レッテル貼りの大好きな日本ボクシング村ファンが主張している

あきれるぐらい碌でもないらしい試合に触れてみよう。

5月1日(日本2日)ロシア・モスクワでWBOミドル級タイトルに挑戦するのは

WBOミドル級11位の石田順裕選手

そして5月5日にはシンガポールでWBAフェザー級ランキング14位の木村章司選手が

WBA(スーパー)フェザー級タイトルに挑戦する。5月12日ウクライナでは

WBAミドル級9位の淵上 誠選手がWBAミドル級タイトルに挑戦する。

見て判るようにいずれの日本人挑戦者も世界ランキング下位であるから

日本ボクシング村ファンの主張するあきれるぐらい碌でもないランキング下位との

世界戦に該当する、外国人は駄目で日本人なら良いという理屈は通らないから。



予想としても不利なのは否めない、しかしそれはランキング下位だからではない

偏にチャンピオンが強いのと中量級はランキング云々関係なしに
日本人選手がミドル級に挑戦したという例はこれまで三例しかない様に

東洋の選手にとっては厳然とした階級だからということに他ならない。

(現在、チャンピオン入れても8人でランキングが構成されている日本ミドル級の選手層)

はたして難関に挑む彼らの試合はあきれるぐらい碌でもないものなのだろうか?

冗談じゃない!チャンピオンとしては下位との防衛戦で名声を得ることが難しいのは事実だが

ランキング何位であろうとも挑戦者も名を売らなければならないのも普遍である。

それにランキング下位=実力差という定義でいくと常に有利と目されている

フロイド・メイウェザー選手の試合はすべ手が碌でもない試合となる。

ランキング等ではなく個人の意思決定が著明なオッズでみると力量の差は平明にでる。




-800 フロイド

+550 コット




+600 モズリー

-900 アルバレス



+500 グリーン

-700 ケスラー

 

+175 フロッチ

-210 ブーテ



これらは近日に行われるビックファイトのオッズでフロッチ×ルシアン・ブーテ以外は

オッズの差は歴然としていて、数倍に近いオッズの差があるのは力が均衡していない証拠

(これをランキングに転換すれば下位との対戦と同レベルになるだろう)

恐らく順当にいけばオッズ通りの結果になるだろうが

しかし、これが確実なものという保障がないのもまた事実で

ポンサクレック選手に1位のエドガル・ソーサ選手は押さえ込まれたが

8位のソニーボーイハロ選手が異能で攻略するという面食らうことが起きる。

それは先週だけでも3つのアップセットがあったことでも判るように

ボクシングは不確実性のある競技なのだ。

ビチェスラフ・センチェンコ×ポールマリナージのWBAウエルター級

タイトルマッチは無敗で3度防衛中のチャンピオン、センチェンコ選手がオッズでは有利でしたが

試合は下馬評を覆してマリナージ選手が9回TKOで勝利 

13勝11KOの有望株フィデル・マルドナード・ジュニア選手が

9勝3敗のフェルナンド・カルカモ選手に2回TKO負け

同じく有望株でアマチュア世界選手権メダリストで

現在WBCライトヘビー級2位イスマイル・シラク選手がロシアのキックボクサー

デニス・グラチョフ選手に8回TKO負けと番狂わせなんてボクシングでは

珍しいものではありません。このように、その日のコンディション、対戦相手との

相性、練習と戦略の優劣、外部の優位性などが作用しやすい不確実性のある競技なので

何が起こるかわからないし何かを起こすためにトレーニングに明け暮れ多岐にわたる

戦略を立てて挑むのがボクシングというものです。

もしも、ボクシング村のファンの主張が正しいければ

日本は強いチャンピオンがいる階級、またライト級、ウエルター級、ミドル級以上の階級の

世界戦をランキングではなくオッズというフィルターを通して見れば

あきれるぐらい碌でもない差がある事が多いのは自明なのだから一層の事、

強い選手とは戦わないようにと規約を作った方がいい。


クリス・ジョン -1300

木村章司   +700


14位とランキング下位で世界では無名の木村選手と15度防衛中のジョン選手とのオッズ差は

こんなものです。しかし45倍の差があったタイソン×ダグラスでさえ覆せるのですから

(この理由が先日タイソン氏から語られていたが練習代わりに風俗って)

淵上選手の言う「一パーセントでも可能性があるなら、そこに全てを懸けたい」は正しい

木村選手が言う「堂々と15年間の集大成をぶつける」も正しい

物事は一意的では決してない、可能性を信じて戦いに挑んでもらいたい。



ゲンナジー・ゴロフキン 22勝19KO  3度(3KO)防衛中 178センチ カザフスタン

淵上 誠         19勝6敗10KO 前日本&OPBFミドル級チャンピオン 180センチ



クリス・ジョン 46勝22KO 169センチ インドネシア

木村 章司  24勝4敗2分9KO 171センチ 元日本スーパーバンタム級チャンピオン





ローマン・ゴンザレス選手

WBA世界L・フライ級2位 フランシスコ・ロサスとの決定戦 2回KO

9位 マヌエル・バルガス 12回判定

10位 オマール・サラド 7回TKO
12位 オマールソト   2回KO
10位 ラモンガルシア 4回KO


ジョニー・ゴンザレス選手

14位 トマス・ビジャ
9位  イネット・カバジェロ 

14 位 ロジャース・ムタグワ

休暇王者だけど3年で3試合のエリオ・ロハス


彼らが来日すれば茶坊主記者は世論に事実を知らせず、都合のよいところだけを

摘み取り吹聴するのであろう。


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戦前には石田選手が一番可能性があると思っていましたが

残念ながら12回判定負けで勝利する事は出来ませんでした。

しかし、ウイリアムス戦とは違いフィジカルを含めポイント差ほどの実力差はなく

勝つことの出来る試合に感じた。(映像が途切れ途切れでの中で見た感想ですが)

どうしてピログ選手が最も得意とする距離で戦ったのか

石田選手の大東戦を見たことがありますがスピードのあるボクサータイプで

体格も日本人離れしている、だから今回の試合は石田選手の持ち味であるボクシングが

生かせる試合だと思っていましたが、石田選手はピログ選手の前進を

打ち合いによって止める戦略に出た。

ダニエル・ジェイコブ戦の印象が頭に焼きついていたのか

ロープ際に追い込まれない為にとスポーツ紙に語っていたけれども
防衛戦マシエール戦、
マーティロシャン戦ではダッキングと左ボディの特徴は

健在だったけれどもダニエル・ジェイコブ戦で見せた突進力は無かった。

推測ですがダニエル・ジェイコブ戦はピログ選手にとって望み薄だと思われていた試合で

それも敵地、勝つためには前に出て特質をすべ手出してスピードのあるジェイコブ選手を

捕まえるしか手段は無かった、だから突進力がある様に見えたが

それはジェイコブ選手が直線に後退するので捕まえ易かったのもあるので

左右にフットワークを使う選手に対してはどうだろうか?このところは疑問に思う。

しかし、石田選手もピログ選手と同様、敵地という事もありポイントを考えれば

その手段は限られていたのかもしれませんし、選択も間違いではなかったかもしれませんから

何が最善なのかは難しいです。この試合で3度目の防衛を果したディミトリー・ピログ選手は

20勝15KO、アマチュア時代には200-30の記録を持つロシアのナショナルチャンピオン

敗れた石田選手は24勝8敗2分となった。