マルイのスタンダード電動ガン P-90 をベースにしたカスタムガンのご紹介です。

実銃 FN P90は1980年代に行われたNATOのPDW(Personal Defense Weapon)プロジェクトで生まれたサブマシンガンの一種、主に戦車の搭乗員などの自衛用に支給されたらしいのですが、これが使用される状況って ”大破した戦車の中で生き残った搭乗員が取り囲んだ大勢の敵兵を相手に” みたいな悲惨な状況を想像してしまうのは私だけでしょうか(汗) 

 

 

電動ガンのP-90は高性能で扱いやすいゲームウェポンとして定評があり「ピーちゃん」とか名前をつけて可愛がる女子キャラもいるらしいのですが、実際はそこまで万能な製品ではありません。中古で入手したこのP90もコンディションこそ悪くありませんでしたが少し控えめなフルオートサイクルに、ステンレス製のカスタムバレルまで入っても0.2g弾がやっと使える程度、まあノーマルP-90の性能はそんなもんです。 *7.4vリチウムポリマーバッテリーで計測

 

 

レビュー記事や動画と実際の性能が大きく異なるのには訳があるのですが、このP-90を分解してみるとピストンのセカンドラック(二番目の歯)が潰れてトリガースイッチの接点にもカーボンが堆積していました。

 

 

セカンドラックが潰れるのは俗にいう「ピスクラ」という現象なのですが、これは弱めのスプリングでピストンが跳ねやすいマルイの電動ガンではよく起きる現象です(ピストンクラッシュを防止する加工を施しました)。

 

そしてEG-1000モーターは消費電力の多いモーターなのでトリガースイッチの接点焼けが起きやすく、ピスクラと併せて使っているうちにレスポンスやサイクルが低下してくるという訳です(スイッチを清掃し接点グリスの塗布しました)。

 

 

メンテナンスが終わったのでここからはカスタム施工に入ります。今回の施工メニューは「カスタム流速」、0.2~0.25g弾までの重さの弾に対応できる揚力(HOP)性能に加えて0.8J超えのパワーでスタンダードカテゴリーのP-90を次世代クラスの性能に引き上げることが可能となります。 

 

 

使用するスプリングは表記では「M90」ですが少し馴染ませてから使っているので「M85」ぐらいでしょうか。各部の高効を高めるとこの程度のレートでもバレルを切り詰めない通常セッティングであれば1Jを超えてしまいます。 *1Jを0.2g弾の初速に換算すると100m/sです。

 

 

ただパワー上がっても高性能とは言えません。スタンダード電動ガンに対して次世代電動ガンの優位性は単純なパワーの強弱ではなくより重量弾向けのセッティングになっているからですが(次世代MP5シリーズは除く)、P-90もそれと同等かそれ以上の性能を狙ってバレルを短い物と交換しHOPの開口部も広げました。

 

 

電動ガンのスイッチというとトリガースイッチを思い浮かべますが、モーター内部にある「ブラシ」も立派なスイッチです。よく「FETや電子トリガー搭載で安心」みたいなセールストークを聞きますがブラシの摩耗はノーガード、その点SBDはモーター端子に取り付けることでブラシの消耗とトリガースイッチの摩耗を併せて抑制できますのでバランスの取れた接点保護ができるのです。

 

 

左:0.2g弾ゼロHOP 右:0.25g弾HOP適正

施工後のスペックはこんな感じです。HOP作動時にもパワーが落ちないのが流速カスタム・チューンの特徴ですが、必ずしも極端なパワーの変動は必要としません。大切なのはHOPを掛けてもパワーが落ちない特性で、だからこそ重量弾のメリット(飛距離が伸びて当たると痛い等)を発揮することができるのです。 *0.2~0.25g弾推奨、0.85Jを0.2g弾の弾速に換算すると92.6m/sです。

 

 

次世代電動ガンのチューニングに ”リコイルオミット(反動機能をキャンセルする)” というのがありますが、これ東京から大阪に行くのに北海道まで寄り道するくらい回りくどいチューニングです。だったら最初から反動がないスタンダード電動ガンの性能を高めれば良い訳で、何もわざわざ作動の鈍いM4 SOPMODをプリコック仕様にしなくても、パワーや飛距離も同等以上で軽くてコンパクトなこの「P-90カスタム流速」の方が扱いやすい優れたゲームウェポンだと思うのですが・・・(笑)

 

・水平射飛距離 55m~ / 0.25g弾 

・有効射程距離 60m~ / 0.25g弾 

・最大到達距離 80m~ / 0.25g弾 

・フルオートサイクル16.1発/秒

 

以上、「マルイ P-90 カスタム流速」のレビューをお伝えしました。