「夜天一族」
オリジナル作品です
トリササ流チャネリングファンタジー小説書いてます
キャラクターがチャネリングしたり
筆者がダイレクトにチャネリングして高次元よりメッセージを受け取ったりしたものを
作品に活用しています
最終章「夜天一族」前編
「夜天一族」
第終章 「夜天一族」 ヤテンイチゾク 前編
「ママ!愛たかったー!いつまでいられるの?」
久々に顔を合わせた母親に擦り寄り、まるで飼い犬の如く視えない尻尾を振っているだろう菫青のテンションはMAXに達しようとしている。
「菫青~私も愛たかった~」
母親菊花は娘のような息子を抱き締めた。
「フフフ、嬉しい!月に来て好かったと思えることの一つだわ」
下手をすれば何年も顔を合わせることもないほど、一家団欒には程遠い家庭なのだ。
「ナニかあったの?私達はしばらく月にいる予定よ。その後、一度、地球に戻ろうと思っているの。菫青はどうしてここに?星葉は一緒なの?」
菊花も久し振りに我が子に逢えたせいか、訊きたいことで一杯だ。
「セイも一緒よ。コン兄もいるわ。それでね、聞いてよ、ママ。非道いのよ」
菫青がこれまでに起きた事の顛末を語って聞かせる。
「それはご苦労様だったわね。でも、今までにない体験も出来たことには違いないわ。菫青にとってもね。無駄ではないわ」
月の裏側での出来事を延々と語り終えた菫青を優しい眼差しで見守っていた。この母はなんて寛大なのだろう。
「さすがママ!考えもしなかった。考えてる余裕もなかったけど、確かに初めての体験だったわ。ママは月の裏側に行ったことあるの?月の塔のことは知ってる?月の女神イーシャのことも」
訊きたいことは沢山ある。
畳み掛けるように菫青は逸る想いの丈を口走る。
それは様々な感情故のことだ。
「そうねぇ、月の裏側には数えるほどだけど、往ったことはあるわ。「人魚の国」の人魚達に逢ったわね。月の塔には往ったことはないわね。初耳だわ。女神イーシャ?逢ったことないわね」
この返答は菫青には意外だった。
宇宙を駆け巡るくらい、あちらこちらへ飛び廻っているが、それが却ってひととこに落ち着くことなく深く関わることも出来ない要因なのかも知れない。
「月の女神イーシャは月の聖母ユージニーと同一人物だったの」
結局、イーシャの依頼を完遂することは叶わなかったが、イーシャがユージニーに戻ったことにより月の塔も消えてしまった。
水晶の中に眠りに就いていたユージニーも覚醒の時を迎えて、この件は一件落着と思えたが、結果は予想を遥かに超えるものだった。
「あら、ユージニーなら知っているわ。友人だもの。突然、姿を消してしまった時には驚いたけれど。でも復活したなら直きに逢えるでしょう」
この母が月の聖母と友人関係にあるとは初耳だった。
それもそのはず、自分達が生まれる以前のことなどは知る由もないのだ。
訊こうにも当の両親は留守ばかりで顔を合わせるのも、年に数回と云った本当に自遊極まりない保護者達なのだ。
それでも、親には変わりないのも事実である。
「ママもだけど、コン兄もユージン様と友達だったし、アタシの知らないことばかりでびっくりよ。もう、うちってば自遊が過ぎるわ」
信じられない家族としか云いようがない。
実は他の兄弟に至っても、年がら年中、不在者ばかりなのだ。
「それでも、あなた達のことを一日だって忘れたことはないのよ。パパもママも何よりもあなた達は私達の宝物だもの」
どんなに離れていようとも、親は親、子供は子供。
兄弟の誰一人、忘れたことはない家族なのだから。
「ママ、ママのこと忘れたことないわ。パパのことだっていつも逢いたい。一緒にいたいと思っているもの」
知らず知らずのうちに菫青の睛から涙が溢れ出していた。
「菫青。ありがとう。私達の心はいつだって、あなた達と一緒にいるわ。忘れないでね。愛してる」
両手で菫青の頬を挟み、睛から零れた涙を拭う。
「ママ・・・今日の、そのお洋服もステキね。アタシがゴシックファッション好きなのはママの影響が大きいわ」
泣きながらでも母親の衣装チェックは怠りない。
夜天夫妻のトレンドは、古えの昔からマニアの多い白や黒を基調とした中世ヨーロッパをモチーフにしたゴシックファッションである。
ある程度の年齢が経った年配の愛好者を総称して「エルダーゴス」とも喩えられている。
「そうでしょ、やっぱり黒は最強よね。地球に帰ったら新調したいわ。菫青も一緒にショップ巡りしましょうね」
「する!する!絶対!約束よ。ママ!」
睛を輝かせた菫青の意識はスッカリ地球に飛んでいる。
「ええ、そうしたら、コザル王女も一緒に連れて行きましょう。彼女の美意識の高さは火星のオリンポス山より高いわ」
オリンポス山とは火星最大の楯状火山である。(標高21,230m、27,000m地表から)
太陽系内で一番高く、地球一高いチョモランマが富士山のような規模に思える。(但し、地球の山々は海抜を要するので海面下は詳細不明)
名前の由来はギリシャのオリンポス山からだ。
場所はタルシス地域に位置している。
火星の地表には海がなく、地球の海抜が地面からだ。
それにしても、未だに活きた火山とは驚きである。
「そうね。王女もきっと喜ぶわ」
コザル王女も地球へ向かうと云っていた。
「それと、パパならキッチンにいるわ。火星で面白い食材が手に入ったとかで張り切っていたから、今夜はパパの手作りご飯となりそうよ」
「夜天家」の主人は料理が趣味の一つでもある。
お陰で妻である菊花は滅多にキッチンに立つことはない。
「へぇ、パパの手料理も久しぶりだわ。楽しみがいっぱいになった感じ」
やはり、一番恋しかった両親の存在は大きい。
菫青のテンションも上昇中だ。
「ふふ。菫青のなんでも楽しむところがママは大好きよ」
嬉しい言葉を吐く娘のような息子を抱き締める。
「ママ!苦しい」
でも嬉しい。
久々の親子のスキンシップに盛り上がる。
「旦那様、こちらの盛り付けは如何なさいますか?」
広々としたキッチンで月の邸宅の従者ミンタカが「夜天家」の主に訊ねた。
火星で手に入れた食材の調理中である。
「うん、そうだな、大皿に盛り付けてビュッフェにしようか」
コック服に身を包み、本職ではないが妙に板に就いた佇まいの人物こそが、「夜天家」の当主「夜天天青」(ヤテンテンセイ)その人である。
「畏まりました。菫青様や星葉様もお喜びになられますね」
月の裏側まで同行せず留守番をしていた時に「夜天家」の当主達が半年振りに帰宅した。
なんの前触れもなく突然姿を現すのはいつものこと、既に慣れ親しんでいるミンタカ及びアルムとアルクのオリオン三兄弟にとっては特に驚くほどのことではない。
天青のサポートに一人だけミンタカがキッチンに入っていたのは他の二人より疲労感がないせいだ。
「双子達がこちらに来ていたとは驚いたよ。彼等に逢うのも久々だからね。親としては失格かも知れないけどね。だから、今は思いっ切り子供達を持てなすとしよう」
それがせめてもの親心と云うものだ。
「旦那様は充分に親御さんとしての役割を果たしておりますよ。菫青様や星葉様の素直にお育ちになられた姿には感銘を受けましたから、決して失格では御座いません」
盛り付けに集中しながらミンタカが応える。
火星食材の特徴の一つは野菜や果実の巨大化だ。
地球にも妖精の力を借りて巨大に育つ土地がある。
英国のフィンドホーンだ。
だが、火星は惑星全土で生育が好い。
「はは、君はおだて上手だな、ミンタカ。君達にも感謝しているよ。私達が留守の間、いつも月の家を護ってくれて有り難う」
主のいない月の邸宅の管理全般をオリオン三兄弟が担っている。
そこにプラスしてのコザル兄妹はいてもいなくても大差はない。
「有り難う御座います。そのように申して頂けて私達は大変幸せに御座います」
料理を次々と皿に盛り付けてゆきながら、ミンタカは丁寧にお辞儀をする。
「本当のことを口にしたまでだよ。さて、盛り付けも完成したことだし、宴会としようか」
「畏まりました。ではリビングにお運び致します」
天青に応えてミンタカが出来上がった料理の皿をワゴンに移動する。
「「私達もお手伝い致します」」
オリオン三兄弟のアルムとアルクも現れた。
「それじゃあ、二人にも運んで貰おうか」
「「畏まりました」」
丁度好いタイミングで現れた二人にも役割を与える。
「さあ、パーティーの始まりだ!」
天青が張り上げた声がキッチンに木霊した。
月の従者達が次々と料理を乗せたワゴンを運び込んでいる。
リビングにて親子の再会を楽しんでいた菫青が驚きの余り言葉を失っていた。
「・・・・・」
一体、誰が喰べるのやら。
「さあ、お待たせしたね。今宵は私の手料理祭りだよ」
コックコートそのままの「夜天家」の当主が登場した。
「パパ!」
ソファから立ち上がった菫青が間髪を容れず、天青へと跳び付いた。
「おー!菫青、久し振りだな。元気そうでパパは嬉しいよ。相変わらず可愛いね。娘のような息子だけど」
跳び込んで来た菫青を抱き留める。
久々の再会の抱擁に感極まる父と子である。
「うん、アタシは元気よ。パパ、愛たかった!やっと逢えてウレシイ以外に何もないわ」
両腕を天青の胴に巻き付け擦りより頬を寄せる。
「嬉しいこと云ってくれるね。菫青。君は随分と大人になったんだな。しかし、君が一番ママに似て来たな」
思い返せば菊花と出逢った頃の姿に好く似て来たと思う。
「パパ!ウレシイ♡相変わらずダンディでカッコイイ。だけど、なんで今はシェフなの?今日は何があるの」
本当に今日はなんとも慌ただしくも目まぐるしい一日だった。
最後の最後にまだ何かイベントがあるのだろうか。
「パパ達は今まで火星にいたのだよ。そこでちょっと珍しい野菜や果物を手に入れてね。元々の種[タネ]は地球から持ち込んだものらしいのだけど、改良されるごとに火星の風土と相まって生長著しいのが面白いんだよ」
「パパ、いつの間にファーマーになったの?」
確か、この父はヒーラーでチャネラーでスピリチュアルセラピストだったように思う。
「そうだなぁ、パパは何でも屋かも知れないな」
好奇心と行動力が少しでもあれば、後はチャレンジするだけだ。
「うん、好きなこと出来るのって大事よね」
何事も嫌々やっても長続きはしない。
どうせやるなら好きを極めたい。
「あー!パパ、ママ、どうしてここにいるの!」
突如響いた甲高い声に、親子の和みの時間がぶち壊された。
「あーうるさい。セイ!声がでかい!」
眉間にシワをよせ、心底、嫌そうに菫青のテンションもダダ下がりだ。
「だって、ビックリするじゃん!まさか、ここでパパとママに逢えるなんて思ってもいなかったもん。でもなんでパパ達はここにいるの?」
驚愕するも嬉しいことには変わりない。
「火星での仕事がひと段落したから、地球で休暇を取る前に月に立ち寄ろうってことになったんだけど、ここで君達に出逢えるとは思いもよらなかったな」
思わぬ再会となった我が子達ではあるが、元気そうでなによりだ。
「パパ達、地球に帰って来る予定だったの?」
母親が自分と地球でのショッピングの約束をしたのは、本当に帰郷するつもりだったからなのかと改めて思う。
「その予定だったよ。地球で久し振りに家族みんなとゆっくり過ごそうかと思ってね。久々の休暇を取ろうかと思っているんだ」
それは菫青が、星葉が、生まれてから初めての親子団欒のひと時かも知れない。
「ホントに?それが本当ならすごく嬉しい。ずっと希んでいたことだったもの」
本心が口を吐く。
「君達には淋しい思いをさせてしまったね。親として失格だな。どうにも、パパもママも仕事を優先してしまって済まない。自分の気持ちを抑え切れない性格でね」
親として子供達には申し訳ないやら、情けないやら、複雑な感情の嵐に見舞われる。
「うん、淋しかった。でも、そんな時に一緒にいたのがセイだったりコン兄だったり、最近ではコザル兄妹達もいて楽しいから大丈夫」
両親の留守での淋しさはあるけれど、それを補うだけの大事な存在がいることに改めて気付くことになった。
「そう云われると、パパ達の方がちょっと淋しいなぁ。それも子供達の成長と思えば喜ばしいのかも知れないけれど」
子供の成長は早いと云うが、暫く逢わないと時間が経つのは「光陰矢の如し」である。
「パパとママはいつまでも年を取らないみたいで若々しいわ」
それは本人達の生きがいでもある仕事、支事または志事を持っているからかも知れない。
「嬉しいことを云ってくれるね」
全て理解している訳でも、了解している訳ではないけれど、全てに反対も反抗もしたい訳ではない。
「うん、いつかどっかで爆発するかも知れないけれど、その時は黙って視ていてね。そんな気分の時なんだと認めてくれれば好いの」
この子は本当に十代の子供なのだろうか。
「夜天一族」
最終章「夜天一族」後編 へつづく~
キャラ紹介
「コザル王女」
お兄さまLOVELOVEっ子
そもそも
パソコンを新調したのも
漫画イラスト用ソフト「クリスタ」をセットで購入したのも
LINEスタンプを作るつもりだったのに
すっかり予定がすり替わってしまった
コザルスタンプ作ろっかな~
やっとぼちぼちクリスタの操作に慣れて来たしな
多分
パラレルワールドの自分はスタンプ作りに励んでいるのだろう
現世でシンクロし始めているのかも?
こっから追加のトークといきます
本編は再録でもトークページは追加の書き下ろしをしています
まぁ
人生そのものが妄想と幻想で出来ている私のパラレルワールドではあれもしたいこれもしたい
と気持ちばかり奔走しているのかも知れません
旧正月やら宇宙正月やら1月2月は新年おめでとうが続くようです
節分はまさに季節の分け目
立春とともに季節も変わり
目に見えない時代の変化が現れているそうです
今後はどのような変化の時代を迎えてゆくのでしょうかね〜
私は今の職場の居心地が悪くなっているので
そろそろ何かしらのアクションを起こすタイミングがやってくるのかな〜とワクワクしています
ご拝読サンキューね!
(=゜ω゜)ノバイバイキーン!
■「夜天一族」スピンオフ