「行ってきま~す」
一番早く家を出て行くのが早いのが、次男の次郎である。
となりの町の中学校の教師をしている次郎は、3学年の担任であり朝早く夜も遅いのだ。
部活は運動部を持っており、土曜日も日曜日も関係なくやすみといったら盆暮れくらいのものであり、直美は土日休日も、お結びを持たせてやる。
次は、役所勤めの太郎なのである。
末っ子の華子は、夫の紀夫と同時くらいに出て行く。会社の方角も一緒のなので、いつも華子は途中まで、紀夫に乗せてもらう。
全員、家からいなくなるとようやく高畑家に静寂が訪れる。
「太郎に次郎に華子。。。猿じゃあるまいし…何を考えているんだか。」
初めての子供が生まれた時、紀夫は顔をくしゃくしゃにして喜んだ。
「男の子だ、いやぁ、直美でかした。俺が名前をつけるからな。」
ほんとうは直美は自分が名前をつけたかった。つけたい名前があったのに夫はガンとして譲らなかった。
ああでもないこうでもないと考えた挙句出生届け当日に決めたのがこの「太郎」だった。直美は内心ガッカリした。
太郎が2歳になった頃、次の子が出来た。
直美は今度こそ、あの名前をつけようと思っていた。
直美が幼い頃育った家は、田舎の大きなうちだった。近所に竈分けした、同じ姓のお屋敷があった。直美にとっては従兄弟半に当たる憧れのお兄さんがいた。いつも、透きとおるような、色白な肌を持った誠司さんは大きな庭木の下にござをひろげたりして本を読んでいた。直美の憧れの人だった。
誠司さんはその後、直美が中学生の時、10歳も年上の女性と駆け落ちしてしまった。
同じ町の酒屋の奥さんだった。
直美はあんな美しい人を他に知らない。
今でも、目を瞑ると誠司さんの顔をはっきり思い出すことさえ出来る。
自分の子供に誠司さんの名前をつけようと思っていたのに長男の時は夫のせいでつけることが出来なかった。
しかし次男が生まれると、夫はまたしても、ガンとして俺がつけると言って譲らなかった。
「長男が太郎だったら、次男は次郎に決まってるだろ。」
そして、せっかく産まれた女の子は「はなこ」にすると頑張るのだった。
それでも、「花子」にすると言うのを説得して懇願してようやく「華子」で、しぶしぶ納得した夫だった。
直美は夫の横暴を決して忘れてはいなかった。
今日はここまで 続く
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今日はどれ、しましょうか。。。
2・古今東西
♪ 目もくれず がむしゃらに
手当たりしだい やめるんだ
何だかんだ いってないで
何から何まで 捨てるんだ
ガンバレ
ガンバレ
ガンバレ
ガンバレ
何すんだ 死ぬもんか
いいも悪いも 無くすんだ
何のまねだ 生きてんだ
どうもこうもない 許すんだ
ガンバレ
ガンバレ
ガンバレ
ガンバレ ♪