自転車日本一周旅〜人生で大切なことはすべて旅で学んだ〜
暑い夏は涼しい北海道、寒い冬は暖かい沖縄。
ざっくり計画を立てた自転車日本一周旅は、順調に北海道を巡り、本州九州を南下。そして沖縄にやってきたものの、資金が底を付く寸前で途方にくれていた。
そんなとき、偶然に那覇港近くの公園で知り合った自転車旅行者チャリダー田中君は、これから八重山諸島小浜島へアルバイトに行く途上だったのだ。
「これから、小浜で、アルバイトなんですよね。どうですか?」
「行きます。すぐ行きます。」
資金不足でどうしようもない状態での恵みの声だった。
「サトウキビ収穫の力仕事なんですよ。
ちなみに住み込み3食付きで一日5000円なんですよ。
どうですか?」
「行きます。行きます。今すぐ行きます。」
おお、オレが理想としているアルバイトの条件をすべて満たしているではないか。
「アルバイト仲間は僕たちのような旅人がほとんどですね。
夜はオリオンビールに泡盛ですね。」
「おお、何から何まで、なんてこった。」
僕はうれしさのあまり逆上気味に、バーゲンを争うおばさまのように、とにかく予約、その商品必ず買った、と力強く約束を交わしたのだった。
瞬く間に意気投合した僕たちは、八重山諸島を目指すフェリーに共に乗船した。
話を聞くと彼は、自転車で日本を回ってすでに1年以上が過ぎていた。昨年も同じように自転車旅行の途上で小浜島に立ち寄り、3か月間サトウキビの収穫のアルバイトをしたのだそうだ。
製糖工場が動く1月~3月が、収穫時期となり、人手が必要になるのだそうだ。だから彼は現在、自転車日本2周中のツワモノなのであった。
八重山諸島のひとつの小浜島は、島からは日本のアマゾンと揶揄されるほどの自然の宝庫・西表島が眺望できる人口約500人、周囲19㌔ほどの小さなさとうきびの島であるらしかった。
その八重山諸島は、石垣島、竹富島、黒島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島、鳩間島など8つの島々の集合体で、日本の最南に位置している。
日本最南端「波照間島」日本最東端「与那国島」もその諸島に類し、石垣島からは、路線バスのように数十分おきに、各島にフェリーが運航しているようなのだ。
石垣島は各諸島とつなぐハブ空港のような存在だ。
二人は石垣島を拠点にして、日本で一番南に位置する波照間島、日本で一番最後に夕日が拝める与那国島を制してから、小浜島に入ろうと話し合いながら24時間の船旅を楽しんだのだ。
彼との出会いによって、ボクは「時の運」と「一期一会」いうことを考えさせられた。
あの日、あの時、あの時間帯にあの公園にいなければ、おそらく出会うことがなかっただろう。単なる偶然と思えばそれまでだが、会うべくして会う運命にあったのだ。
そして、「一期一会」の心についても考えさせられる。
真の「一期一会」とは、もう2度と会うことはないであろう人はもちろん、家族、友人など、毎日接している人たちに対しても、『今日が最後』『今が一生に一度きりの出会い』という気持ちで悔いのないよう、心をこめて接することが大切なのである。
そして、今日という日を人生最後の日であるかのように楽しむことだ。
なぜなら、その可能性だってあるからだ。
とにかく救世主が現れたのだ。
「救世主はだいたい落ち込んだ谷底で現れる。」
と言われるがまさに、絶妙のタイミングで、今の自分に必要な事柄を持った人様と出合わさせられた。
大げさかもしれないが、会う必要があったから必然的に巡り合わされたと悟れば、どんなささやかなことでも真剣になれる。
旅先では、たびたびそんなことを感じるものだ。
人生に応用すると旅と同じように、日常生活は格段に面白くなる。
