第28話「旅の途上で何想う」((沖縄県石垣島) | 地鶏

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自転車日本一周旅〜人生大切なことはすべて旅で学んだ〜

 

「旅の途上で何想う。」

 

1週間前に与那国島の日本最東端を制し、その日、日本で最後に沈む夕日を拝んだ。

そして、昨日、波照間島の日本最南端を制して、石垣島南夢楽園キャンプ場のテントの中だ。

 

 

旅の目的である日本の東西南北のそれぞれの最端を制した自転車日本一周旅は、9ヶ月が経過し、走行距離は1万キロを超えていた。

 

テントの中で一夜を明かす夕暮れの後は、やることがある程度限られる。

ヘッドランプの明かりを頼りに本を読む、日記をつける、音楽を聴く。酒を飲みながら想いを巡らすぐらいのもの。

つまり結構暇なのだ。

 

出逢う人々から寄せられる質問。

ベスト3は、「どこから来たの?」という出身地と旅の経路。

 

ベスト2は、「どこに泊まっているの?」という衣食住の問題。

 

ベスト1は、「なぜ、こんなことをしようと思ったの?」という動機。

 

「なぜ自転車旅をしているのか」という目的動機に関する質問は、はっきりした答えを実は持ち合わせていない。

 

自走力で日本のそれぞれの最端に立つことができたら、大変なことが起こるに違いないといつも心の隅っこの引っかかっていた。

アニメのドラゴンボールみたいに7つ玉を集めたら龍神が現れて願い事が一つ叶うというノリに似ている。

目に見えない素晴らしい力が手に入るに違いないと本気で思っていた。

なんとも幼稚な考えだが、ず〜と考えていつ実行に移すかと悩み望んでいた数年間。

 

 

23歳。社会人1年目の春。

大学を出て、社会人の仲間入り。

右も左も分からない。ただ言われるまま素直に働く。

 

 

24歳。社会人2年目の夏。

旅立ちたい欲求が、積乱雲の如くモクモクと湧き始めていた。

きちんと働き、それなりに忙しく、充実した日々を過ごしていた。

一つの行事を終えれば、次の行事の企画、実施と次から次へと仕事が続いていく状況の中で、「明日から旅に出ますので仕事を辞めます」とは、上司や家族には言えなかった。

果たして社会人として許される行為なのか。

旅をすれば大変なことが起こる。明日からやるのだ、というものならば、お前は何を考えているのだ、と一蹴されるのがオチだった。

というより思い切って人に伝える度胸と一歩を踏み出す勇気がなかっただけである。

旅に出るぞ、と思い始めて時間は 確実に流れていた。

このままではダメだと、何か作戦を考えて自分の意思を伝えなければ手遅れになると思い始めた。

この焦り方は恋に似ていた。

好きな憧れの女性に対して何とかして自分の気持ちを伝えなければ何も手につかない、そればかりか他の誰かに奪われて、後悔する羽目になるという焦り方だった。

 

 

25歳。社会人3年目の秋。

旅立ちたい欲求の沸点は、日増しに上昇していた。

すでに旅立ちを決意してから、1年と数ヶ月が経っていた。

まず意思を伝えるべき存在は誰か、を考えた。

仕事の上司。

家族。

いったいどう伝えるべきか。

直接、面等向かって。

手紙に想いをしたためて。

電話作戦か。

上司をモデルにそのケースにおける事態をイメージした。

当時の上司の性格は、本能剥き出し、理解度はある。

しかし、今俺がここを抜けると仕事量に多大な迷惑をかけることになる。ここはある程度の長期的な視野で少しずつその雰囲気を出しながら、良いタイミングを見計らって告白するのがいいだろう、と頼りない判断をした。

しかし、そんな都合の良いタイミングなんてない。

悶々としながらも仕事の忙しさに流され、時は進んだ。

 

 

26歳。社会人4年目の冬。

水は熱を持つと、蒸気となって、雲を作る。

人は夢を持つと、本気になって、未来を切り拓く。

ついに沸点は100度を超え、思いは行動に繋がった

一大決心をして、27歳を迎える正月1月2日に祖父母と家族に伝えた。直後、上司に伝えた。

あっさり、許可を得た。

ちょうど仕事は丸々4年間務めた。その年の4月に自転車日本一周旅に出発した。

あの数年間の悩みは何だったんだ。

こんなあっさり許可を得ていいのだろうか。

勇気一秒。

後悔一生。

この違いは紙一重の差である。

 

「動けば変わる」

 

真理をついた名言がある。

動いた。だから変わったのだ。

勇気を出して自分の想いを伝えるという行動をしたから、新しい扉が開かれたのだ。

しかし、それまでの自分は、変わったら動こうとしていた。

環境が整ったら、旅立とう。

条件がそろったら、行動に移そう。

そうではない。

率先して自分が動くから、周りの目が変わり、全体が変化するのだ。

一歩を踏み出す勇気と行動を取るから、環境や条件が揃い出していくのだ。

 

 

 

この関係は自転車と自転車のライトの関係に似ている。

自転車ライトは、ペダルを漕ぐとギアが回転し、発電してライトが点灯する。

自転車のランプがつかないからといって自転車の前でいつ出発しようかと悩んでいても始まらない。

まずはペダルを漕ぐのだ。

その行動があるから、進むべき道に光が当たり、人が応援してくれ、安定するのだ。

 

人生は自転車。

漕ぎ出すと安定する。

安定してから漕ぎ出すのではない。

漕ぎ出したら神様が後ろを支えてくれる。

 

旅の途上で今想う。

「動けば変わる。人生やったもん勝ち♩」