心霊話？「なくなった定期券」

　お盆ですので、

　怖い話でも

　したいところですが、

　ボクには霊感がありません。

　霊体験をしましたって

　自信をもって

　話せるものはないのですが、

　不思議なものを見たような

　気がします。

　高校生の時の話です。

　　高校は電車通学でした。

　　当時のボクの部屋は、入り口が障子の和室でした。

　　そして、入って正面に洋ダンスがありました。

　　そのタンスの戸の内側に鏡がついてましたので、
　　毎朝タンスの前に立って、
　　制服を着たり、髪型を整えたりしてました。

　　その日の朝も、タンスの前で着替えました。
　　そして、さあ行こうか・・・・って時に
　　ふっと気づくと、いつも上着の胸ポケットに入れてる
　　定期券がないんです。

　　机の上や、床に落ちてないか
　　あれこれ探したんですが、見つかりません。

　　母親に
　　「もしかして昨日脱いだワイシャツの胸ポケットに入ってなかった？」って
　　聞いたんですが、なかったってことでした。

　　そのうち、
　　学校に出なくてはいけない時間になりますし、
　　母親は、
　　どこか外に落として来たんじゃないかだの、
　　いつも部屋をきちんと整理しないからだだのと
　　余計なことを言い出しますから、
　　ボクのイライラも高まります。

　　結局、探すのはあきらめて、
　　切符を買って学校に行きましたが、
　　その日は、ずっと不愉快な気分でいっぱいです。

　　授業中も、定期券がどこいったのか
　　あれこれ考えて、
　　頭を離れません。

　　そうこうしてるうちに帰宅時間。

　　家に着いて、
　　今度こそ、定期券を探し出してやる！って部屋に向かいます。

　　・・・・で、部屋の障子を開けた時に、

　　それを見ました。

　　部屋はカーテン締めて薄暗かったんですが、
　　それは、ぼんやり白くて、

　「手」に見えました。

　タンスの上からニュッと出て、

　それがストンと定期券を落としました。

　　定期券は、
　　朝に着替える時に、
　　自分で無意識にタンスの上に
　　置いたんでしょうね。

　　無意識にやったもんだから、
　　すっかりそれを忘れて、
　　なくなったと勘違いして、大騒ぎしちゃったんですね。

　　まぁ、「手」に見えたものは、
　　明るい所から急に暗い所を見たために
　　幻覚を見たんだといって
　　説明出来るかもしれませんね。

　　でも、腑に落ちない点は、
　　なんであんなタイミングよく、
　　定期券が落ちたのでしょうか？

　　入り口は障子ですから、
　　思いっきり開けたとしても部屋の空気は動かないでしょう。
　　だいいち、あの時はそんなに強く障子を開けなかったと覚えてます。

　　部屋のたてつけ自体もしっかりしていましたから、
　　障子を開けることで、振動が起きるようなこともなかったはずです。
　　それに、くり返しますが、
　　そんなに強く障子を開けなかったんです。

　　どう考えても、
　　定期券が自然に落ちたとは思えないのです。

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