多くのバーダーや野鳥カメラマンが心躍らす秋のタカの渡り。

 

9月のサシバに始まり、ハチクマ、ノスリなどが次々と越冬地へと渡って行きます。

そして、そのトリを飾るのが…

 

ハイタカさん!です!

 

かっこよい!チュー

 

 

 

 

ハイタカ雄。

三浦半島から海を渡りここ、房総半島までやって来た個体です。

 

お疲れ様で~す。ニコニコ

 

(2020.11.21 千葉県内房)

 

 

 

海岸に現れたハイタカ。この時は獲物の小鳥を探し飛び回っていました。

 

(2018.11.3 千葉県洲崎)

 

 

ハイタカは雌で全長40センチ程、雄で32センチ程のやや小型のタカの仲間。(タカ科やハヤブサ科の鳥は雌の方が大きい。)

ユーラシア大陸に広く分布し、日本では四国以北で繁殖しますが局地的のようです。千葉県では通常、漂鳥(国内の繁殖地からやって来て越冬する)か旅鳥(通過個体)です。

 

主な餌は小鳥類。時に同大のキジバトなどを襲うこともあるようです。私の観察では、山の尾根の上空から急降下して小鳥に襲いかかる姿や、アシ原でスズメの群れに猛スピードで突っ込む姿を見たことがあります。林の樹間を縫うように飛んで小鳥を捕らえるとも言われており、山林に住む小鳥類にとってハイタカは最大の脅威かもしれません。

 

さて、秋も深まる10月下旬頃から11月にかけて、他のタカたちよりやや遅れてハイタカたちの渡りは始まります。

ハイタカの渡りはサシバやハチクマの渡りとは明らかに違います。サシバやハチクマが南の暖かい越冬地を目指すのに対しハイタカは北へ南へと個体により向かう方向が違うのです。

 

これは食べ物に関係していると思われます。サシバやハチクマの主食は昆虫や両生類そして爬虫類です。これらの生き物は寒い冬にはいなくなってしまいます。ですからこのような生き物がいる南の地方へ渡るのです。

 

しかしハイタカの主食は小鳥類。北にも南にもいます。ですから南の移動にはこだわらないのです。彼等にとって最も懸念すべきは多くの個体が集中すること。一カ所に何羽ものハイタカがいれば、いずれは食べ物が枯渇してしまいます。そのために彼等は移動し、そして分散するのだと考えています。(個人的予想ではありますが、多分そういうことだと思います。同ブログの「ノスリの大冒険」でも同じようなこと書きましたが…そっちも読んでね~爆  笑

 

 

 

三浦半島から房総半島に到着。

 

このように割合目線に近い高さで来る者もいれば、高く飛ぶ者や逆に海面近くを飛んで来る者もいます。渡りの方法もバリエーション豊かなハイタカたち。

 

 

房総半島到着後、斜面近くを飛ぶハイタカ。

森や林生まれのハイタカたち。必死に海上を飛んで来て、やっと地上の木々を見ると、きっと安心するんだろうな~。

頑張ったね~。

 

(2021.11.3 千葉県内房)

 

 

海の上を飛ぶハイタカ。対岸の三浦半島から来たのか、これからそちらへ渡るのか?

 

(2023.11.14 千葉県洲崎)

 

 

房総半島の内房(東京湾側)ではハイタカの渡りを観察できる場所が幾つかあります。館山市の洲崎もその一つ。

 

房総半島では対岸の三浦半島や大島などへ渡るハイタカや、逆に三浦半島から渡って来るハイタカを見ることができます。俗にですが、西へ向かうハイタカの渡りを「正渡り」と言い、逆に西から来るハイタカの渡りを「逆渡り」と言います。更にこの逆に渡るハイタカを略して「逆ハイ」と言うのです!チュー(サシバやハチクマのように多くの野鳥たちは秋になると南へ移動します。なので日本列島を西へ向かうこと、つまり南を目指すことを「正渡り」とよんでいます。)

 

つまり房総半島で言うところの「逆ハイ」は、三浦半島からやって来るハイタカたちのことですね。

 

ちなみに洲崎では「正渡り」と「逆渡り」の両方が確認されていますが、洲崎の場合、三浦半島や大島へ渡る「正渡り」の方が多く観察されています。他の内房の観察地では「逆渡り」の方が圧倒的に多い場所もあり、僅かしか離れていない場所でなぜこうも違うのか全くの謎です。また洲崎では海を渡らず、尾根伝いや、海岸線沿いに房総半島を陸コースで北上する個体も多く観察されています。この個体たちが三浦半島からやって来た個体なのか、これから別の場所から東京湾に出るのか、それともこのまま陸伝いに北上し続けるのか…? こちらも全く分かっていません。

 

こんなこともありました。3羽のハイタカが一緒に稜線に出て来たのです。そして、突然その内の1羽が方向変換!対岸目差し海へ飛び出して行きました。残りの2羽はそのまま陸を北上して行ったのです。

 

まるで「それじゃあ、私は三浦に行きますので。皆さんお気を付けて~。」「あらあら。ここでお別れですか。さみしいですね。

私らはこのまま陸伝いに行きますので。海上で上手く上昇気流つかんで下さいね。お気を付けて~。」な~んてこと言ってるみたいでした。爆  笑

 

今年やっとまともに洲崎で出会えたハイタカ。

 

(2023.10.28 千葉県洲崎)

 

 

ん?なんだ隣の黒白は?

ハクセキレイが一緒に写っちゃったびっくり

 

(2023.10.28 千葉県洲崎)

 

 

 

 

ハイタカの旅路は北へ南へと、それぞれ。

 

はたしてそれは、生まれた時から行くべきコースが、本能に組込まれているのでしょうか?

それとも自由気ままに、その年、その時でコースを決めているのでしょうか?

う~ん分かりませんよね~。こればかりは…

 

しかしいずれにせよ彼等の旅路は、ご気楽な旅行…みたいな感じにはいかないようです。

 

海越の時の天敵。ハヤブサ。

疲れたハイタカたちを待ち受ける。

 

(2023.10.30 千葉県洲崎)

 

 

それはハヤブサの存在。

 

ハヤブサは海上でもハンティングができるかなりの強者。渡りに疲れたハイタカは格好の標的。内房の観察地では、対岸から来たハイタカにハヤブサが襲いかかるシーンが目撃されています。ただしハイタカの巧みな飛行術に、流石のハヤブサも取り逃がしていたとのことでした。しかし人知れず襲われて命を落とすハイタカもいると思われます。

 

洲崎ではハヤブサがハイタカを襲うシーンをまだ見たことはありませんが、逆に鉄塔にとまるハヤブサ(写真の個体)に対して、わざと頭上スレスレに飛んで、威嚇しているところを見たことはあります。

ハイタカも負けてませんね!

 

 

 

 

北へ南へと旅をするハイタカたち。

 

ハイタカ それぞれの旅路。

 

彼等の1羽、1羽、それぞれに壮大なドラマが待ち受けているのでしょうね。我々はその一端を垣間見ているだけに過ぎません。

でも、それでも彼等の魅力に私たちは惹かれてしまいます。(本当にハマりますね~。)

 

ハイタカたちの旅の無事を願いつつ…

 

では皆様…

 

👋またでーす爆  笑