(ブログの登場メンバー)
「チンパン」 ブリージングメソッドを分かりやすく伝えるため、日々猿知恵を絞っている。
「杏子(あんこ)」 長年にわたってチンパンの問答相手をつとめる。もはや腐れ縁と諦めているようである。
「虎徹(こてつ)」 ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペット・柴犬オス。
記事を知的でキュートなコメントで締めてくれる。
「一年前に定年退職しました。経済的な不安はないですが、時間を持て余して困っています。
趣味も色々手を出してみましたが、どれも長続きしませんでした。
ぜいたくな悩みなのでしょうが、『毎日が日曜日』の生活が死ぬまで続くのかと思うと、怖くなることさえあります。
この『自由と言う名の牢獄』から抜け出すには、何をやったらいいでしょう?
真の安らぎは この世にはなく」
「確かに年金だけで生活できない人たちにとっては、相談者さんの悩みは、ぜいたくに思えるかも知れないね。
でも、何もしない人にとって、24時間って相当長いことも事実。
海外のセレブには、せっかく大金をつかんでリタイアしたのに、生き甲斐が無くなって病氣になったり、死んじゃう人も少なくないって言うし。
自由放埓の中で、生活パターンが乱れないように、自分でコントロールしなきゃいけないし。
他人や組織から管理されてた方が、案外楽チン。
自営業は自衛業=自分の心身・生活は自分で守る。
退職しても人生は続くから、同じく自衛業」
「そのとおり。人間は暇を持て余すと、ロクなことをしない場合が多い。
生活の乱れと、心の隙間に、酒・ギャンブル・怪しげな宗教・・・・・などなど、よからぬモノが忍び寄って来る。
良質な趣味や社会活動を持つことは、こうしたマイナスの存在を遠ざけてくれる」
「まあ、このブログは『ブリージングストレッチ』を紹介するブログだから、
『ブリージングストレッチをやってみてはいかがですか?』って結論になるんだけどさ(笑)」
「別にブリージングストレッチに限らないが、すべてのベースである『身体』を整えることは、万人に必須。
その上で、背骨を動かし、瞑想すると更に良い。これは死ぬまで出来るし、万人がやった方がいい。
さすがに小学生に瞑想は無理だろうが、中学生以上はやるべきであろう。日本がもっと良い社会になることは確実」
「背骨の運動や瞑想をやり込んだお陰で、身体が丈夫で頭が冴えていれば、幾つになっても稼げるかも知れないもんね。
それに働くってことは、ただ生活の糧を稼ぐってだけじゃなくて、社会の中に自分の居場所を与えてくれるし。
仕事は社会と自分をつないでくれる。
『働く』=端を楽にする って意味だから、言葉自体が社会性を帯びているじゃん。
相談者さんが感じる不安の中には、『自分の居場所がない』って面も多分にあるんじゃないかな?」
「大正解。人は社会の中にどこも居場所がないと、反社会的行為に走る場合さえある。
80年代に、学校や家に居場所がない不良少年・落ちこぼれたちは、ロックシンガーの尾崎豊が歌ったように、夜の街に盗んだバイクで走りだした。
犯罪だし周りからはバカにしか見えないが、『俺はここにいるぞ!』という少年たちの心の叫びでもあった。
大人の中にも、同じような心情で犯罪に走る人が居る。近年はそういう動機の犯罪がたびたび世をにぎわしている。
犯罪に走れない場合は、自殺したり病氣になったりする。
時間が有り余っている相談者さんには、『マイインターン』(2015年)と言う、ロバート・デニーロ主演の映画の鑑賞を薦めたい。ネットで観れる」
「その映画知ってるよ。ロバート・デニーロが演じるベンは、70歳の高齢者。
大会社の部長だったから、悠々自適の老後なんだけど、旅行やゴルフをやっても、それだけじゃ虚しい。
だからある新興会社の高齢者再雇用制度=インターンに応募する。
最初は雑用係、運転手しかやらせて貰えないんだけど、長年のキャリアで培った経験・知識、優れた人柄によって、会社にとってなくてはならない人になっていく。
ベンは仕事を通して、再び社会に居場所を確保したってことだよね」
「名優、ロバート・デニーロは数えるのも大変なくらい多くの役を演じているが、『タクシードライバー』(1976年)と言う映画で、トラヴィスと言うベトナム帰還兵を演じている。
トラヴィスは戦争のトラウマから不眠症になったため、タクシードライバーで糊口をしのいでいる。
ハッキリ言って頭も悪くてコミュ障なため、誰からも相手にされない、貧しく孤独な日々」
「そのストレスが限界に達して、町のワルが経営する売春宿に、ある日銃を持って殴り込みをかけちゃう。
普通は返り討ちで殺されるか、逮捕されて死刑なんだけど、結果的に売春をやらされていた家出少女を救出して、ヒーローになっちゃうんだよね(笑)。
本当はただの反社会的行為なのに。まあ、一種のファンタジー」
「ハートウォーミングストーリーである『マイインターン』と、『タクシードライバー』は全然異なる映画に見えるが、共通点がある。
どちらも社会から断絶した男が、関係性を回復させるために、あがく物語だからである。
『マイインターン』のベンは大成功し、『タクシードライバー』のトラヴィスは何をやっても上手く行かない。
トラヴィスは最後にまぐれ的に英雄になるが、社会との断絶は本質的には回復されていないことを暗示して、映画は終わる。
その違いがどこから来ているかを、繰り返し見比べて考えると、ヒントが得られるかも知れない。
くどいようだが、相談者さんは暇なのだから」
「ところでチンパン君、映画の話より体操の紹介だよ。相談者さんはどんな体操をやったらいいのかね?」
「相談者さんの悩みの核心は、『自分が何をやりたいのか分からない』と言うことである。
実は『やりたいことが何もない』人間はいない。
本当に何もなかったら生きて行く氣力も失う」
「内部が乱れて、曇っているから氣づけないだけだよね。
身体が整ってハッキリすれば、やりたいことも明確になる筈」
「そのとおり。どの分野でも『成功の秘訣は集中力』だと第一人者は言っている。
しかし、集中力以前に、そもそも何に集中すべきかが分かっていない場合が多い。
それは身体に中心軸がないから。
もちろん(中心)軸というのは実体ではなくてイメージなので、最初から存在するモノではなく、後天的に創るものである。
一番簡単な中心軸の作り方は、真っすぐな柱や上から垂らした紐などの前に立つことである。
まっすぐなモノを見つめていると、自然に身体に中心軸が出来て来る」
「それだけで身体の歪みもかなり整っちゃう場合が多いもんね。
ある整体院では、待合室の天井から紐を垂らして、施術を受ける前に何分間か立っているように、お客さんに言うそうだもんね。
当然治療成績はいい。実際に施術する前に、半分以上身体が整ってるから当たり前なんだけどさ(笑)」
「静止した条件で中心軸がある程度自覚できたら、次は中心軸に沿って動く稽古。
紐や柱など軸と見立てたモノに、自分の中心軸を重ねて歩く。動くと途端に軸がずれる。そのズレを修正しながら歩く。余りにも厳密にやっていると、一歩も歩けなくなる。
更に軸と見立てたモノの前で背骨の前後運動を行なう。下の写真のように床に置いてやってもいい」
「氣功の鳥の動きだね」
「しかし、氣の感覚はなくてもいい。あくまで背骨の動きを中心軸に合わせる稽古として行う。
この稽古も身体の歪みによって背骨の動きと軸がずれまくるだろうが、少しずつ修正していく。
相談者さんは時間がタップリあるのだから、こうした稽古をやり込んでほしい。
中心軸が形成されるほどに、大脳で考えたのではなく、身体(間脳)から本当にやりたいことが湧き上がって来る筈。
趣味とは自分の時間とお金とエネルギーを、自分の命が喜ぶことに注ぐことである。
他人が価値を認めてくれなくても、別に構わない。反社会的なことでなければすべてOK」
「生活の糧を得るための労働や、日々の雑事なども、趣味があるからこそ、やる氣力も湧いてくるんだもんね。
だから趣味を軽視するのは間違い」
「趣味は自己完結しても構わないが、趣味でやっていることが、他人にも喜ばれるようになると『お仕事』になる。
つまり趣味が社会性を帯びて来る。
チンパンも書くことが趣味なので、誰にも頼まれなくても、長年ブログを書き続けている。
記事で紹介したことを喜んでくれる・役立ててくれる方が一定数いるので、趣味で始めたことが、いつの間にか『お仕事』になっている。
ブログで収入は得ていないけれど」
「お仕事がお金に直結するとは限らないもんね。
でも、相談者さんはお金に困っているわけじゃないから、中心軸をつくって、本当に自分がやりたいことを明確にすればOKでしょ。結果的にお仕事や収入につながるかもしれないし」
「お仕事と言うのは、相手が何を求めているか?をつかむことが必須。それに対して自分が何を提供できるのか?
この二つがピッタリ合って初めて、趣味がお仕事になる。それをつかむには軸が必須」
「それに加えて、自分が提供している商品やサービスが、社会にとっても喜ばれているのか?も大事だよね。
私とアナタだけが良くても、周りが迷惑するようなお仕事じゃ、長続きしない。
『三方(さんぽう)良し』=私・アナタ・社会 全部にとっていい ことが商売がずっと繁栄するコツ。
世の中に合わせるにも、軸が必要だもんね。
定年後も、中心軸を持っている人は、ずっと社会とかかわり続けて、その人なりの『お仕事』が出来るんじゃないの?
いい意味での生涯現役。死ぬまで働けるって、しあわせなことだよ。
心身が健康じゃなきゃ働けないし、最後まで他人や世の中から必要とされ続けるってことだもん」
「もうひとつ相談者さんがやった方が良いのが、上を見上げる首の体操」
「アイ~ン!とかだよね。
首をうなだれていると、視線も下がって来て、ますます氣分が暗くなるもんね。
姿勢が心をつくるから当たり前。
合掌の指先を顎に当てて、首を反らせている体操もいいし。
首がこれ以上反れないところで、指先で軽く上に押す。
背もたれつきの椅子に背中を預けてやると楽。腰を反らせないように注意」
「本当は鳥=背骨の体操の中に、首を反らせる動きも入っているのだが、加齢と共に首を反らす力が衰えるので、こうした補強も必要。
空を見上げられるほど、首が柔らさを取り戻したら、自然に希望も湧いてくる」
「古久澤先生の師・伊藤昇先生は、『身体のピークは60代』って著書に書かれているもんね。
相談者さんも、まだまだ先があるはず」
「ハッキリ言って、相談者さんが時間を持て余して悩むのは、まだまだ身体が元氣だからである。
本当に元氣が無くなったら、ただただボケッとして過ごすだけ。
大脳で引退を決めつけないで、身体の声に耳を傾けよう」
(リンク)
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(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。
写真はツブラな瞳で見上げるボクです。
記事の本文中にも書かれていたように、見上げる=首を反らせる 力は大切です。
ところで、ボクから相談者さんに一読をおススメしたい本があります。
『人は2000連休を与えられるとどうなるのか?』です。
著者の上田啓太さんは、女友達の一畳半の物置に間借りして、足掛け6年引きこもり生活を送りました。
最低限の生活費を稼ぐための雑誌の原稿書き(週2~3時間の労働)以外は、ダラダラ過ごしたそうです。
しかし、人は本当に『何もしない』で生きることなど出来ません。
『毎日が日曜日』の生活が2000日も続く中で、否応なしに自分の身体と心に向き合うことになります。
図書館で借りた本を読んだりしながら、自分なりの思索を深めて行きます。
もともと京大に入るくらい頭がいい人なので、鋭く深い洞察がアチコチに見受けられます。
まさしく『自由と言う名の牢獄』の中からの生活レポートです。
チンパン君は『ここまで行くと、一種の瞑想的生活だ』と感じたそうです。
相談者さんも読むと参考になるかもしれませんよ~。
つづく
次回更新は5月5日予定です。