マルシンの固定スライドガスガン モーゼルHSc+サイレンサー へのカスタム施工の様子をお伝えします。

実銃モーゼルHScは第二次世界大戦当時にドイツで生まれた中型オートマチックピストルで同時期に登場したワルサーPPKとは常にライバル関係にあります。が、エアガン(エアソフトガン)でモデルアップされるのは何故かPPKばかりでHScはマルシンしか出していません。PPKは映画にもよく登場するしメジャーなんでしょうがHScだって悪くないと思うのですが・・・

 

マルシンHScは結構クセのある製品でそのままでは使いづらいのが難点、たぶん「買ってはいけない国産エアガン(ガスガン)のワースト3」ぐらいには入る最低クオリティーの製品なんじゃないでしょうか(汗)

 

よくあるガスタンク底部のパッキンからも勿論、この個体はガス注入バルブの接合部にも問題がありました。矢印の部分に鋳造時のバリがありましたので削り落とし、バルブやパッキンも交換しています。

 

左:ガスタンク温度28℃時  右:同36℃時

補修が済んだので試射してみました。28℃時のパワー0.53J(0.2g弾の初速で73.1m/s)は中型オートとしては割と出ていますが、36℃まで上昇すると0.38Jとやや低下してしまうようです。更に気になるのが強いハマースプリングと遊びの多いトリガーワークでターゲットをまともに狙えません。*各HFC134aガス使用

 

ただ素材として見ればそこまで悪いものでもなく、すべて計算ずくで意地クソ悪くパワーを抑え込んでくるマルイ製品よりもチューニングする楽しみはあります。バルブとガスルートをチューニングしてガス流量をUPしました。

 

ハンマースプリングは特性を変えるために弱いものと交換しました。ただでさえハンマーの打撃力が不足しているのにこんなことするのは本来タブーなのですが、弱い力も長く掛けるとトータルでは強い力と同等の働きをするのです(ガスをチャージする時は最初だけ軽くトリガーを引いて下さい)。

 

トリガーストップを追加してガク引きトリガーの原因だった ”遊び” も補正しました。シアーが落ちるのとほぼ同時にストロークも終わる ”真面目な”トリガーワークは命中精度を飛躍的に向上させます(普通に狙って撃てます)。

 

最後はこのシリーズ共通のがっかりポイントの補正、消音効果が一切ないノーマルのサイレンサーに小さな穴をいっぱい開け消音材を詰めて ”普通のサイレンサー” にしました(地味に手間が掛かる作業です)。

 

左:ガスタンク温度28℃時  右:同36℃時

という訳で完成後のスペックです。ノーマル比134~212%のパワーは間違いなく日本国内では最強のHScでしょう。P230やPPK/sなど同クラスのガスブローバックと比べると2倍近くパワーが出ているのですから(0.2g弾の弾速に換算して0.81Jは90.1m/sです)、ちょっとぐらい重いトリガープルでも納得できるかと思います(4㎏超を3㎏くらいには軽くしました)。

 

エアガンにはロマン銃(性能が低くてもカッコいいから許せる銃)なんてカテゴリーもありますが、このHScは間違いなくその中でもトップクラスの実射性能を誇るガスハンドガンです。あのマルイsocom MK.23とも対等に渡り合える中型オートなんて滅多にありません。もちろんゲームやプリンキングに使っても面白いですよ(笑)

 

 

以上、「モーゼルHsc パワーカスタム」のレビューをお伝えしました。