ピーターソンの急所を捕らえさせない技術に手を焼いていた。
日本においては数十年単位でみてもミドル級一番の選手で現時点でもパンチ力&パワーなら
世界のTOP選手と比べても遜色ないと思うけれども先行きに不安の残る試合内容でした
先行きに不安が残ったのは試合前のこの発言も連関している。
デイリーからの抜粋(村田、ボクシング界の傾向に苦言)という見出しで
(ブラッドリー×マルケス)
「熱狂するような面白さがなかった。ディフェンス主体が世界の傾向になってるが、
それでいいのかと思う。僕は前に出るスタイルを変える気はないし、
感情をむき出しにしたい。それがボクシングの魅力」と力説」抜粋ここまで
村田によるとディフェンス主体が世界の傾向に成っているということですが
TOP選手でみるとパッキャオもドネアもアグレシッブな選手でマレスやマティセもファイターなので
事実としては軽、中、重のTOPシーンで勝利しているのがボクサータイプというだけで
この状況は傾向というより結果とする方が正しいでしょうが
カントやサパタに日本人選手が翻弄されてきたようにボクサータイプなんて昔からごまんといた。
それにボクサータイプもディフェンス一辺倒で勝っているわけではありません
JCスーパースターの強さの基盤はディフェンス力でタイソンもピーカブー(&スピード)が
影を潜めてから黒星が増えていったように高水準のディフェンスが出来ないような選手は
世界のTOPで大成するのは難しくファイター、ボクサーに関わらず
TOP選手は卓越したディフェンス力を持っている。
つまり側面に持つ能力に応じて比重をどちらに置くかで
ファイターとボクサーなどに分割されているだけで
例えばメイウェザーの側面はパンチを当てる能力に長けている事にあるというのは
メイウェザー×カネロの数字を見れば理解できる。
メイウェザーは505発中232発と46%の的中率 175パワーパンチ
カネロは526発中117発と22%の的中率 232パワーパンチ
と高いディフェンス力とヒッティング能力に長けているのが表れている。
相手がディフェンス主体ならなぜもっと攻勢をかけないのかという話になるけれども
カウンター(罠)が待ち受けているのを水準の高い選手なら当然、理解しているから
踏み込まない(踏み込めない)だけで相手がカウンターも打てない低い水準なら
踏み込んで打っているし、逆にカウンターが待っているのを理解できない選手は罠にかかり
KOされている。ファイターの突進を止めることがボクサーの技術とすれば、
それを破るのがファイターの技術でしょう。その技術のなさをボクサーの責任に押し付ける傾向がありますがゲスタがIBFのライト級タイトルマッチでバスケスに手も足も出せなかったけど
あれもバスケスの責任なの?無論、あれはパンチ力はあるがそれ以外はなかったゲスタの問題で
足を止めるというファイター有利のプロテクトを施すのを一般的には(いかさま)と言います。
マルケスはクリスジョン戦でもわかるように以前からボクサーのテクニシャンは不得意であった
陣営がカサマヨル戦を前にして不安を感じたぐらいだ、要するにブラッドリー陣営は
マルケスの弱点を知り対策を練った、マルケスはその対応が出来なかったという戦術の問題で
実力が拮抗したTOP選手同士の闘いとなると、こうした戦術によって勝敗に影響もでてくる
TOP戦線では相手の弱点を付くのも重要なのです。
マルケスがパッキャオを倒したのもパッキャオの左ストレートの逆手を取った戦術でしょう。
ブラッドリーはアマチュアで140戦を超える経験をしているのでボクシングもできますが
どちらかというとライトウエルター級時代はアグレシッブなファイタータイプでしたから
引き出しを多く持っていたということでしょう。
ちなみにマルケス×ブラッドリーを数字でみると判りますが
ディフェンス主体という割にはそのパンチ数もそれほど変わらず
ブラッドリーだけがアグレシッブでないというわけではない。
マルケス 455 153発 ブラッドリー 562 168発
ジャブ 169 38 337 82
パワーパンチ 286 115 225 86
ディリーの内容どおりだと見方次第で軽薄で傲慢な発言に感じとれるけれども
ガルシア×マティセのゲストに出ていた時の話などを聞いた印象では
後にスポーツ報知から出ていた
報知抜粋(「技術うんぬんではない。相手をぶっ倒し、見てる人を引き付ける試合をしたい。
感情を出したい」。世界5階級制覇のフロイド・メイウェザー(米国)ら守備技術にたけた世界王者が
優勢の時代に、殴り倒すボクシング本来の醍醐(だいご)味で勝負を続ける覚悟だ。)ここまで
こちらのニュアンスの方が彼らしいと思うからファイターの立場としての視点&抱負だと
理解できますが、もとよりこの話題のおかしな所は
村田のアドバンテージというのは強健とパンチ力で、それを活かしたファイタースタイルにあるから
前に出る以外に何があるのか?という結局はメディア希望のリップサービス
なのかもしれませんが、こういうことが言える対戦相手のうちは宜しいでしょうが
ミドル級は選手層の厚い階級、いずれ高水準のディフェンスを必要とする
対戦相手と戦う機会があるでしょうから、その時にどうなるのか
「技術うんぬんではない。相手をぶっ倒し、見てる人を引き付ける試合をしたい。 感情を出したい」
という考えに捉われすぎて荒っぽい攻撃になったりデェフェンスが疎かになって
ウィークポイントが出たりするのは賢い選択だとはいえない。
ディブ・ピーターソン戦ではそれが垣間見えた先行きに不安を感じたというのはこのことです。