今回は現地での購入を予定している、金剛杖と菅笠について述べさせて頂きます。

昔から、「一笠一杖に身を託しての巡礼」という言葉があるそうで、お遍路には欠かせないアイテムとなっています。


 金剛杖 

・足の負荷を軽減
登山で使用するトレッキングポールと同じ役割で、長い長い遍路の道のりを歩くと疲労が蓄積しますので、杖を突くことでその負担を軽減できます。

・生き物除け
遍路道の中には舗装されていない道を歩くこともしばしばあります。
そんな道中には、虫が飛んでいたり、ヘビやマムシなどの爬虫類、熊や猪などの獣も、もしかしたら遭遇するかもしれないので、それらを追い払うのに一役買ってくれそうです。
カバーに鈴を付けていれば、存在をアピールできるので予防にもなると思います。

・お大師様の化身
お遍路に興味のある方にとってはよく知られた話かと思われますが、杖を持ってお遍路をすることは弘法大師と共にお遍路をする、という意味合いがあります。

・墓標
金剛杖は、最上部のカバーを外すと卒塔婆を模した形をしており、昔のお遍路さんは今よりも厳しい環境の中でのお遍路してましたので、道中で力尽きて亡くなることもよくあったそうで、そういった時のため、どの場所でも成仏できるようにということで持ち歩いていたとされています。

その部分はカバーで隠さなければならないとされていますが、理由としては諸説あるようで、自分の物と見分けが付くようにとか、死んでもいないのにその部分を出しているのはおかしいとか、ツルツル頭のお大師様を素手で握るのは失礼だw、とかいったところでしょうか?


 菅笠 

・直射日光を遮断
熱中症の対策にも(なるのかな?)

・上から飛んでくる虫にも対応
金剛杖の章でも述べたように、遍路の道中では虫がよく飛んでいると思うので、もしかしたら蜂や毛虫などが上から襲ってくるかもしれません。

・雨除け
カバーを付ければ、レインコートのフード代わりになります。
ただし、天気の良い時は外しておかないと蒸れてカビが生えるそうです。

菅笠には以下の文字が書かれています(梵字のみ、あるいは何も書かれていない菅笠もあります)。
・梵字
・迷故界城
・悟故十方空
・本来無東西
・何処有南北
・同行二人

梵字は、弘法大師を表すそうです。
梵字は密教とともに日本に伝わった文字で古代インドで使用されていました。
お大師様は真言密教の開祖であり、梵字との関係が深い人物だったそうです。

菅笠を被ってお遍路するということは、お大師様と一緒に巡礼しているという意味になるので被る際には梵字が前に来るようにします。

その他の文字については下記のとおりです。

迷故界城→色々と迷っているために三界(欲界、色界、無色界)に閉じ込められている

悟故十方空→悟りの境地に来ると、あらゆる方向に何もないことに気づく

本来無東西→方角は人間が決めたもので、元々は東西などなかった

何処有南北→南北も何処にもあるはずがない


最後になりますが、金や菅笠を身に付けると、誰から見ても一目でお遍路さんだと分かるという役割があります。
遍路道の中には民家の脇を歩く遍路道もあるので、そういった時に不審者と怪しまれないのもメリットかと思います。
巡礼中に声掛けして頂いたり、お接待を受けたりと、精神的な支えにもなるのではないでしょうか?

それでは今回はここまで。
また次回お目にかかりましょう。