トリジローのTHE BEATLES全曲解説 & My Best Ranking -9ページ目

トリジローのTHE BEATLES全曲解説 & My Best Ranking

THE BEATLESファン歴は、約半世紀にて、また、研究し続けて、早40年の、トリジローと申します。

まだ、誰も成し得ていない、全213曲+のランキングと解説を、同時に、そして独自に掲載していきます。

これぞ、究極のTHE BEATLES解説にも挑みます。

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★81位

【Lucy In The Sky With Diamonds】

<SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND>1967.6/1=3:27=

 

サイケデリックな…というより、当時はドラッグの影響下の曲と揶揄されてしまったジョンのファンタジー色が最も顕著に表れた名曲だ。

 

あのジョージ・マーティンが、この曲のメロディに関して、“もしベートーベンが生きていたら書きそうな旋律だ”とまで言っている。

 

誰でも知ってる、この曲のタイトルの歌詞の頭文字が「LSD」ということで、BBCから放送禁止になってしまった曲でもある。

しかし、個々の歌詞は、確かに意味不明のものは多い。「タンジェリンの木」「セロハンの花」「マーマレードの空」等々。

しかし、それよりもファンタジー色が強い。もし、ジョンがドラッグソングを書くなら、もっと過激な歌詞を書いたはずだ。

言い尽くされてきたエピソードなので、まあここで、敢えて言うまでもない話ではありますが。

 

ジュリアンが学校から絵を描いて家に戻ってくると、ジョンに何の画か聞かれたジュリアンは「ダイアモンドを持ってお空に浮かんでいるルーシーの画だよ」と答えた。

「これはいい!」と思ったジョンはすぐに曲を書き始めた。イメージは「不思議の国のアリス」だった。

 

ロウリー・オルガンによるイントロが余りに印象的で、イントロだけで幻想的な世界へ誘ってくれる。

そこに、あのトリップしたような、力が抜けたようなジョンのVoが入ると、もうその世界に放り込まれてしまう。

3拍子で始まり、サビのロックビートに変わるまでの構成の変化が凄い。

しかも、ヴァースからブリッジへはAから→Bbへと半音、転調していくが、普通、半音上げの転調といえば、曲を高揚させ感情を高ぶらせる効果の為に使うものだが、この曲は違う。

何が違って凄いのかというと、半音上げの転調で、曲調の世界観が全く違う方向に変化させていることだ。驚くほかはない。ジョンもやはり天才なのだ。

更に、サイケさを極めた後のサビは、皆が歌えるようなPOPさになっていることだ。もう何を言わんかや、である。

 

上記でも書いたが、サウンド的に、それらを更に深いものにしているのは、ポールが弾くイントロからのオルガン。この響きは独特で、曲のイメージを決定づけている。しかも、繰り返しのフレーズがない!

それに、ポールのBassがまた凄い。速いフレーズや、変則的なリズムは一切なく、ほぼ4ビート8ビートのみだが、ランニングベースを極めたような流れは圧巻だ。

『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』のポールのベースは全編で素晴らしく、誰も成し得ていない完全に1つのスタイルを作り上げ、貫いているが、この曲でのプレイはベストだと思う。

 

ジョンは、自分の意見を必ずいう人間だったのが、『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』の、特にこのレコーディング辺りから、心が上の空になっていたとジェフ・エメリックは回想している。

ドラッグやヨーコとの出逢いが、本来持っている内省的な部分に入り込んでしまったのだろう。

当然それに気付くポールは、もはや、自分が中心にやっていかないとならないと自覚し始めたのではないだろうか?

 

 

 

 

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★82位

【Dear Prudence】

<THE BEATLES(WHITE ALBUM)>1968.11・22=3:55=

 

Back In The U.S.S.R.のラストのジェット音から、そのまま少し不思議なアルペジオに導かれて始まるジョンの曲。

フォークスタイルのジョンの新境地だが、インドの影響が歌詞のみならず、曲調にもさり気なく垣間見える独特の曲である。

 

聴き始めると、楽曲そのものの力に一気に持っていかれる感というのがありますね。

しかし、曲の雰囲気は何とも宗教的な浮遊感がある。低い声のコーラスなども怪しくて。

BEATLESのサイケデリックな時代は終わりを告げて…特にジョンは、こういうシンプルな方向に戻ったり(“ノルウェイの森”のような)、進化したりしていった気がしますね。

 

ジョンは、ドノバンから、ギターのスリーフィンガー奏法を教わり、自分のものにした。

WHITE ALBUMには、この曲と対になるような“Julia”もスリーフィンガーで弾いている。

BEATLESでスリーフィンガーを弾けたのはジョンだけである。

ポールのアコースティックギターは自己流で、独特の2フィンガーで終始、弾いているし、ジョージはチェット・アトキンス奏法がメインだった。

 

ジョンの歌詞は、少々、お遊び感はあるものの、美しい歌詞だと思う。

Voは、ジョンが2回歌ってオーバー・ダビングしたダブルトラッキングである。

語りかけるような歌い方が印象的で、シャウトしないこういうジョンの声は聴き寄せられてしまいますね。

 

この曲でのポール活躍は凄い。

まず、メインリフのようなベースラインが印象的。

この曲はリンゴが不在(一時、脱退)なので、ポールがDrを叩いている。しかも、後半のプレイはかなりのものだ。

後半と言えば、早弾きのピアノもポールだし、フリューゲルホルンまで吹いている。もちろんコーラスもなので、大活躍過ぎるくらいだ。

 

この曲も下降するクリシェだ。美しいラインを描く。

 

タイトルにもある通り、この曲は実在の女性に向けて書かれた楽曲です。彼女は、プルーデンス・ファロー。

そう、彼女の姉は女優のミア・ファローで、姉妹でインドを訪れていました。

超越瞑想にかけるプルーデンスの熱意は凄まじく、修行には1日8時間以上をかけ、周囲の人間と積極的に関わることもなかったようで、部屋に籠るようにあり、睡眠や食事も余り取らず、衰弱していってしまいました。

そんな状態を心配したジョンが、彼女にために作った歌が、この “Dear Prudence”なのです(当人は、アルバム発売まで、この曲を知らなかったそうですが(;^ω^)。 

 

この曲を聴いていると思うことがある。

ポール作曲の曲は瞬間的に良さを感じる曲が多く、ジョン作曲の曲は何度も聴いてると、ふと良さが分かるみたいなのが多いのだ。

 

この曲は、ジョンの息子であるジュリアンやショーンも歌っている。お気に入りなのだろう。

 

 

 

 

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★83位

【Old Brown Shoe】

<Single & PAST MASTERS Vol.2>1969.5/30=4:18=

 

スカっぽい裏打ちの疾走感溢れるリズムが心地良い、ジョージの隠れた名曲です。

何せ、BEATLESの全曲の中でもベストの1つに数えられるほど演奏が素晴らしいことが挙げられる。

メロディとテンポが入り組んだ曲にも拘らず、このレベルの演奏は、彼等が本当に上手いミュージシャンだったということが分かる。

本当に、掛け値なしにカッコイイ。

 

シングル「ジョンとヨーコのバラード」のB面曲。

その後、「青盤」に収録され、「Past Masters Vol.2」に収録されることとなります。

 

3連の「A→A#→B→C」のBassで始まり、ピアノはシャッフルのリズムでコードを弾き続ける。シャキッとノリのあるロックのバンドサウンドである。

ギターとベースのユニゾンの速いフレーズも強力で唸ってしまう。

 

レコーディングは、1969年4月16日。

ジョン(アコG)、ポール(ピアノ)、ジョージ(ギター)、リンゴ(ドラム)のベーシックトラックを、たった4テイクで完成。

この良きリズムもバッチリな演奏を4テイクとは恐れ入る。相当に、アレンジを練ってからレコーディングに臨んだのだろう。

そこから、ポールのベース、ジョージのリードVo、ジョージのリードギター、ジョンとポールのコーラス、をオーバーダブする。

 

これでミックスまで進んだが破棄する。

2日後に、ジョンは自分のギターを消去してから、ハモンドオルガンをオーバーダブする。

ジョージもリードギターを録り直す。

このリードも良いし、スライドギターも完全に自分のものにしているね。良いプレイです。

 

ポールのピアノは裏のリズムがほとんどで、ノリが凄い。元々は、後で消したジョンのギターと連動していたと思われる。ポールのセンスは凄い。

そして、ポールのBassがこれまた凄い。早いフレーズでジョージと早いユニゾンのフレーズやら、テクニカルなプレイが圧巻だ。

一時期、この曲のBassは、ポールではなくジョージであるとの説が出た。

何せ、ジョージ自身が、87年のCREEM誌でのインタビューで、“ギターでやっていることを、そのまま正確にベースで弾いている”という発言をしていることから、そうなったのだ。

ただ、ジョージ必ずしも弾いたのが“自分が”とは言っていない。

最近は、ポール説で間違いとの意見が多い。果てさて、どちらか…?。

 

この曲もA面の「ジョンとヨーコのバラード」と同様に、ステレオVer.のみ。モノラルVer.は存在しない。

 

これも余談ですが、当時のベスト盤である「青盤」に何故、超有名曲でもないのに、この曲が収録されたのか当時から疑問に思っている方も多いのですが、「赤盤」「青盤」はジョージ自身が選曲セレクトしたという話があるからです。

ジョンが、収録曲のYes、Noを返信したという話もあるし、ジョージ自身は肯定も否定もしていませんが、ジョンがこの曲をYesというとは思えないし、やっぱりジョージセレクトなのでしょうかね?(笑)

 

 

 

 

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★84位

【It Won't Be Long】

<WITH THE BEATLES>1963.11・22=2:11=

 

初期の代表曲“She Loves You”と並んで、彼等の“Yeah!”の連打で、BEATLESのイメージを決定づけた力強い名曲。

あちらはコーラスのみだが、この曲はジョンのフレーズの後をポールとジョージが追い掛けてまでの掛け合いのYeah! Yeah!である。正に連打だ!

 

BEATLESのアルバムは、言うまでもなく、どのオリジナルアルバムも1曲目が強力だ。ところが、このアルバムの1曲目としては最も知名度が低いのではないだろうか?

とんでもない、アルバム「WITH THE BEATLES」の1曲目はこの曲しかないだろうと思えるほど強力なナンバーだ。

かのニール・ヤングが人前で歌った初めての曲と公言しているし、ジョンの息子ジュリアン・レノンも日本公演でこの曲を歌っていますしね。

 

だが、元々はジョンがシングル用に作っていたが、そこまでの曲にならなかったからアルバムに入れたと言っているが、それで大正解。

同じように、シングル曲ではない1stアルバム「PLEASE PLEASE ME」の“I Saw Her Standing There”のような勢いがある。

そう、イントロなしの勢いのある歌い出しからのスタイルと曲調は、初期のビートルズナンバーのパターンの原型になったとも言えるのだ。

 

楽曲は、ジョン主体で作られたが、ポールとの共作である。

BEATLEの特徴の1つに、メジャーキーとマイナーキーで行き来するというものがある。

この曲はそうではないが、勢いのあるパートとメロウなパートがある場合は、コード構成に変化を付けていくのが抜群に上手い。

この当時に、そんなことをやっていたアーチストやバンドはいない。

キーはEだが、出だしはC#m→E→C#m→A→Aaddb9→Eが出だしである。

メロに入って、E→Cと落ち着いたコード流れになる。だけど、EのキーでいきなりCに行っての繰り返しは凄いよね。

そして、本格的なVo部は、E→Baug→Bm→C#7と非常にメロウに流れていくのがまた素晴らしいのです。

エンディングのコードも凝っていますね。

更に、BEATLESというと、クリシェですよね。この曲でも炸裂しています。Baugからの半音落ちのコードです。

…要は、この曲は、ただ勢いのある曲だけじゃないよ、ということ。勢いだけで聴いても最高な曲ですが、+そこがまた彼等の魅力でもあるということですよね。

 

ジョンのVoはWトラックだが、力強さ、優しさ、切なさの全部が表現されているのも聴きどころだし、その点でも、この曲の価値を上げていると断言出来ますね。

 

録音は、全17テイクと編集用テイクが6つ作られた。もちろん、たった1日での作業である。

 

余談だが、この曲が1曲目に収められたアルバム「WITH THE BEATLES」は、奇しくもその日、アメリカのケネディ大統領の暗殺のニュースが、宇宙中継を通じて世界に駆け巡った日でありました。

 

 

 

 

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★85位

【Can't Buy Me Love】

<Single & A HARD DAY’S NIGHT>1964.3/20=2:11=

 

初期のBEATLESの、ジョンとの共作曲を除いたポール単独作の代表作と言えば、”I Saw Her Standing There“とこの曲だろう。

 

1964年の3月にシングルで発売され、英米共にチャートの1位になっている。

そして、未だに誰も成し得ていない、ビルボードのシングルチャートの1位~5位を独占した時の1位の曲でもありますね。

(ちなみに、2位= Twist And Shout、3位= She Loves You、4位=I Want To Hold Your Hand、5位=Please Please Me)

これらは誰でも知ってる有名な話ですが、更に言うと、TOP100 には、31位=I Saw Her Standing There、41位=From Me To You、46位=Do You Want To Know A Secret、58位=All My Loving、67位= You Can't Do That、

68位= Roll Over Beethoven、79位=Thank You Girlがチャートインしていて、TOP100には12曲もランクインしているのです。時代とはいえ、驚きしかないですね。

 

誰でも口ずさめる覚えやすいメロディと、ノリの良いキャッチーさは、どこか湿り気のあるジョンの曲とは違って、今聴いても陽気で楽しい。

Aメロのコードも C→F7→G7 といった典型的ブルース進行で、至極シンプルである。

 

と思いきや、実は、この曲のバッキングは、基本はアコースティックなんですよね。

そこが初期のノリの良い他の曲と違うところであるのですが、しかも、POPで気が付きにくいけれども、上でも書いた通り、12小節のブルースの形式で作られているのです。

それは、貧乏だけど愛に溢れた人の歌ではなく、金で買えないものを得るために自分の財産を捧げる男の話なのだ。

だからこそ、ブルース形式で作られたのだと思う。

単純だが、実は教訓のような歌詞である。

 

当初は、キーも高く、ジョンとジョージのコーラスも入れてみたが、変更して、ポールの単独Voのみになった。ポールのWトラックである。

ポールの曲はキーの高いものが結構あるので、ジョンとジョージに負担をかけまいと、2人のコーラスがない曲も多いのでしょう。

 

活き活きとしたポールのVoももちろん素晴らしいが、ジョンの弾くJ-160Eのカッティングが素晴らしく、全体を引っ張っているとも言える。

テーマ(サビ)部の最後のコードは、通常CへのドミナントとしてG7を使ってしまいがちであるが、「G6」で、正にBEATLES。

BEATLESといえば、この「6th」のコードなので、ただのGコードやG7で弾いても“らしく”ならないのである。

 

モノラルとステレオでは随分と違うVer.になってしまっている。

モノラルのリードギターは聴き取りづらい個所があるし、マスターテープに不備が出た為に、ノーマン・スミスがハイハットを使録音したことによりDrの音が違っている。

 

ポールは、振り返って言っている。

“エラ・フィッツジェラルドもこの曲をレコーディングしたのを知って、すごく誇りに思った”と。

そう、この曲は当時、不思議とJAZZ系ミュージシャンに多くカヴァーされたのだ。

あと、歌詞の意味について、“個人的には、何についても好きなように解釈をしていいと思う。でも「Can't Buy Me Love」が売春婦の歌だと言われると、一線を引きたくなる。そりゃ行き過ぎというものだよ”と語っている。

 

 

 

 

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★86位

【Two Of Us】

<LET IT BE>1970.5/8=3:35=

 

アコースティックギターが瑞々しい響きな、かつ、素晴らしいジョン&ポールのデュエットが聴ける、ポールのフォーキーな名曲。

 

元々は、アップルでデビューする予定だったモーティマー用に書かれた曲だったが、デビューに至らなかったので、アルバム「LET IT BE」に収録。しかも、A面1曲目という(フィル・スペクターが決めたんだが)。

当初は、ポールがヘフナーのベースを弾くテンポの良い曲調だったが、ベースをアコGに持ち換え、フォーキーな曲に仕上がった。大正解である。

 

ポールのコメントが出るまでは、心が離れつつあるジョンに対しての歌では?とも言われたが、リンダを歌った歌だった。

リンダで良かった。ジョンへの歌なら、ポールの気持ちが悲し過ぎるものね。でも、実は本当はジョンのことのような気がするんだよね…。

 

冒頭でも書いたが、とにかく、ジョンとポールのアコースティックギターの音の素晴らしさ、そして、2人のデュエットの素晴らしさに尽きる曲である。

まずは、アコGから。

ポールのマーティン D-28の美しい音色から、ジョンのJ-200のアコGがすぐに加わってくる。

出だしのポールの音色だけで感動するが、更にジョンの音が重なってくると、もう鳥肌モノである。

ところで、ジョンは、愛用でお馴染みのJ-160 ではなく、J-200を弾いているのは何故だろう?…サウンドが太くなるポールのD-28 とのバランスを考えた咄嗟の判断なのだろうか(推測)。

 

そして、久々に聴けたジョンとポールのデュエットは、非常にソフトである。彼等の特徴でもある繊細さでも、激しさでもない。淡々と歌っている。

物足りないという意見もあるが、個人的には、こういう淡々とした2人のハーモニーも好きだ。

アルバムで考えれば、“I’ve Got A Feeling”や“One After 909”や(映画では、Don’t Let Me Downも)などがあるから、そのソフトなデュエットが心地良いのだ。

 

そして、実はこの曲でBassを弾いているのは、ポールではなくジョージである。いや、訂正しよう。ジョージは正確にはBassは弾いていない。ポールの指示で、ギターでベース風に弾いて欲しいと言われたからだ。

複雑な心境なジョージだろうが、そのBass風に弾くジョージが実は凄く良い仕事ぶりなのだ。

アコースティックギターを低音弦だけで弾く。しかも、指弾きである。

加えて、いろんなフレーズを弾いているし、メロディアスでもある。「LETIT BE...NAKED」では、よりクリアに聴こえるので一聴です。

 

あと、特筆なのは、ヴァースの部分で、3小節目が2/4拍子になっていて、その後から3/4拍子になっている点も見逃せない。

変拍子と言えば、ジョンの専売特許みたいなものだが、とうとうポールも最後にして影響されたか?という、少し微笑ましい?(偶然だろうけどね)話で締めくくりたい。

 

 

 

 

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★87位

【Getting Better】

<SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND>1967.6/1=2:47=

 

ポールが書いた、非常に完成度の高い曲。

しかも、メンバー全員が良い仕事をしてるのも特筆ものだ。

ポールが描いたイメージが完全にメンバーも把握していて作られた音作りで、熟成されたサウンドに仕上がっている。

 

リンゴの病気で代役を務めたジミー・ニコルの口癖が“It' s Getting Better”(段々良くなってくる)だった。

愛犬マーサを連れて散歩に出掛けたポールは、太陽が雲の切れ目から覗いたのを見て、つい、独りごとで言った。それが、そのジミーの口癖だったのだ。

そして、思わずポールは微笑んだ。それは、ジミーに“調子はどうだい”“気分はノッてきたかい?”と 尋ねた際の返事が必ず“ It' s getting better” だった。

そして、タイミング良く付けられたタイトルが、この曲になったのである。

 

“It' s Getting Better”の歌詞に関しての次の展開は、こうだ。

すると、ジョンが、“It Can' t No Worse(これ以上、悪くはならないさ)” と返した。だからジョンと曲を作るのは楽しいんだというポール。

“こんなパートナーが他にいるとは思えない”とまで言っている。

後のBEATLES解散は、解散そのものの哀しさはもちろんあるが、ジョンとの曲作りの別離が辛かったのだろうと、今だと理解出来る気がするのだ。

それは、さておいて、この歌詞の対比…前向きなポールと、悲観的なジョンの対比といっても良いかも知れない。

この2人のコンビネーションこそが、ビートルズが他のどのバンドにはない唯一無二の存在にしている点の1つだと思う。

 

イントロは、ジョンが1泊づつ刻むカッティィングから、ジョージの4拍目だけシンコペーション気味に2音入れる箇所が、いきなり心地良い。

しかも、次の小節は、それを3泊目でやっていて、良く聴くと、かなり凝っているのである。

ポールはホーナー・ピアネットを弾く。

そして、リッケンバッカーのコンプレッサーを実験的に試行錯誤しサウンドを作り、通常では思いつかないようなフレーズを考え出している。正に天才の業だ。

“サージェント~”以降のポールのベースは、もはや楽曲のサウンド全体を完全に牛耳っているとぃつても過言ではないのだ。

 

掛け合いのコーラスも面白いし、曲の構成に大きく貢献していると思う。

POPでノリの良い曲だけれど、聴けば聴く程に味がある曲でもある。

 

良くビーチボーイズの“PET SONNDS”はBEATLESの“RUBBER SOUL”に影響を受けて作ったといい、“サージェント~”は、その“PET SOUNDS”にポールが影響を受けたからと言われるが、“PET SOUNDS”の影響や、返答みたいなものが1番感じられるのが、この曲であると思うのだが、いかがだろうか?

 

余談だが、Vo録りをする予定だった1967年3月21日は、ジョンがLSDでトリップしてしまい、具合が悪くなったと思い込んだジョージ・マーティンが屋上に連れて行き、そのまま置いてきてしまったのだ。

屋上には柵がない。トリップした人間が…と、すぐにそれに気付いたポールとリンゴ、スタッフは屋上に駆け上がってジョンを下に降ろしたという話は有名である。

お陰でレコーディングは2日後の3月23に行われたが、奇しくもこの日は、その後、同じくLSDで完全に病となってしまうシド・バレット在籍時のピンク・フロイドが同じスタジオにいて、BEATLESに挨拶に来ていたのだが、何とも皮肉な話である。

 

 

 

 

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★88位

【Taxman】

<REVOLVER>1966.8/5=2:37=

 

ジョージが、BEATLESの全アルバムの中で、唯一、A面トップ1曲目を飾った曲(アルバムはREVOLVER)としても名高い、大出世作。

 

どんなに稼いでも、ほとんどを税金で持っていかれてしまうことを意識してジョージが書いた曲だが、ジョンも歌詞の一部を手伝っている。

BEATLESが、恋愛を始め、自分達の感情以外の歌詞となった2曲目の楽曲でもある(ちなみに、1曲目は、Paperback Writer)。

 

いきなりイントロで、かのデビュー作の1曲目I Saw Her Standing Thereのようにカウントから始まる。

I Saw~は、素直なカウントで始まるが、こちらは「1、2、3、4、1、2」と少々、捻りが効いている上に、カウントの途中で、咳払いが聞こえる。

これは、かなり意識して、こうしたものだろう。

そこで、考えられるのは、このアルバム「REVOLVER」から、チーフエンジニアがノーマン・スミスからジェフ・エメリックが抜擢されたことにも関係していると思う。

BEATLES自体も、音楽の変化、複雑化と進化していく中で、再現不可能な領域の音楽に差し掛かっていて、実際、REVOLVERからは1曲もライブ演奏されたことがない。

そこに、ジェフ・エメリックだ。メンバーは、BEATLESの第2期というか、新しい彼等の世界の幕開けを意味してるのではないかと思うのである。

 

この曲は、ジョージの曲だが、まるでポールの曲かのように、ベースが曲の母体を引っ張り、ややエスニック調のリードギターを間奏とアウトロで弾いている。

このBassとリードギターは激渋で圧巻である。

ジョンとジョージは、D7→C→G7→D7を2拍4拍で、ずっとリフを刻んでいる。

この後ノリの2拍4拍の重たいリズムが心地良くカッコ良く、ノリを作っているのも凄く良い。

時折入るギターカッティングのD7(+9)が印象的で、歌詞の"Taxman~"と重なるところはかなりインパクトがある。

しかし、やはり、リフはポールのBassが強烈である。

渋いのは、間奏の後に、ギターのリフがBassと同じになる箇所があるが、では、ユニゾンで同じかというと、ここだけポールのベースは、“ドン・タタート・タター”ではなく、2拍目16分音符で弾いているのだ。

ただのユニゾンではカッコ悪いと思ったのか、そのセンスはかなりのものだと思う。

そして、ラストのBassもまた4拍目で変化を付けている…ニクいね。

 

録音は、第11テイクから、12テイクにリダクションして、間奏ギターをコピーして、冒頭のカウントやら何やらを付け加えて完成した。

 

 

 

 

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★89位

【Yes It Is】

<Single & PAST MASTERS Vol.1>1965.4/9=2:41=

 

ジョンが、自身の名曲“This Boy”を下敷きに、違うアプローチで書いた美しいコーラス曲。

 

正に、BEATLESの隠れた名曲とは、この曲のことだろう。

 

シングル“涙の乗車券”のB面に収められた曲だが、両面共にジョンの曲である。

両方ともジョンの曲というのは、それ以前に“Please Please Me”があるが、この2曲以外は存在しない(ポールでさえ1曲しかない)。

ジョンの創作意欲と才能がいかに爆発していた時期だと言うことが良く分かる。

 

この曲は、BEATLES3大コーラスの名曲といって良いだろう。

というか、“Because”と並ぶ、コーラス曲の代表格だろう。

もちろん、基本は、ポール(高音部)、ジョージ(中間部)、ジョン(低音部)の3声のコーラスで、これも“This Boy”と同じで、彼等の1番の多い構成である。

但し、途中で、2声になったり、ユニゾンになったり、高低が入れ替わったりで、複雑極まりないコーラスでもあり、非常にレベルが高いのだ。

しかも、オーヴァーダビング一切なしだ。

ジョージが特に凄いのだ。後に、あの素晴らしい“Because”のコーラスには“心残りがある”とジョージが不思議なことを言っていたのだが、このコーラスを聴けば、なるほどなあと納得も出来るのだ。

故に、難度が高いせいか、この曲をカバーする人はほとんどいないのだ。BEATLES自身もステージで演奏したことはないくらいだ。

 

曲は、ジョージの弾くという ボリュームペダルで弾くイントロで始まる。

恐らく、世界の公式レコーディングでは、この曲が1番最初にボリュームペダルを使った曲だと思われる。新鮮だ。

 

ギターはテンションコードのオンパレードで、複雑で、ここには書き切れない。

Bassも和音弾きがあり、テンションコードにもなっている。

 

録音は、全15テイクで、15テイク目を採用。実際は、16,17テイクもあるが、それはジョンのダブルトラック部分だと推測される。

 

 

 

 

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★90位

【Golden Slumbers】

<ABBEY ROAD>1969.9/26=1:32=

 

実に、哀しく、しかし気高く、そして力強い作品なのだろうと感嘆してしまう名曲である。

そう、余りに名高い「ABBEY ROAD」のB面メドレーで、事実上、本当の意味での最後のメドレーとなる1曲目のナンバーである。

 

イントロは1小節で、たった2音のピアノの音しか弾いていないが、この2音だけで、すでに「終わりの始まり」を実感させられてしまうのは、この曲にそれだけの重みと思いがあるからだろう。

この曲は、切ないほどに、ポールの気持ちが伝わってくるかのようである。

 

16世紀にトーマス・デッカーによって作られた子守歌「Golden Slumbers Kiss Your Eyes」にポールが曲を付けたものである。

何と、400百年の時を超えてである。

ポールは、実父ジム(ジェームス・マッカートニー)の家で、ピアノを演奏している時に、義妹ルースのピアノ教本の中から(トマス・デッカー)の「ゴールデン・スランバー」という子守唄を発見した。

この時のことを「妹のルースの教本がスタンドに立てかけてあって、それをパラパラとめくっていったら、「ゴールデン・スランバー」に行き当たったんだ、と言っている。

ポールは、これに、冒頭で歌う「Once there was way to get back homeward...(昔、道があった、故郷へと帰る道)」というフレーズを作って詞と曲を完成させていった。

 

歌詞のタイトルでもある「スランバー」には ”眠り” や ”活動休止” という意味もあり、活動が終焉に向かっている彼等BEATLESそのものを表現しているようにも思われます。

内容から“Get Back”の続編のようにも聞こえますが、こちらは、失っていくものへの悲しみが支配していますね。ポールのVoの歌い方にも、それが顕著に表れている。

途中の歌詞の「Smiles awake~」では、ポールはのどを締めつけて雄叫びのようにシャウトしている。もう、聴いているこちらも胸が締め付けられるかのようだ。

 

最初は、優しく歌い出し、力強く変化していく…この流れは、もうポールの真骨頂でもありますが、とにかく歌詞とメロディが美しい。

 

曲調は、AマイナーのメロとCメジャーのサビだけで、コードもほとんどダイアトニックで構成されている。

この曲ではギターが入っておらず、ピアノとベースとドラムに、+オーケストラというちょっと異例な編成である。

オーケストラも、ジョージ・マーティンがアレンジした重厚さで答えている。素晴らし仕事ぶりだ。

悲しいことか、このラストアルバムでは、ポールのパートナーはジョンではなく、マーティンになっていることだろう。

ジョンは、この楽曲にさえ参加していないのだから(まあ、自動車事故で入院していんだけど、ヨ-コとキョーコと旅行に行ってましたからね)。

 

劇的にプレイするリンゴのDrも素晴らしいが、Bassはポールではなくジョージ。

ジョージのプレイは、静かに、まるでポールが弾いているかのようだ。音色も素晴らしい。

 

悲しみに満ちた短い、短い短い名曲である。

 

 

 

 

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