小さな田んぼに囲まれた、とある山合いの田舎道。
ふと見ると車がとまっています。車の前には2羽の茶色い鳥が歩いています。
コジュケイかな?と思いましたが、何やら周りに黒い餡子玉のようなものが、コロコロと落ちています。あれはなんだ?
ん~?あの餡子玉動いているぞ…ってあれコジュケイじゃないよ!
ヒクイナ!餡子玉じゃない!あれはヒクイナの雛だー!!!
驚きました!そう!よく見ると成鳥のヒクイナ2羽と7~8羽の雛たち、つまりヒクイナの一家だったのです。
しかもなんとカルガモ一家のように道路を横断中。優しい車のドライバーさんは、鳥たちが横断するのを待っているのでした。
こんなヒクイナ親子の姿は初めて見ました。ヒクイナの親子と言えば、大抵は草むらの中をひっそりと、歩いて行くのを見る程度です。そもそもヒクイナ自体、なかなか姿を現しませんからね。
それがこんなにも大胆に開けた、しかも田舎道とはいえ自動車の通る道路を歩いているのですから驚きです。
ただ、このヒクイナ一家の姿を見つけた時、彼らは既に道の脇の草むら近く。ヒクイナたちはそそくさと草むらの中に入って行ってしまいました。
あ~残念。でも短時間でしたが、とても珍しい場面に出会うことが出来ました。こりゃラッキー。
優しいドライバーさんのおかげで事故も無く、あ~良かった、良かった。めでたし、めでたし
ん~でもなんとなく気になる。彼らは何処を目差して行ったのかな?
そう思い、何気に彼らが入っていった草むらに近づいて行きました。
まあ、既に彼らは草むらの奥でしょうし、姿が見られるなどとまったく期待もしていません。無論、雛連れ警戒心MAXの彼らを追うつもりも、接近する気も、毛頭ありません。ただ本当になんとな~く行った先が気になり、草むらに近づいただけだったのです…が、、、いや~、しかし、これがいけなかった~。
「キ、キ、キ…」という声。次第に「キ、キ、キ…」と声が大きくなります。そして更に「キキキキキキ!」と激しい声!近い!すると突然!!!
おわっ!?
何!? うそっ!飛び出してきた!!!
これって!
わわわわわっ、、、向かって来るよ!つ、突かれる!?
ヒ、ヒ、ヒ…
わわわ~どんどん来る~!焦る焦る!(思わず、後ずさり)
これってやっぱり!!!
おわー!やっぱり、ヒ、ヒ、ヒ、ヒクイナだー!!!
雛を守る為、戻って来たのです!どうやら私が雛を狙って、追って来ると思ったようです。
翼を広げています。偽傷(ぎしょう)行動(親鳥が雛を守る為に怪我をしたふりをして、外敵の目を自分に向けさせる行動)かな?…いや、そうではないようです。
翼を広げているのは、自分を大きく見せているのです。つまりこれは、完璧な威嚇行動です!
それが証拠に!ほら!また向かって来ましたよ!
こ…怖い…かも、、、いや、こりゃ、マジで怖いって!!!
わわわ!ちょ、ちょっと待って!
ゴメンなさい!すみません!許してくださ~い!
凄い迫力です!
20センチ程の鳥とは思えないくらい果敢に激しく、人間を威嚇しまっくてました!
驚きと恐怖と嬉しさ(?)のあまり、つい持っていたカメラで2回程連写しました。が、これがまずかった。
「何勝手に撮ってんじゃ~い!」とばかり怒髪天を衝くヒクイナ!益々怒り絶頂になってしまったのです。
これはまずい。マジでまずいのです。もう撮影中止!それどころではありません!
で…これの何がまずいのかというと、ここは田舎道とはいえ車道です。いつ車が来るか分からないのです。
怒り絶頂のヒクイナは私を追って道の真ん中辺りまで来てしまっています。つまり、下手をすれば交通事故に巻き込まれてしまうのです!
これでこのヒクイナが交通事故にでも遭えば、完全に私の責任。このヒクイナにも取り返しの付かないことをしてしまうのは勿論のこと、残されたヒクイナ家族にも申し訳が立ちません。というか親鳥が死ぬということは、残された雛たちの生命に関わる一大事なのです。
「ゴメンなさい。本当にすみません。何もしないよ~。だからもう行っていいよ。」
と何度も声をかけてみました…がダメです。ハタから見たら、鳥に話しかけるのは「この人変なの?」と思われるかもしれませんが、私は言葉…というか思いは他の生き物にも必ず通ずるものと、マジで信じてる人なので…でもこの時は流石にダメでしたね~ガーン💧
こうなったら仕方がない。ある程度の距離をとり、もし車が来たら身を挺してでも止めるしかありません。どうでもこのヒクイナは守らねばなりません。(とはいえ本当は、危険ですのであまり良くないことなのですが…)
しかし、なかなか遠ざからない私を見たヒクイナは、更に威嚇してきます。全く去る気配無し。
う~ん💧もう!どうしたらいいの~???おじさん半ベソ状態
もうどうしようもない状況。仕方なく、左右を見て車が無いことを確認。そして少しずつ、少しずつ、しかしなるだけ速やかにその場を離れて行ったのでした。
するとヒクイナは「キキキキ!」と文句を言いながら徐々に、元いた草むらに去って行ったのでした。
「良かった~。本当に良かった!」ホッとしました。一時はどうなるものかと青ざめましたが、無事何事も無く済みました。
野鳥の撮影はいかに被写体の野鳥に迷惑やストレスを与えずに行うかが鉄則です。
今回は不可抗力とはいえ、彼らに多大なるストレスと迷惑をかけてしまいました。
まさかあの警戒心の強いヒクイナがこんな行動に出るとは予想だにしていませんでした。今回は悪い意味で、ヒクイナの怒りと警戒心MAXのタイミングが合ってしまった為に起こった、かなりレアなケースといえます。(普通ではありえません。)
まあ、いずれにせよ親が子を思う気持ちに人間も野鳥も変わりないという証拠ですよね。
皆さんも野鳥の観察や撮影する時は、相手の野鳥の身になって行うよう、切にお願い申し上げます。
一歩間違えれば、安易なその行動が、取り返しの付かない事に繋がるやもしれませんよ。
今回のお話しは、私自身の反省も含め投稿致しました。本当に皆さんも注意していただき、野鳥や自然に優しい観察&撮影を心がけていただければと思います。
ということで今回はこの辺で失礼致します。
暑い日が続いております。熱中症等どうぞお気を付けて~
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
では皆様次回またお会いしましょう~
それでは👋またでーす
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