今回は名前に「ゴイ」の付くサギたちのお話しです。
え?いきなり何故?…と
実は名前に「ゴイ」の付くサギの種類は、この夏の時期にわりと活発になる子たちなんです。
そして、何より「ゴイ」の名前のサギたちは、ちょっと変わった感じの魅力的なキャラ揃いなんです!
ということで、(まあ、少々こじつけ感はありますが…)早速、房総で見られる魅惑のゴイ一派をご紹介することと致しましょう!
まずはこちら…ガマの葉陰からこんにちは
(2024.7.7 千葉県中央部)
里の池や沼の人気者。ヨシゴイです。
ヨシゴイは全長30センチちょっとのハト位の大きさのサギで、日本のサギの仲間では最小の種類です。
サギ科ヨシゴイ属のサギで、初夏に南西諸島や東南アジアから渡って来る夏鳥です。
池や沼などの小さな淡水域のアシ原などで繁殖します。アシやガマなどの垂直の茎につかまり移動し、小魚やオタマジャクシを狙います。その為、脚を写真のように広げることができるんです。(痛くないのか、いつも気になる(笑))
アシ原などに潜み、なかなか姿を現さないサギでもあります。
名前の「ヨシ」の由来はそのままズバリ、住んでいるヨシ(アシ)原から来ています。
お次はこちら…木の葉陰からこんにちは
(2024.7.15 千葉県南部)
千葉県ではごく一部で繁殖しているササゴイです。
獲物の魚を狙っています。
おっ!捕えましたよ!
パクリ!
飲み込んじゃいました。満足げな表情ですね。
ササゴイは全長40センチ程のサギ科ササゴイ属のサギです。冬は南西諸島以南で越冬し、初夏に渡って来る夏鳥。名前の由来は、白い、羽の縁が笹の葉をイメージするのでササゴイとなったそうです。
前にもご説明しましたが、我がフィールドのササゴイは崖の海岸林で繁殖し、海上を飛ぶ姿をよく見ます。通常は淡水域を好むので、これは大変珍しい光景と言えます。しかしここのササゴイたちの餌場は必ず河川。海岸に住んでいるなら、わざわざ河川まで来なくとも、海岸の磯を餌場とすれば近くて楽なのでしょうが、彼らは何故か頑なに河川に拘ります。
6月下旬から8月にかけて活発に行動し、8月以降は巣立った幼鳥も見られますが数はそう多くはなく、根気よく探さねばなかなか見つけることはできません。
そして、、、今度は林床の草影からこんにちは…
(2024.2.24 東京都)
幻の森のサギ。ミゾゴイです。
ミゾゴイは全長50センチ程のサギ科ミゾゴイ属のサギ。ヨシゴイやササゴイ同様に冬は南西諸島以南で越冬し、初夏に渡って来る夏鳥です。ただ最近は関東地方の都市公園などで越冬する個体などもおり、なんだか公園の野鳥のイメージが強いのですが、本来は森のサギなのです。
サギといえば水辺のイメージですが、ミゾゴイは森林生活に特化したサギで、湿った林床を歩き、ミミズやムカデ、カエル、サワガニといった小動物を捕えます。サギとしては、かなり変わった生態の持ち主です。
写真は都市公園で撮影したものですが、千葉県では房総丘陵で繁殖しています。しかし夏の森で出会うのは奇跡に近く、まず見ることの叶わぬ幻の野鳥と言えます。
名前のミゾは「溝」のこと。水路に住む…つまり溝のような所に住むという意味だそうです。
(う~ん何だか今ひとつピンとこないような由来)
樹上の葉陰からこんにちは…こちらは、、、
(2015.8.1 千葉県南部)
ゴイ一派を語るなら、この方を忘れちゃいけません!
ゴイサギです。まさに「元祖!名前にゴイの付くサギ」です。
ヨシゴイ、ササゴイ、ミゾゴイの全ての「ゴイ」はこのゴイサギの「ゴイ」なんです。
つまり皆「ゴイサギに似てる鳥」という意味なんです。
ではこの「ゴイ」の由来はと言うと、この「ゴイ」を漢字で書くと「五位」になります。
平安時代のこと。時の天皇であった醍醐天皇が、この鳥に五位の位を授けたという伝説から、ゴイサギの名前になったそうです。
ゴイサギは全長60センチ程のサギ科ゴイサギ属のサギ。河川から田んぼ、または海岸など幅広い水域を餌場とし、千葉県では一年中生息する留鳥です。
他のサギ同様に浅瀬で魚や甲殻類を捕えます。またこのサギは夜行性で、夜間飛びながら「クワッ、クワッ」と鳴くので別名「夜がらす」とも言われます。(ただし、アオサギも夜間飛びながら似たような声で鳴くので、識別には注意が必要です。)
この他にも房総では、サンカノゴイやオオヨシゴイといった「ゴイ」の付くサギたちが記録されています。2種とも私はまだ撮影したことがなく、いつかは写真に収めたいと思っておりますが…果たしてこの願い叶かどうか…。
と、言いますのもこの2種、千葉県内ではほとんど絶滅寸前だからです。また日本全国的に見ても、激減しており出会う機会はそうはないでしょう。
そして、減少しているのはこの2種だけではありません。実はこのゴイ一派全てが、近年数をかなり減らしているのです。
我がフィールドでもヨシゴイの生息地の池が開発の為整備され、消失しました。ササゴイも、かつてはフィールド内に3カ所の繁殖地がありましたが、現在は1カ所になっています。ミゾゴイに至っては、日本全国の総個体数が1000羽しか確認されておらず、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
「ゴイ」という名が付く共通点以外にも、何だか嫌な共通点があったものです。
「ゴイ」たちの減少。理由不明のものもありますが、とりもなおさず、人間の影響には違いありません。
ゴイ一派が数を増し、もっと身近な野鳥となる日を願いつつ、今回はこの辺で失礼致したいと思います。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。感謝です!
それでは、、、次回またお会いしましょう
では皆様、、、また👋でーす