます
「お早いですね
お邪魔させて頂いていいですか」と声を掛けると
「おはようございます
どうぞ、どうぞ」
と、上品で気さくな方でした
それから、その女性と私は
誰と来たのか、いつから来ているのか、
といった世間話を交わしました
彼女が、あまりにも近くから来ていると言うので
私は驚きました
この旅館には年に何回も訪れて
連泊する習慣で、(お金持ちなんだなー)
四季折々の景色も料理も気に入っているのだそうです
「あなたも気に入られたでしょう?
あちこち行ったけど、ここは最高よ」
ぜひまた来たいですね、
義母も旅行に連れて行く予定があって
他を予約したけど
ここの方が良かったかな、などと話しました
「今日はあなたのご家族で、
次は旦那様のご家族を接待するの?」
「いえ、義実家は、義父は亡くなっているので義母だけです
うちは、
実は私が長女で、次女は未婚で、三女は出戻りで
父も母も、いつも妹たちが不憫で堪らないと言うので、夫と相談して家族ごと招待したんです」
「まあ…あなたとあなたの旦那様は素晴らしいわ」
「そうですかねー、
義実家と実家はなるべく贈り物など
分け隔てなくしてきたんですが
今回は実家に偏ってしまい、夫には申し訳ないです」
「全く同じにするのは無理よ
どちらの家族も大事にしたい、という
心掛けが立派なのよ
あなたの妹さんは、近いうちに必ず結婚されます
下の妹さんは、心の傷が癒えるまで暫くかかるけど
必ず立ち直られます
そして、あなたのお母様も旦那様のお母様も
あなたたちに感謝されますよ」
「そうなればいいんですけど
今まで、母と義母から
夫も私も感謝された覚えがないんですよね
それに妹はもう50歳、そんなご縁があるでしょうか
下の妹もずっと塞ぎこんでいます」
続きます
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