2025年9月5日(金)

入院して3日目。 そして、強力な化学療法「3+7プログラム」の2日目です。 

前日の9月4日から、いよいよ本格的な抗がん剤治療が始まりました。 この日の朝も、いつものように早朝から病院の一日が始まります。 

朝6時台から採血 

朝は6時台から採血。 毎日の血液検査で、白血球、好中球、赤血球、ヘモグロビン、血小板などの変化を確認します。 今回の治療では、抗がん剤によって血液を作る力が大きく影響を受けるため、血液の状態を毎日確認することが非常に重要です。 私の場合、すでに治療開始前から血液の状態はかなり厳しいものでした。 特に好中球は非常に少なく、感染症に対する抵抗力が弱い状態です。 それでも、この日の私自身の体調は意外なほど普通でした。 食欲もあります。 そして、前日に続いて、この日も運動をする気満々です。 

朝食は8時半頃。 

この日はオートミールでした。 ここで活躍したのが、家族が持ってきてくれた醤油です。 病院食に少し醤油を加えるだけで、ずいぶん食べやすくなります。 食事はこれからの治療を乗り切るためにも重要です。 そして、病院食でちょっと気になっていたのが「マーガリン」。 パンがついていないのに、なぜか毎食のようについてきます。 私はこれを「そのまま舐めろということか?」と思いました。 ところが、娘から、 「マーガリンは温野菜に混ぜるんだよ。マッシュポテトとか豆とかに」 と教えてもらいました。 なるほど。 言われてみれば、その通りです。 そこで、温野菜にマーガリンを混ぜ、さらに醤油を少し。 これがなかなか美味しい。 病院生活では、こういう小さな工夫も大切です。 

午前10時過ぎ

前日に続いて、赤い抗がん剤の2日目の投与です。 3日間続くこの抗がん剤は、毎朝、看護師さんがお腹にゆっくり注入していきます。 一方、7日間続くもう一つの抗がん剤は、身体に装着した小型のポータブル注入器から24時間休むことなく投与されています。 つまり、私の身体には、 「3日間の抗がん剤」+「7日間の持続投与」 が同時進行している状態です。 治療は淡々と進んでいきます。 

昼食はツナサンドとチキンヌードルスープ 

昼食は12時15分から12時30分頃。 この日はツナサンドとチキンヌードルスープでした。 食事ができるということは、それだけでもありがたいことです。 この頃の私は、食欲もかなりありました。 そして病院食だけでは足りないこともあり、家族にお願いしていたのが「あんぱん」です。 後に、この「あんぱん」が思わぬところで活躍することになります。 (どんだけ、「あんぱん」が好きなオヤジなのでしょうか)

午後は心臓の検査 

この日は午後に心臓の検査がありました。 前日の抗がん剤治療開始に先立って、肺のCT検査も受けています。 肺のCTについては、この日、医師から、 「OK。問題ありません」 との報告がありました。 そしてこの日は、心臓のポンプ機能を確認する検査です。 抗がん剤治療を続けるにあたって、心臓が正常に機能しているかを確認するための検査です。 検査は昼過ぎに行われ、午後3時29分までには病室へ戻ることができました。 翌9月6日、医師から、 「心臓の検査結果も正常だった」 と説明を受けました。 治療を続けていくうえで、これはうれしい知らせでした。 

今日も30分、踏み台昇降 

そして、この日の私を見て家族が驚いていたのが、運動です。 なんとこの日も、 タブレットでビデオを観ながらの踏み台昇降を30分。 強力な抗がん剤治療を受けている最中です。 しかも血液の状態は厳しく、好中球も極端に少ない。 

それでも、 「今日も踏み台昇降を30分やった」 と家族に報告しています。 もちろん、無理をしてはいけません。 家族からも、 「運動ができるならよかった!でも無理にならない程度にね」 と心配されています。 私としては、病室にずっと座っているより、できる範囲で身体を動かして体力を維持しておきたい。 それが、この時の自分なりの考えでした。 

夜になって、血圧が気になり始めた 

そして夜。 血液検査とバイタル検診のデータが更新されました。 

午後9時49分。 

「気になるのが酸素を運ぶヘモグロビンが減ってきているのと血圧が落ちすぎていること」 

これには、娘も反応します。 

「減っちゃっているのか…それはたしかに心配。高血圧の薬は継続してるの?」 

高血圧の薬は病院から出されており、継続して服用しています。 血圧については約20年前から降圧剤を服用しており、それでも通常135/85くらいのレベルとなっていました。しかし、この日の血圧は上が100を下回るレベルまで下がっていたようです。

ただし、入院中は血圧の状態を見ながら医師が判断することになります。 私は、 「血圧低下もヘモグロビンの減少も骨髄性白血病の特徴らしいから抗がん剤が効いて戻ってほしいね」 と説明。 

さらに、 「体調は変化なく今日も踏み台昇降を30分やった。お腹も空きっぱなし。水分補給がまだ足りないのかもしれない」 と続けました。 自分の身体に起きている変化を、かなり冷静に分析していたようです。 

好中球は0.05まで下がっていた 

この日の血液データを確認すると、好中球は一時、 0.05 ×10⁹/L まで下がっていました。 これは非常に低い数字です。 ところが、その後の測定では、 0.17 ×10⁹/L まで戻っていました。 まだまだ正常値には遠いのですが、少し上向いた数字も出ています。 白血球全体の数にも変化が出てきました。 

※ここでいう「好中球」は、感染症などの原因となるものを発見し、身体を守る働きを起こす白血球の一種です。 

妻からは、 「ガンバ💪 まだまだ治療が始まったばかりだからね。お薬達もこれから力を発揮するんだね👍」 と励ましのLINE。 この「お薬達」という表現が、なんとも妻らしい。 

午後10時5分。 

次男から鋭い一言。 

「血を薄くする薬打ってるから血圧下がってるんじゃない?」 

なるほど。 私も、 「かもしれないけどそのあたりは医師の判断に任せるしかないね」 と返しました。 

この頃、私は夜にお腹への注射(赤い抗がん剤と併せ、1日に2回もお腹に注射)も受けていました。 これは血栓を防ぐための血液を固まりにくくする薬です。 

さらに、抗がん剤、血圧の薬、水分不足、栄養不足など、血圧に影響する可能性のあるものはいくつもあります。 つまり、 「血圧が下がった原因はこれだ」 と簡単に決められる状況ではありません。 そこは医師に任せるしかありません。 そして家族からは、 「お水をいっぱい飲んでね!」 と励まされます。 確かに、この日は少し水分が足りなかったのかもしれません。 

そして、もう一つ私の手元には、家族が持ってきてくれたものがあります。 厚切り羊羹です。 治療中だというのに、なかなか頼もしい援軍です(笑)。 

午後10時51分

私は、 「頑張るからね。明日待ってるね。厚切り羊羹、美味し。」 とLINEを送り、その夜はいったん眠りにつきました。 

ところが――。 ここからが、この日のもう一つの出来事でした。 

日付が変わって「血圧復活!」 

9月6日(土)

日付が変わった午前0時13分。 家族のLINEに、突然うれしい速報を送りました(夜中なのに迷惑を顧みず)。

「昨晩10時過ぎから厚切り羊羹を食べ水ボトル1本半飲んだら夜中12時の検診では血圧112/84の正常値だった😊」 

「羊羹」と「水」の効果だったのか、それとも時間の経過やその他の要因もあったのか。 医学的には一つの原因に決めつけることはできません。 しかし、家族からすれば、 「羊羹&お水パワー、恐るべし!」 というところです(笑)。 

午前0時45分。 

次男から、 「おー良かったねー」 

続いて私から、 「血圧安定の110/84👍」  

家族全員が、深夜に血圧の数字一つで一喜一憂しています。 

ここで妻が驚きます。 

「えっ?夜中も検診があるんだ〜?!夜もゆっくり寝てられないね🥱 お疲れ様です。」 

そうなんです。 入院していると、夜だからといって完全に休めるわけではありません。 

もちろん、その時の状態や治療内容によって変わりますが、少なくとも私が入院していた病棟では、夜間・早朝も含めて細かく状態を確認してもらっていました。 

「病院に入ったら、あとは寝ていればいい」 という世界ではありません。 治療を受けながら、身体の状態を24時間監視してもらっているのです。 

 

サニーブルック病院での私の一日 

この頃の入院生活を振り返ると、毎日はおおむね次のような流れでした。 

早朝6時台 採血。血液の状態を確認。 

朝8時頃 血圧・体温などのチェック。 

朝8時30分頃 朝食。 

午前10時過ぎ 抗がん剤の投与。 

昼12時15分~12時30分頃 昼食。 

午後2時30分頃 検診。 

午後4時30分頃 検診。 

午後5時10分頃 夕食。 

夜8時頃 検診。 

夜10時頃 お腹への皮下注射、服薬、就寝準備。 

そして―― 深夜0時頃、

早朝5時頃にも検診。 

 これに加えて、診察、検査、点滴、薬の投与などが入ってきます。 

夕食が終わると、スタッフが、 「明日のディナーは何にする?」 と二つほどの選択肢を示して、翌日の夕食を聞きに来てくれます。 

こうして見ると、病院での一日は、かなり細かく予定が組まれています。 その合間を縫って、私は30分の踏み台昇降をする。 そして、お腹が空けば、あんぱんや羊羹を食べる。 抗がん剤治療の真っただ中にいるとは思えないほどで、ある意味では「普通の生活?」を続けていました。 いや、むしろ普通の生活よりも忙しい一日だったかもしれません。

抗がん剤2日目を終えて 

9月5日は、抗がん剤治療2日目。 肺のCTは問題なし。 心臓の検査も後日「正常」と確認されました。 一方、血液の状態は大きく変化し、好中球は0.05まで下がるなど、厳しい数字も出ています。 ヘモグロビンも低下し、血圧も一時かなり下がりました。 それでも私は、 食べる。飲む。動く。寝る。 そして家族とLINEで話す。 深夜には、羊羹を食べて水を飲み、 「血圧112/84!」 と喜ぶ。 そんな一日でした。 もちろん、羊羹を食べれば血圧が上がる、という単純な話ではありません。 

ただ、この時の私にとって、家族が持ってきてくれた食べ物や「お水いっぱい飲んでね」という言葉は、単なる食事や水分以上のものでした。 家族から届いた「頑張れ」という気持ちそのものだったのだと思います。 

強力な抗がん剤治療は、まだ始まったばかりです。 

これから血液の数値はさらに大きく変化していきます。 そして、私がこの時「勝負」と考えていたのは、抗がん剤の投与が終わった後の数週間でした。