先日、たがや議員から渾身の質問主意書が提出されました。

 

 

 

 

それに対して、本日高市首相からの答弁が公開されました。

 

 

12月22日付の高市首相からの回答

 

 

さぁ、逃げて逃げて逃げまくる回答だったのか?

 

さっそく見ていきたいと思います。

 

 

 

質問① あんさんが信奉する男系継承が正しいというなら、その学説を提示してみやがれ

一 高市総理は、前述の指摘を受けて尚、政治家として「百二十六代にわたり先人が男系皇統を守ってきた。男系皇統の維持は、祖先たちへの責任でもあり、未来への責任でもある」との信条を維持するのか。この信条は、いかなる歴史学あるいは皇室史研究に立脚してのものか。

 

 

【高市首相からの回答】

お尋ねは、政治家個人としての発言に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。

 

。。。

 

はい、逃げたー絶望

 

 

 

 

そりゃそうよね。だって百二十六代続いたなんか、ホラの造り話だし、信じる信じないはあなた次第!のドクロオカルトドクロの世界。

 

それを証明する学術的な研究成果なんか、ありはしないのです。

 

 

 

 

質問② 首相はそれでも(嘘っぱちの)男系継承を維持する立場をとるんか?

 前述の「男系継承」に関わる高市委員質疑に対する安倍長官答弁「これは学問的な知見や個人の歴史観、国家観にかかわるものでございまして、私も官房長官として政府を代表する立場でございますので、特定の立場に立つことは差し控えさせていただきたい」との立場について、高市総理は政府がとるべき姿勢として妥当と考えるか。

 

【高市首相からの回答】

二について御指摘の答弁で示された政府の立場に変わりはない。

 

これはつまり、首相としては、「男系絶対!」や「愛子さまの立太子を支持!」といった特定の立場に立つことはしない、と言っています。

 

ただ、これは政府としてはそうだが、高市個人としてはそうではない、ともいえる内容です。一国の首相を務める人間は軽はずみな発言は厳に慎むべきだと、私は考えますね。

 

 

 

質問③ Y染色体って本気でそれ言ってんの?

 同じ予算委員会質疑で高市委員は天皇家の御長女・敬宮愛子内親王殿下が皇位継承され、その次に代を継がれていく場合を想定され、「女系の祖先は小和田家になる」としながら、「男系男子に限って正確に受け継がれてきた初代天皇のY染色体というものはそこで途絶」と発言している。そもそも古代の歴史でサンプルの取りようもない染色体レベルの話を皇位継承に持ち込んで「男系維持」の主張をすることは、はなはだ突飛な議論に思える。その上、ヒトの染色体でY染色体はほんのごくわずかを占めるものに過ぎない上、何代かを継ぐ中で原初のものは消失する場合が多いことが、遺伝子学の世界で知られている。国の根幹にかかわる皇位継承問題で高市総理がこうした突飛な論点をなぜ持ち込んだのか、その根拠、客観的な学問的裏付けを示されたい。

 

 

【高市首相からの回答】

お尋ねは、政治家個人としての発言に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。

 

これは完全にたがや議員の勝利!クラッカー、と言って間違いないでしょう。

完全に論破していますので、高市首相が今後Y染色体を用いて男系継承の正当性を主張するようなことは、とても恥ずかしくてできなくなりました。

 

勉強になったなぁ、高市さんよぅニヒヒ

 

 

 

 

そして、質問④と⑤に対しては、かなりの文字数を割いて、2つまとめて回答していました。

 

 

質問④ 将来は女性・女系天皇もOKということなん?

これまで繰り返し国会でも質問され、私も質問主意書で取り上げたことだが、二〇〇五年十一月に「皇室典範に関する有識者会議」が提出した報告書で提起された皇位継承における「女性天皇、女系天皇容認」について、その意義を歴代総理大臣が否定したことはない。それは今日、「悠仁親王までの皇位継承順位まではゆるがせにしない」とした二〇二一年末の「「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議」報告を受けた段階でも、将来的な「女性天皇、女系天皇容認」に含みを持たせた結論として、引き継がれているのか。確認されたい。

 

質問⑤ 愛子さまでもうよくね?

前項の「悠仁親王までの皇位継承順位まではゆるがせにしない」という内容で当面、男系男子継承にこだわり、天皇家の直系長子である敬宮愛子内親王を皇位継承から排除していくなら、やがて悠仁親王が皇位に就いたとしても次世代の継承者が生まれなかったりした上、女性皇族に目を向けても先の世代への継承者を考えられない状況が生まれかねないという危機的状況に直面する可能性があるのではないか。「皇統の維持」を最優先に考えるなら、二十年前に「緊急の課題」として提起された「女性天皇、女系天皇容認」の方向での皇室典範改正を国会で諮り、敬宮愛子内親王の立太子と皇位継承を優先させ、引き続き悠仁親王に連なる秋篠宮家をはじめとする他の宮家が天皇家を支える重層的な皇室の在り方を実現する方が、皇族数の減少と少子高齢化社会の現実を踏まえればベストな方策と言えるのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

 

 

【高市首相からの回答】

お尋ねの「将来的な「女性天皇、女系天皇容認」に含みを持たせた結論として、引き継がれているのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」(平成二十九年六月一日衆議院議院運営委員会)の一及び「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」(平成二十九年六月七日参議院天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会)の一に示された課題(以下「附帯決議に示された課題」という。)については、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議において、平成十七年十一月二十四日2の「皇室典範に関する有識者会議報告書」も踏まえつつ、「皇位の継承という国家の基本に関わる事柄については、制度的な安定性が極めて重要であります。

 

また、今に至る皇位継承の歴史を振り返るとき、次世代の皇位継承者がいらっしゃる中でその仕組みに大きな変更を加えることには、十分慎重でなければなりません。

 

現行制度の下で歩まれてきたそれぞれの皇族方のこれまでの人生も重く受け止めなければなりません。

 

会議としては、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないということで一致しました」とし、皇位継承の問題と切り離して、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること、皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること等により皇族数の確保を図ることを内容とする報告が令和三年十二月二十二日に取りまとめられており、政府としては、同報告を尊重することとして、令和四年一月十二日に国会に報告を行ったものである。

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。。。

 

これは極めて官僚的な回答、と言えるかと思います。

 

一見、悠仁親王まではゆるがせにはしない、と高市首相が言っているようにも思えますが、虚心坦懐によく読んでみると、政府としては令和の有識者会議報告書を尊重する、とだけ書いてあります。

 

つまり、尊重はするが、変わってもそれはそれで仕方がない、とも読める内容になっています。

 

かなりあいまいな戦法をとってきている点は、要チェックですね。

 

 

質問⑥ 双系説を唱える学者を国会に呼ぼうぜ!

二〇〇五年の「皇室典範に関する有識者会議」並びに二〇二二年末に報告書が出された「「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議」においては、前出「双系」学説に立った学者、研究者の有識者ヒアリングが行われていない。これは実証的研究などに基づく歴史学研究の成果を軽視しており、皇位継承のあり方について検討していく上で望ましくない。今後政府や国会で議論していく上でも、これらの学説にも視野を広げるための方策としてヒアリングの場を設けていくべきではないか。

 

【高市首相からの回答】

附帯決議に示された課題については、現在、国会において御議論が行われていると承知していることから、政府として御指摘のようなことは考えていない。

 

 

 

ムキームキームキームキームキー

 

これはダメでしょう。

理屈が全く通らない。

 

現在議論が行われているから、双系説を唱える学者は国会には呼ばない、と言っています。

 

???

 

全然理由になっていない!

 

議論が行われていることと、双系説を唱える学者を呼ばないことは、全くつながらず、反論どころか言い訳にすらになっていないです。

 

少なくとも質問②で回答した、政府としては特定の立場に立たない、をいきなり覆していませんかね?

 

思いっきり男系に傾倒した立場に立っています。

 

 

 

 

  回答を見ての感想

 

大方の予想通り、男系の歴史の正当性、Y染色体論の根拠については、なにも提示せずに逃亡しました。

 

つまり、官僚も、反論の根拠は何も持ち得ていない、ということが公的文書を通じて明らかになったということです。これは、たがや議員の成果と言えるでしょう。

 

一方で、政府としての立場は、特定の立場には立たない、という従来の姿勢を示しながらも、双系学説を唱える学者を呼ぶことは拒否する、といった、背反する内容になっている点は見逃せません。

 

これは、男系維持の方策に対して、世間大多数が全く賛同していないということを政府が強く意識している証左、ではないでしょうか。

 

双系学説を唱える学者を国会に呼び、それが全国に放送で流れようものなら、これまで男系固執派が支持母体(日本会議、神道政治連盟、旧統一協会)との間だけで築き上げた「狭い世間での常識(=男系絶対)」が、愛子さまフィーバーの時流に乗って一気に崩壊してしまいます。

 

政府はそういったリスクを恐れている、と言えるでしょう。

 

そのことが公的文書を通じて明らかになった、というだけでも、今回の質問主意書には大きな意義があったのではないでしょうか。

 

一歩前進。

 

しかし戦いはまだまだ続く。

 

 

今日も読んでいただきありがとうございました。