「ストックを自分で換えてから調子が悪いですが」、「じゃあ、とりあえず見てみましょうか」そんなとりとめがないメールから始まった今回のご依頼は以前ご購入頂いたVSR-10Gスペック パワーカスタム流速γのメンテナンスです。ご依頼者様によるとノーマルストックをこのMAPLE LEAF(メイプルリーフ)のMLC S2ストックに交換してから「何かおかしい」そうで、実際に送られてきた製品を手に取ってみると色々と気になる点が見つかりました。

 

最初に気になったのはスコープの干渉、バレルアッセンブリーをストックに固定する基台に取り付けられたフロントレイルがスコープに近すぎるようす。見た目にも気持ちが悪いですが接触することでバレルに不均等な力も加わっています。

 

取り付けられていた水準器にも問題があるようです。ご覧のようにデジタルメーターが0度を指しているのに水準器の気泡は右側に大きく傾斜したまま、たぶん中の液体の粘土が高すぎて微妙な動きに反応できないのではないかと思います。当然スコープの水平基準もズレています。

 

バレルをストックに固定するボルトも緩めになっていましたが、これはコッキングの作動に引っ掛かりが出てしまうのを防ぐための対策のようです。作動関連の再調整が必要です。

 

マウントベースにも問題がありました。取り付け穴が微妙にレシーバーとズレていたことで、レシーバーのネジ山が2ヶ所でダメになっていたのは社外パーツを無調整で取り付けた高い代償といった感じです。

 

最後はマガジンの不調、動きが硬くおまけにしっかり固定されません。知らないうちにマガジンを落としてしまいそうです。

 

という訳で問題を解決していきます。まずスコープの干渉はキャップを外すだけでもギリギリ接触は回避できましたが、今回はスコープの位置を少しだけ後方に下げて対処しました。体格によってはスコープの視野に影響が出る可能性もありますがご依頼者は問題なかったようです。もちろんこのカッコイイM40A5風のフロントレイルをあっさり取り外してもいいんですが・・・(汗)

 

残念ながらスコープの水平を取り直しても着弾点とのズレは治りませんでした。ある距離でゼロインしても距離が違うとまた左右側の誤差が出てしまいます。どうやら弾道とスコープがうまく同調できていないようです。結局HOPの左右バランスも再調整することになりましたが、メイプルリーフとマルイでは水平基準値が微妙に異なるようです。

 

引っ掛かりがあったボルト操作についてもクリアランスを再調整します。

 

潰れたネジ山を直すことはできませんが一回り大きなネジ山を開け直しました。それに合わせてマウントベースの穴も修正します。併せてご依頼者様のご希望で50~60mでのゼロイン調整に合わせてベースの取り付け角度も変更しました。

 

マガジンキャッチも軽い力でカチっと確実な作動に調整します。

 

最後は各部を清掃してから新しいグリスを塗って完成です。

 

以前に組み込んだ「SNP Advancedキッド」も色々ありましたが今回のMAPLE LEAFも中々の曲者(笑) せっかくの高価なパーツも無調整のままではその真価を発揮することは難しいといったところでしょうか。紆余曲折ありましたがご購入から1年目のメンテナスも無事終わり、また戦場(ゲームフィールド)に戻る戦士を見送れたことを私も光栄に思います。

 

以上、VSR-10 MAPLE LEAF MLC S2 パワーカスタム流速γのメンテナンスをお伝えしました。