12日、キエフにあるウクライナ議会で開会式が行われたが
与党議員の就任宣誓を野党議員が妨害したことで与党議員と野党議員入り乱れての大乱闘となった。
http://www.afpbb.com/article/politics/2916678/9991553
2人の元野党議員が与党に寝返ったところで与党が多数という事は変わらないとも思いますが
youtubedeで
9月にモスクワのオリンピスキ・スタジアムで行われたWBCヘビー級タイトルマッチは
4回に挑戦者で同級7位のマニエル・チャー選手の右瞼の傷から夥しい出血が生じ
これをドクターが続行不可能と判断、レフリーが試合をストップ
チャンピオンのビタリ・クリチコ選手が9度目の防衛に成功した。
同年9月8日にアメリカで行われた、トマス・アダメク×トラヴィス・ウォーカーの試合
(ダウン応酬の激しい試合の末、アダメク選手が5回TKO勝利)を見ると
その試合の勝者であるアダメク選手を一方的に退いたビタリ選手の実力に疑問符が付くことは
あり得ないが、その後のチソラ戦や今回の試合についてゐうと
安定感はあると思うけど往時の頃に比べれば、あらゆるスピードが落ちていて
攻略することが十分可能に見えた。
ビタリ選手はUkrainian Democratic Alliance for Reform Vitaliy Klychko
ウクライナ民主同盟ビタリクリチコの改革、党名UDAR(ウダール)通称ブローという
新党を2010年に設立して党首に就任
10月にも行われるウクライナ最高会議選で議席獲得を狙っていて
その結果如何によっては2度目の引退を表明するのではないかと噂されている。
(後日の本人談ではそれを否定している)
政党のスローガンは国の成功は個人の成功からというもので
イデオロギーは以下のもの
自由主義
腐敗防止
ヨーロッパ主義
①民主主義国家としてウクライナの発展
②法の支配を確実のものとする。
③社会的市場経済(ドイツの首相でキリスト教民主同盟のエアハルトが実践した。)
簡単にいえば基本は市場経済だが、それを国がコントロールする中国みたいなもの。
ビタリ選手の政治に関する経歴は
2003年慈善団体 クリチコ兄弟基金を設立
2006年にはオレンジ革命に傾倒する青年組織Pora-PRP連合のリーダとして
キエフ市長選挙に出馬するも落選
2008年再びキエフ市長選に再出馬するも落選
2011年には大統領が運営している国立アカデミー(行政学)を卒業
そこでウクライナの社会成長のマネジメントを学んだ。
5月の時点で政党の支持率というか人気は12%と3番目に付けていて、
情勢に大きな変化がなければ、UDARはそれなりの議席を獲得することになるだろう。
そしてビタリ選手は党の政党名簿の1位に名前が載っている。
(ウクライナは比例代表制で得票数が全体の5%を得れれば議席を得られる。)
ウクライナはオレンジ革命以後、革命を掲げる(変革といった方が正しいと思う)という社会現象が
ルーチン化しつつあり、Sociological group RATINGの12年2月と5月の調べでは
今回の選挙も第一党である地域党を抜いて前首相のユーリヤ・ティモシェンコ氏が
率いるbyut(Blok Yuliya Tymoshenko)が支持率を集めてTOPに躍り出ている模様
ただし、オレンジ革命の先導者ティモシェンコ氏は報道されているように
現在、ガスプロム社との契約に関する職権乱用罪にて7年の刑を言い渡されて服役しており
(背中の痛みを訴えて現在は療養中だとのこと)
2012年6月には最高検次長検事のレナト・クジミン氏から
1996年に起きた議員殺害に関与した罪で起訴するとされていて不確定な要素を含んでいる。
12年2月 Batkivshchyna祖国 19・6% 地域党18・2% UDAR 4・3%
5月 Batkivshchyna祖国 25・6% 地域党 23・4% UDAR 7・6%
そして、2012年10月28日にウクライナの最高会議選が行われ
与党第一党の地域党が事前予測よりも大幅に支持を集めて187議席と
第一党の議席数を守り連立を組むAll Ukranian Union Svoboda(ウクライナ共産党)の38議席
と無所属44議席をあわせると過半数を得るということです。
これについては、OSCE(全欧安保協力機構)の監視団から
不公正なところがあったという報告も出ており、101議席を獲得した祖国を率いる
受刑中のティモシェンコ氏も最も不公正な選挙だと批判をしていて、
ハンガーストライキも辞さない構えだということです。
ちなみに13・97%の支持を集めたビタリ選手率いるUDARは450議席中40議席獲得した。
UDARは7月の時点では与党の地域党には協力しないと表明していることから
今後、与党と野党の争いは激化しそうな様相です。
これは、そもそも政策について考えの違う政党が議席欲しさに統合のふりをする日本とは違い
元々、前大統領で親欧米派のビクトル・ユーシェンコ氏を支持していたビタリ氏からすれば
政策が違う親ロシア派のビクトル・ヤヌコビッチ氏の反目に出る事は至当であります。
(JBプレスの藤森氏の記事によればビクトル・ヤヌコビッチ氏の親ロシア派というのは
言われるほどのものではないらしくEUとの関係拡大にも取り組んでいる。)
ただし、野党も反汚職、親欧米派という政策面では共通する点もありますが
ビクトル・ユーシェンコ氏を実質、追い込んだのはユーリヤ・テモシェンコ氏で
あることから一枚岩とは言えず同じ野党として合従連衡していくのかは不確定です。
ウクライナにとり親欧米派、親ロシアというイデオロギー
(ホロドモールの影響、ビタリ選手も少年時代に祖母から話を聞かされている)は
経済と安全保障の観点から見ても最重要案件で国民の生活にも大きく影響している。
特に、ロシアに頼っているガス供給に関するエネルギー問題は2004年のオレンジ革命で
親欧米派のビクトル・ユーシェンコ氏が大統領に就任、これまで同盟価格で供給を受けていた
天然ガスの値上げを翌2005年に通告されている、これについては西欧と同じ市場価格であり
EU、NATO加盟を目指すウクライナに対して値上げするのは妥当であるので
政治的な意味合いは無いとするロシアと政治的な思惑もあるのではという2つの見方が存在していて
親ロシア派であるビクトル・ヤヌコビッチ大統領下で合意した天然ガスの値下げには
欧州安保の観点からウクライナに駐留しているロシア黒海艦隊の駐留期限延長
(2017年から25年間延長)がパッケージされている。
また、ロシアから欧州に供給されている天然ガスの80%がウクライナの
パイプライン経由であることから、その影響は欧州まで波及していて
(ウクライナが欧州行きのパイプからガスを抜き取ったという疑惑がある。)
経済に関してもEU加盟(安定化・連合プロセスを2008年9月に交渉開始)を目標とするウクライナとロシアが推進するユーラシア経済共同体(EAEC)共通経済空間(EEP)
そしてロシア・カザフスタン・ベラルーシの関税同盟条約
との間でガス問題やNATO加盟を絡めて権謀術数がめぐらされているのでしょう。
エネルギーを他国に抑えられているというのは首根っこを押さえられているのと一緒ですから
再生エネルギーやシェールガス、そして現在、約50%の原発の比率を上昇させても
ロシアの天然ガス供給の依存を減らしてエネルギーを国産で賄いたいと
ウクライナが考えるのは当然であるけれども、ご存知のようにウクライナのキエフといえば
ビタリ選手が市長選に立候補した地域でありますが、
1986年にキエフから北西のベラルーシとの国境近くで
チェルノブイリ原発事故が起きた場所でもあるから、
原発に対してアレルギーを持っているはず
しかし、ジレンマを抱えていても、それでもというのが現実的な答えなのでしょう。
ちなみにビタリ選手の父親ラビノヴィチ氏はチェルノブイリ原発事故の
処理を指揮する一人として参加していたそうです。
さて我らWBCヘビー級王者と王者率いるUDARは乱闘に参加せず
ビタリ議員は腰に手をやりあきれた表情で乱闘を眺めていました。
乱闘ならお手のものでしょうけどユシチェンコ毒物事件や
西側から疑念を持たれているティモシェンコ事件がある国
ボクシングでは無敵の王者ですが、油断なさらぬように。
おまけ
こうしてみると、どこかの国と類同している。
中央銀行に圧力掛けたりと、何やら推し進めているようだが、
アジアの方もTPPとRCEPで駆け引きがあり
エネルギー問題も解決の糸口はまだ見えていない所にシベリア経由でガス供給という
話も出ている、ホント、大丈夫かしら。
23日フジテレビの朝の番組に次期総理が出演して政策アコードと話されていたけど
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qaeconomy/20121106-OYT8T01015.htm
これが正しい政策アコード、政策アコードの本質を理解していない。
其れをアンカーとか誰も指摘できないで頷いている。
BSでCNNとか見ていると政策とかには当然だが専門家が出てきて
専門的な話になるのだけれども、アンカーも最低限の専門的な知識を持って
話を聞きだしている。右上の部分にバラエティというテロップをつけてもらえないかな。