山門をくぐり、かなりの体力を消耗したので、とりあえず境内で体を休めようとベンチに向かう。
 
すると、先ほど下りで追い抜き、上りで追い抜かれた歩き遍路さんと遭遇。
一足先にベンチで休んでおられた。
私も隣のベンチに座り、「お疲れさまでした、めっちゃキツかったですね」などと挨拶し、その後もしばらくお話することに・・・
話によると、新潟在住の54歳で、私より4つ年上の方。
歳をとってしまうと持病が悪化して出来なくなってしまう恐れがあるので今のうちにやっておきたいという事で思い立ってお遍路を始めたそう。
ここまでのアクセス大変でしたよね?って聞くと、福井の敦賀まで新幹線が通るようになったのでだいぶ楽になったとの事。
地元では、冬は豪雪地帯なので雪かきが大変だと言っておられた。
 
その後も、今後の予定などの話題で盛り上がり、結局30分くらいお話しした。
途中で翌日に泊まる宿を予約し始めたので、このGWにそんなギリギリのタイミングで取れるの?って疑問だったが、普通に取れたみたいで、「意外と電話予約だったら取れるんだ?サンルート徳島」と、ちょっと感心w
 
私は、かなりお腹が空いていたので、2日目の宿で握ってもらったおにぎりを食べることに・・・
 

 

一口入れた瞬間、「うまい!!」と思わず心の中で叫ぶ。
具は、昆布の佃煮と梅干しが入っていた。
味も然りだが、何よりも心を込めて握って頂いた感が伝わるし、あれだけ苦労して登った後だったんでこれだけ美味しいのは当たり前だろう。
 
そして、おにぎりだけじゃ足らず、非常食や行動食までも手を付けてしまうw
それだけパワーを使って来たんだと、焼山寺道がいかに過酷だったか、改めて思うのであった。
 
新潟歩き遍路さんは、この日は神山温泉に泊まるそうで、私とは別ルートになってしまうのでここでお別れということになる。
まさに一期一会だった。
 
休憩後、いつものように本堂、大師堂で参拝。
境内には、昨日10番と11番の途中にあるコンビニで会った外人カップル遍路さんもいた。
 
新潟遍路さんが、私が到着する前にちょっとお話してたようで、2人はオランダ人と判明w
 
 

本堂

 

多宝塔

 
参拝も終え、ドリンクもほとんど消費したので、ここの自販機で補充。
だいぶ体も休まったので次へ向かう。
 
次の13番までは巡礼マップによると、20.8㎞となっているが、今日はそこまでは無理なので、約10㎞先にある宿へ向かう。
 

 

13番へ向けて Go!    12時25分

あれっ、この道標では22.7kmになってる💦

 

 

早速だが、遍路道はひたすら下っていく。
 

 

要するに、遍路笠を被っている人を偏見で見るなってことですか?

 

 

焼山寺から1.7㎞のところにある、丈杉庵(じょうしんあん)に到着。
逆打ちのルーツとなった、衞門三郎伝説の地とういことで、ここでも参拝。
 

 

お堂

 

衞門三郎(左)と、弘法大師の像

 

この伝説のお話は、お遍路さんやってるなら知らない人はいないと思う。

 

衞門三郎伝説

 

 

引き続き、遍路道を行く

歩きは左の細い道へ。

 

白い花が咲いていた

何の花?

 

 

 

 

未舗装路の下りが続く

 

 

アスファルト道に出た。

 

 

あら、猫ちゃんこんにちはw

 

鍋岩の休憩所で、先ほど12番で見かけたオランダカップル遍路さんが休憩したので「ハァイ」と笑顔で手を振ってスルー。

 

 

奥には「すだち庵」という評判のお宿。
焼山寺登山の疲れをここで癒すお遍路さんも結構いる。
私が2日目に泊まった旅館吉野さんで宿泊の場合、宿泊用の荷物をピックアップしてくれて、身軽な状態で焼山寺に挑めるというサービスを行っているらしい。
私の宿はまだ先なのでスルー。
 
この後、13番へは2つのルートがあり、1つはそのまま東へ向かい、玉ヶ峠(たまがたお)を超えるルートと、もう1つは、県道43号をそのまま南へ下ってから東へ向かい、神山温泉を通るルートがある。
 
新潟遍路さんは、前述したように後者のルートで私は宿の関係上、前者のルートを通る。
 
前者は、峠越えがあるが、距離は短い。
後者は、距離は5㎞長くなるが、道の駅や宿も多く、枝垂桜の名所となっていて、急な峠越えなどは無い為、こちらを選択するお遍路さんも多い。
 
 
今日お世話になる「植村旅館」の案内看板。
まだ7kmもある。
 

 

ここからはまた未舗装路をしばらく歩く。
ある程度上ったので、ここが玉ヶ峠を超える山かと思ったら、それはまだ先にあった。
 

 

 

 

やがてアスファルト道に戻ると、また雨が強くなってきた。
とりあえず、バックパックの中の物が濡れるのは致命的なので、リュックカバーを、落ち着ける場所も無かったので歩きながら取付ける。
 
しかしその後、違和感に気付く。
歩いてる方向が東から西に向いてる気がしたので、巡礼マップとGoogleマップの両方を見ながら現在位置を確認すると、どうやら道標を見逃して遍路道を外れてしまった模様。
 
ヤバいと思い、心当たりの場所まで引き返して立ち止まり、道標を探すと、さっきも見たと思われる石柱の道標がそこにあり、よ~く見てみると、指が未舗装路の方を指している
どうやら、その指の方向をしっかり見ていなかったようだ。
指してる方向は、鬱蒼とした雰囲気で、雨により辺りが暗いこともあったので全く気付かなかったのだ。
 

 

この道標の指の方向に気付かなかった

 
それにしても、「歩き遍路のための「四国遍路」巡礼マップ」はこういった時にはホント役に立った。
歩き遍路さんの間ではかなり有名な黄色い地図帳があって、私も一応持参し4日間持ち歩いていたが、開くのが思いのほか面倒だったので一度も手にすることは無く、次回からはお役御免となってしまった。
巡礼マップならスマホですぐに開けるし、拡大も出来る。
使い勝手が良いのは断然こちらと判断した。
 
ところで、このわかりにくかった遍路道を進んでいくのだが、ここから試練が待っていた。
どうやら玉ヶ峠へ続く遍路道だった模様。
そこは遍路ころがしと言っても過言ではないほどの急な上りで、また息を整えながっら1歩1歩小股で登る。
焼山寺登山で疲労が溜まっていた体にはかなり応えた。
 
そして、600m、21分かけて登った末、アスファルト道に出た。
どうやら峠に差し掛かったらしい。
胸をなでおろした時、先ほど鍋岩の休憩所で見かけたオランダ人のカップル遍路さんが雨具に着替えていた。
どうやら私が道を間違えたスキに、抜いていった模様。
 
ここでまた挨拶を交わしながら「道間違えちゃった(^^;」と話してみるも、やはり通じなかったので「ルート」××と、ゼスチャーで伝えるw
 
すると、彼女の方が、2リットルのペットボトルをラッパ飲みしながら「アナタ、ミズ、アリマスカ?」と聞いてきたので、バックパックや、カラビナでぶら下げたペットボトルを見せながら持っていることをアピール。
それにしても、もし私が持ってなかったら、あなたが口付けたそのペットボトルの水を飲ますつもりだったのだろうか?w
もしそうだとしたら、それは文化の違いなのだろう。
それにしても2リットルのペットボトルを持って歩くって結構大変じゃねぇ?
 

玉ヶ峠に到着 14時20分

 

そこからしばらく歩いたところに休憩所があり、ここでトイレを済ませ、雨が本格的になってきたので私も白衣を脱いで、レインコートの上だけ羽織り、シューズカバーも装着。
焼山寺からようやく半分くらい来たかな?
雨に降られ、道を間違え、再び遍路ころがしのような急坂を登り、ここまでの道中、結構手を焼いてしまった印象。
 
そして、ここから先は特に急な山登りも無く、ひたすら宿に向かってアスファルト道を歩く。
疲れはあったはずだが、歩きの方は好調で、ペースが澱むことはなかった。
あれだけキツイ思いしてここまで来たのに、今までと変わらないペースで歩けるというのは本当に幸せなことで、そう思えるからこそ楽しい歩き遍路になる。
 
新調したシューズや雨具にも助けられてる感があって、ここまで色々と試行錯誤を重ねてきたことがこうやって結果に表れて、本当に充実感を抱いていた時だった。
 

 

良い景色に出逢う

何だかマチュピチュみたい。雨なのが残念。

 

 

金剛杖もかなり消耗

あの焼山寺アタックの過酷さが伺える。

ちなみに、もげをカッターで整えるのはNG

 

 

おしゃれな屋根の神山休憩所

 

 

小さな矢印の遍路マーク

 

 

こういう道を歩くのは楽しい

 

 

ここから遍路道を外れて細い道を下ると番外霊場の鏡大師があるということだが、そんな余裕はなかったw

 

 

ちょっと余裕をかましながら歩いているとまた小腹が空いたので行動食を食べる。
本当はチョコレートが良いんだけど、溶けてベタベタになるのが嫌だからやむを得ず。
 
そしたらまたオランダ人カップルに遭遇w
今度はプレハブみたいなところで雨宿りしてたので、また笑顔で手を振ってスルー。
しかし、ここから先、会うことは無かった。

 

鮎喰川(あくいがわ)と合流。今日のゴールも近い。
晴れの日は景色が良さそう。
 
まだ12㎞もあんのか〜!
 
 
男性の方はお遍路さんですか?w
 
 
またここにもマネキン
草刈りしたり、花に水をやったり、お疲れ様ですw
 
 
そして本日の宿「植村旅館」に到着。
15時45分
 
扉を開けて、呼鈴を鳴らすと、若女将がやってきて、早速濡れたリュックカバーとレインコートとシューズカバーを干してくれた
ありがとうございます爆  笑
 
そして、現存のお城のような急な階段を上り、お部屋に案内される。
 

 

宿泊のお部屋。
8畳?いや、10畳くらいある。
1人で泊まるには勿体無いくらい広いw
 
窓からは、鮎喰川の景観とそのせせらぎが聞こえ、良い雰囲気だった。
 
お風呂に入り、その後、洗濯をしたいと思い、宿内を探し回ったが、洗濯機が見つからず、たまたま女将さんがいらしたので聞いてみたら、やってくれるとの事だったので洗濯物を預ける。
 
ここはどうやら女将さんと、若女将(娘さん)と2人で経営している模様。
 
18時00分、食事の準備が出来たと女将さんがわざわざ2階まで上って呼び出しに来てくれた。
 
食堂には私を含めて5名の宿泊客が集結。
 

 

夕食
品数豊富で、ボリューミーなメニューおねがい
 
そんな中で、女将さんが「何でもいいから書いてください」と、お遍路ノートを持ってきた、
拝見すると、過去に宿泊したお遍路さんたちの住所、氏名、お遍路に対する思いなどが書かれていたので私も一筆。
ここまでお遍路してみての感想や今の心境などを書くことにした。
 
ここでは前日の宿とは違い、1つのテーブルを囲んでの会食。
さすがに黙食ということは無かったw
 
1人目は、最初に話しかけてくれた58歳、埼玉在住の自転車遍路さん。
今年は閏年で功徳が3倍になるからと、逆打ちでここまで来たそう。
ということは結願がだいぶ近付いてるってことじゃあ?
 
2人目は、北海道在住で、私と同年代と思われる歩き遍路さん。
この方、どこかで見たことあると思ったので「そういえば、1番(霊山寺)でお話しませんでした?」と聞いたらその通りだった。
実は、2日目も私と同じ吉野さんに宿泊していたそうだったが、全く気付いてなかったw
今回は、全工程のうちの半分回るそうで、既にその何十日か先の宿まで全部予約を入れてしまったのだとかw
私が泊まった安楽寺の宿坊が予約が取れなかったことをきっかけに危機を感じたのが理由らしい。
 
そして3人目と4人目は、お遍路さんではなく普通に観光で来ていた三重県在住のご夫婦。
私と同じ愛知県出身ということで同郷トークも盛り上がった。
ホスピタリティが高くて料理も美味しいということで、旅行する時は必ずこういった民宿を選ぶのだそう。
次の日は、高知の須崎へ鍋焼きラーメンを食べに行くと言っていた。
そこまで歩きで巡る場合は15日くらいかかりそうw
やっぱり車は速いよね。
 
言うまでもなく、話は尽きることなく1時間ほど盛り上がった。
お遍路のことはあまり知らないご夫婦が我々の話に対して興味をもって聞いてくれたのが嬉しかった。
 
そして宴もたけなわ、お開きとなり、この日も22時に消灯。
 
4日目につづく・・・
 
 

3日目 まとめ

 

実際に歩いた札所間の距離と所要時間

11番→12番    12.3km    4時間35分

 

お寺の滞在時間

12番 焼山寺 1時間5分

 

歩数

41,784歩

※iPhoneのアプリでの計測結果です

 

使用金額

水、麦茶、スポーツ飲料計9本(自販機) 1,320円

植村旅館 7,800円

洗濯機・乾燥機 300円

賽銭(焼山寺、丈杉庵、長戸庵) 20円

納経料(1か寺) 500円

合計 9,940円

 

総歩行距離

25.7km

※お寺の歩行も含みます