5月の初め。渡り鳥たちが訪れ
る田んぼのフィールドを、鳥見の
先輩と友人そして息子の4人で歩
いているときのことです。
まだ鳥たちはあまりいないと思い
この日は下見のつもりでの散策で
した。ここで先輩は以前ツバメチ
ドリを見たとのこと。うーん、見
たい!早く渡ってこないかなあ。
期待に胸が膨らみます。というの
も、ツバチ(ツバメチドリ)は昔
からずっと見てみたい憧れの鳥の
一つだったからです。
オオヨシキリやヒバリの囀りを
聞きながら歩いていると…ん?何
か田んぼの際の林の上を高速で飛
ぶ鳥が2羽。何だ?ツバメ?いや
違う。もう少し大きい。コチドリ
?でもない。んー!これは!ま、
まさか、まさかの…ツバメチドリ
だー!!
しかも近づいて来る。急いでカメ
ラを取りに行く友人。まさかこん
な大物が出るとは思わず車に置い
てきてしまったんです。先輩と私
は双眼鏡で再度確認。間違いあり
ません。紛れもないツバメチドリ
です。
戻った友人が早速撮影。連写音が
鳴り響きます。
ツバメチドリの飛翔
友人撮影(2023.5.3 千葉県南部)
上空をまるでツバメのように飛
ぶツバチ2羽。よく観察している
と、飛びながら虫を捕らえていま
す。まさに飛び方も行動もツバメ
です。しばらく飛びまわると地上
に降りました。早速そちらへ向か
います。
耕運機が耕した場所に1羽を見つ
けました。見ると今度は、チョコ
チョコと歩いては地上の虫を啄ん
でいます。今度はチドリに早変わ
り。ツバメチドリとはよくぞピッ
タリの名前を付けたもの。ツバメ
とチドリの両方の特性を持ち合わ
せた、なんとも奇妙な鳥です。
お昼過ぎに解散し、先輩と友人と
は別れましたが、個人的には、ま
だ見足りません。そこで、昼食後
再びフィールドへ。到着後すぐに
2羽を見つけました。
うーん!まさにツバチだあ
その色彩も、スタイルも素敵ですが
なんともこの顔がエキゾチック。
古代エジプトの天空神、ホルスを
連想しちゃうのは私だけ?
(ホルス神はハヤブサです
が…)
いやあ~ツバチは良い、良い。
満足、満足。ひとしきり撮影した
後、帰宅の途につきました。
さて、翌日のこと。満足したは
ずだったのですが(笑)友人(昨日
とは違う方)と再びツバチに会い
に、フィールドへと出掛けること
とあいなりました。
照りつける日差し。初夏とはいえ
暑い。午前中歩きまわるも見つけ
られず、諦めかけたその時、いき
なり目の前を飛ぶ鳥が…ツバチ!
やっとのお出まし。しかも今日は
3羽いるではないですか。
凄い!凄い!
活発に動きまわるツバチに振り回
され、あちらへ、こちらへと大忙
し。嬉しい悲鳴
しばらくすると、友人がチョウゲ
ンボウがいると教えてくれました。
割と近かったので何気に撮影。
ふと撮影した写真を確認すると…
ヒ、ヒ、ヒエ~!!!
これって、まさか、まさかの!
アカアシチョウゲンボウだー!
いやいやいやいや、ちょっと待っ
てよ。マジか。信じられん。
こんな珍鳥がお出ましになるとは
しかもツバメチドリと同時に見ら
れるとはこんな幸運まずありませ
んよー!!
この個体は雌。雄は全体的に灰黒
色と青灰色です。
このアカアシチョウゲンボウのお
嬢さんとお会いしたのはこの時の
み。その後姿を現すことはありま
せんでした。
アカアシチョウゲンボウは、ハヤ
ブサの仲間で渡り鳥。繁殖地はユ
ーラシア大陸東北部。これから海
を渡り、繁殖地に向かうのでしょ
う。そして越冬地はさらに遥かな
アフリカ大陸です。つまりこのお
嬢さんはアフリカからやって来た
のです。いや~驚きですよね。日
本では九州では春と秋の渡りの時
期に見られますが、関東では稀で
す。全長29センチ程。
ちなみにツバメチドリたちも同じ
く渡り鳥。オーストラリアやイン
ドネシアで越冬し、ユーラシア大
陸東部で繁殖します。日本では春
と秋に観察されますが、こちらは
宮古島では繁殖しているとか。ま
た日本各地で繁殖記録があるそう
です。意外と臨機応変なライフス
タイルなようです。とはいえ、日
本では数が少なく、なかなかお目
にかかれない鳥なのです。
全長24センチ程。
まさか、まさかの予期せぬ珍鳥
ダブル出現。今回は、本当に驚き
ました。
(今回満足した観察ができたのは
一緒に観察した皆様のおかげです。
1人では、ツバメチドリがいる場
所も分かりませんでしたし、撮影
していただいたおかげで、美しい
飛翔姿も確認できました。アカア
シチョウゲンボウにいたっては、
教えていただかなかったら見過ご
していたことでしょう。
皆様改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。)