いつも戻るその場所





あなたは

静かな緑の中で



なびく髪を

わずかに 

かきあげて




深い

空の色で

わたしをみつめ





手を

さしだす






わたしの指先には

一度だって


体温は

伝わってくることはなかった



うすい

和紙のように

膨大な

ひらがなが

流れていくのが見えて




ここちよい


夢のなかへ




夏のあけがた



わずかの

汗ばみ





残る

感覚は


あなたの差し出した

長い指の幻影





いつもそこで終わる

浅い情景








久しぶりに暖かさが残るこの胸深く。

自ら断ち切れた蔦の傷口はいつも新たか。

闇の中、秋近し…を感じて