あう…あうああ~!(何見てんのよ~!)
ヤドリギの実を飲み込もうとしているヒレンジャクさん。お食事中に失礼しやした~。
(2023.2.17 千葉県中央部)
ヒレンジャクは全長18センチ程のレンジャク科レンジャク属の野鳥。ユーラシア大陸東部の一部地域で繁殖し、日本へは越冬の為に渡って来ます。雌雄ほぼ同色で、尾羽の先端の赤色と冠羽が目立つ、とても美しい野鳥です。(バーダーや野鳥カメラマンに大人気の野鳥。関東では2~3月頃にこの野鳥を探すのが、多くの野鳥好きの風物詩?)
彼等の餌は主に木の実で、日本ではヤドリギの実が主食といってもよいほどです。
で、…今回はこの美しい野鳥ヒレンジャクと、寄生樹ヤドリギのお話しをしたいと思います!
大木に生えるヤドリギ。鳥の巣のように見えるのは全てヤドリギです。
(2023.3.1 千葉県中央部)
ヤドリギの生えた木の、すぐ隣の木にヒレンジャクの群れが集まっていました。
(2023.2.27 千葉県中央部)
ヤドリギはヤドリギ科ヤドリギ属の常緑小低木で、落葉広葉樹の大木に寄生するというちょっと変った生態を持っています。
彼等は宿主の枝に食い込み水分や養分を吸い取りながら、光合成も自らおこなう言わば半寄生植物です。
ヤドリギは秋に黄淡色の美味しそうな実をつけます。(赤っぽい実をつけるアカミヤドリギという種類もあります。)
この実を主に食べる野鳥がいます。それがヒレンジャクとキレンジャクです。ヒヨドリなども食べることがあるようですが、あまり好んでは食べないようです。
ヤドリギに群がるヒレンジャクたち。
(2024.2.19 千葉県中央部)
アカミヤドリギとヒレンジャク。
(2024.2.26 千葉県中央部)
いただきま~す!
パクリ!
えいっ、えいっと…なかなか取れないわね~…これ💧
(2023.2.17 千葉県中央部)
ヤドリギに群がり、実を食べ続けるヒレンジャクたち。
彼等はヤドリギの実を食べ終わると、必ずと言ってよいほど水を飲みます。他の鳥たちより水飲みの回数は多く、ひたすら食べては飲みを繰り返します。彼等の生活圏にはヤドリギと水場はセットで存在しなければなりません。ですからヒレンジャクの集まるヤドリギのすぐ近くには、大抵の場合彼等の水場があります。それは川、水路、水溜まりなど実に様々。時に人家の庭先の池や、雨樋の溜り水さえも立派な水場となります。
水場の側にある木にとまり、まずは周囲を十分に警戒。
ヒレンジャクの群れは時に100羽以上にもなります。
(2023.3.5 千葉県中央部)
枝も無く開けた水場に降りるのは、猛禽類などの天敵におそわれるリスクが高まります。
水場を目の前にしたこの2羽もかなり緊張している様子。
(2023.3.5 千葉県中央部)
水場である小さな川に降りてきたヒレンジャク。
美味しそうにお水を堪能。
(2024.2.26 千葉県中央部)
糞をするヒレンジャク。水を飲み終えるとまずはプリッ!(お食事中の方すみません~。)
この糞には粘着性が有り、ヤドリギの種も一緒に排出します。
(2024.2.17 千葉県中央部)
ヤドリギの果実の果肉はヌルヌルで、レンジャクの消化器官を通りやすくなっているといわれます。そこに彼等が水を摂取すれば更に通りがよくなるという仕組み。そしてその種子の表面には白い筋があり、更に粘着質の層で覆われているそうです。この白い筋はとても伸縮性に富んでいる為、写真のようなベタベタで、とてつもなく伸びる糞となるのです。
この糞の中にはいくつものヤドリギの種が入っています。この「種入りベタベタ伸び伸びの糞」が、宿主である樹木の枝にくっつくと種はやがて芽吹き、めでたく寄生となります。このようにして、ヤドリギたちは次世代にその命を繋ぐのです。
いや~ヤドリギさんもなかなか、やりますな~
(参考文献:身近な鳥のすごい食生活・唐沢 孝一著)
ヒレンジャクの後ろにご注目!黄色い糞が見えます。
このように枝に付着するんです。
(2024.2.19 千葉県中央部)
ご飯も食べたし、お水も飲んだし、ウンチもしたし…あ~スッキリ~
お次は、ま~ったりタイム。
まずはブルルルっと!
カキ、カキ、カキ
ん~もう!痒い~(更に)カキ、カキ、カキ!
次は翼を伸び~。
背中の羽毛もお手入れよん!
(2024.2.19 千葉県中央部)
ヒレンジャクとヤドリギの関係性。一見するとヤドリギがうま~くヒレンジャクを利用しているように思えます。いかにも美味しそうな実をつけ、ヒレンジャクたちの気を引き、そうして食べさせたら喉を渇かせ水を飲むよう仕向ける…。
う~ン💧ヒレンジャクはいいように使われているみたい?
いやいや、そんなことはありません。
先程お話ししたように、ヤドリギの実はヒレンジャクたち以外の野鳥はあまり食べません。(キレンジャクは別ですが)この理由は分かりませんが、おそらくこれもヤドリギがそうさせているのでしょう。しかしそのおかげで、ヒレンジャクたちはヤドリギの実を労せずほぼ独占することができます。冬の餌の少ない時期にこれはかなり有利なことです。
もし、ヤドリギの実がヒヨドリなども好んで食べる実ならば、なかなかレンジャクたちは餌にありつけなくなります。(以前投稿した「ヒレンジャクとピラカンサの小径」を是非、参照してくださ~い。)
まあ、言い換えればヤドリギはヒレンジャクたちがいなければ、種の存続ができなくなる…ということです。
つまりこの2種の生き物は、「持ちつ持たれつ」の関係と言えます。
野生の生き物たちの世界は、必ずしも「食う者食われる者」だけの単純な関係性ではないんです。多くの命が複雑に関わり合って
存在しているんですよ~。
てなことを偉そうに言ってしまいました。すみません~
とまあ、そんなところで(どんなところだ?)…今回はこの辺で失礼したいと思います~。
では皆様~
👋またお会いしましょうね~