直美は、クッキーの缶を、持って来ると、中をあらためる。
家人が誰も居なくなったこの時間が待ち遠しかった。この至福の時間のために、普段夫がまるで召使いのような接し方をしようが、息子たちが我が儘にしようが何も気にならなかった。
実は直美は、へそくりをしていたのだ。
へそくりといっても侮るなかれ、この28年の間に1000万円はへそくっていたのだ。
一日1000円、やりくりして貯めていた。
直美のことを、紀夫は頭の悪い女と思っているらしいが、と直美は思う。
直美は、「~を買ったつもり」になって、ひたすらお金を貯め続けていた。
食事は、有り余る時間を使ってなるべく手かけて作るようにしていた。
直美がへそくりをする方法は徹底していた。
食材は、閉店間際に買いにゆく。
生鮮食品は閉店間際になると半額くらいになるものもある。加工品なども安い。
直美はそれの出来合いの食品を安く手に入れて、食卓に上るときには別な食べ物に変化させて出していた。
手抜きをしても手抜きと見せない技を心得ていた。
家族は、こうして、 直美が作り出す“手料理” をおいしいおいしいと食べてくれていた。
こうして捻出される半額分のお金は、直美の手元に残ることになるわけだ。
クッキーの缶の中身はこうして貯めている現金と、通帳だった。
この通帳が、直美を自由にしてくれるはずだった。
直美は特に贅沢な女ではなかった。
そんなことには興味もなかった。服装も、恥にならない程度には、一通りあったし次々と欲しいとは思わない。だから、洋服も靴も買ったつもりで、クッキーの缶の仲間入り等ということもある。
直美はいつも表面上は、紀夫の言いなりだった。
結婚生活なんてこんなもんだろうと思っていた。自分の実家でもたいした変わりはなかった。父はおおいばりで、母は父の言いなりだった。紀夫の方が上手なのは言うまでもないが。
お茶、新聞はどうした。布団は敷いてあるのか。服を脱がしてくれ。靴下を履かせろ。。。
それでも、さすがに、食べ物を口に運べとは言わなかったのが不思議なくらいであった。
ところが、世の中の常識は違っていたのだ。
それに気付いたのは、子育て中間が出来て近所のお母さんたちと話をするようになってからだった。
今日はここまで 続く
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4・ジェスチャー
♪いつものメンバー いつものゲーム
いつものルールで台無しだ
いつものスタイル いつものペース
いつものリズムでバッチリだ
※ 大丈夫! 問題ない もう ぜんぜん心配ない
大丈夫! 安心して そう ぜんぜん関係ない
いつものジェスチャーだい
いつものデート いつものKiss
いつものコースで台無しだ
いつものポーズ いつものSEX
いつものジュースでバッチリだ
※
今夜再び…最後の3月…