千葉県の南端にある岬、洲崎(すのさき)。房総半島の最西端にして東京湾の最南端。

ここは富津岬などと並ぶ、千葉県におけるタカの渡り観察地です。

 

 

房総半島南部は丘陵地帯と海岸部が接する場所が多く、ここ洲崎もその一つ。洲崎から旅立つタカたちは、稜線付近で発生する上昇気流を利用し舞い上がり、対岸である三浦半島や伊豆方面、大島へと向けて渡って行きます。(上昇気流で高く舞い上がり、次の上昇気流まで滑空して進みます。これを繰り返し移動するのがタカの渡り方の基本。そうすればほとんど羽ばたかず移動することができるからです。)そうして日本列島をどんどん南西へ移動し、サシバやハチクマは沖縄やもっと南の東南アジアなどへ、ノスリやハイタカなどは日本各地へ渡って行きます。

 

 

ここは渡る個体数は少ないもののその分、海を渡るタカたちの個々の姿をじっくりと観察することができます。そこが魅力なんですよね~。(各タカたちの渡りの様子はまた別の機会にじっくりご紹介いたします。)

 

 

さて、そんな洲崎で一際目を引くタカがいます。いわゆるスター的存在とでも言いましょうか。(他のタカさんたちごめんなさいね。笑い泣き

 

それがこの…美しき孤高の猛禽。疾風の旅人。チゴハヤブサです!びっくり

 

 

 

チゴハヤブサ幼鳥。この鳥の特徴である、下腹部の橙色はまだ淡い。

 

(鳥友撮影 2023.10.14)

 

チゴハヤブサは全長およそ37センチのハヤブサ科の猛禽類。ハヤブサよりも小柄で和名のチゴは稚児の意味です。ちょっと可愛いイメージですが、実際の見た目はハヤブサより小さいというか、よりスリムでスタイリッシュな感じです。とにかく格好良い!そして美しい!ハヤブサの仲間なのです。

 

日本では中部以北の地域で繁殖し、冬はユーラシア大陸南部で越冬します。高速でアクロバティックな飛行術で、飛翔する昆虫や小鳥類、時にはコウモリなどを見事に捕らえます。

 

洲崎では9月下旬頃から10月にかけて三浦半島などへ渡る個体が毎年記録されます…が、見られる数は少なく、日に1羽が普通です。しかも、毎回見られるわけでもなく、ワンシーズンに出現する数は3羽程度となかなかのレア度。(ただ個人的には毎日確認しているわけではないので、実際はもう少し多くの個体がここを通過しているかもしれません。だとしても少数ですが…)

 

でも、だからこそ余計にこの猛禽に惹かれちゃうんですよね~。

 

チゴハヤブサ成鳥。下腹部の橙色が目立つ。

 

(2018.9.17)

 

 

 

トンボを捕らえた。捕らえた獲物は飛びながら食べるのが普通。

 

(2023.9.17)

 

 

チゴハヤブサの狩りは本当に見事で魅了されてしまいます。普通に飛行していたかと思うといきなり体を翻し急降下。そして飛んでいるトンボなど(トンボが大好物)をあっという間にキャッチし、そのまま飛びながら食べてしまいます。

 

今年見た幼鳥(写真の個体)のトンボ獲りも素晴らしかったです。ゆっくりと旋回上昇。どんどん舞い上がって行ったな~と見ていると、獲物目がけ突然の急降下!その猛スピードたるや息をのむばかり。完全に圧倒されてしまいました。そうして狩りを終えると、何事も無かったかのように、あっという間に三浦半島へと渡って行ってしまったのです。おそらく狩りは成功したものと思われます。まあ、人間でいえば、お弁当を持っていったようなものですね。また、海に靄(もや)がかかり対岸がほとんど見えない場合、多くのタカたちは渡りを断念しますが、チゴハヤブサはそんな日でも平気で渡って行ってしまいます。

 

チゴハヤ(バーダー用語。チゴハヤブサの略。)凄し!びっくり

 

チゴハヤブサ幼鳥。こちらを見てるのかな?びっくり

 

(2023.10.14)

 

 

ということで、今回は個人的に大好きな猛禽チゴハヤブサのお話しでした。

まあ、とにかくチゴハヤはホントにカッコイイ!チューということです。

 

洲崎については、しばらく定期的にご紹介していこうと思います。

 

てなわけで…では👋またでーす爆  笑