トリジローのTHE BEATLES全曲解説 & My Best Ranking -6ページ目

トリジローのTHE BEATLES全曲解説 & My Best Ranking

THE BEATLESファン歴は、約半世紀にて、また、研究し続けて、早40年の、トリジローと申します。

まだ、誰も成し得ていない、全213曲+のランキングと解説を、同時に、そして独自に掲載していきます。

これぞ、究極のTHE BEATLES解説にも挑みます。

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★49位

【You're Going To Lose That Girl(恋のアドバイス)】

 

ジョンは、初期の時代だけでも、あれだけ有名な名曲を量産していながら、こういう名曲を残しているのが本当に凄いと思わせるが、その初期の有名曲に劣らない名曲である。

 

1965年の作品で、時代でいえばデビューして3年で、初期の最後の方となるが、3年でここまで洗練されたのかと驚かされる。

1年前の“I Should Have Known Better”の発展形ともいえる作品と感じる自分は、その進化なのだなという感覚になるのである。

“I Shoul~”と同様に、基本はPOPな曲なのだが、モータウンからの影響も大きく、ポールとジョージの追っかけコーラスが、これぞBEATLESと思わせてくれるが、彼等の楽曲の中でも、ベストの1つの追っかけコーラスではないかと思う。

 

ジョンの、爽やかだけど色気があるようなVoが何といっても素晴らしい。

ファルセットの部分や、少し投げやりに歌う感じや、ジョンのいろんな魅力が詰まったVo曲でもある。

 

この曲もサビの部分で、Eから(転調しやすいようにDに行き)→Gに1音半転調する。

この1音半上げは、1番ノリが出るのである。

しかし、サビの後の間奏ではすぐにEに戻っている。

ところが、2番目のサビで同じくGに転調して、ヴァースに戻る際は、いきなり終りコードのFから→Eに(Bbなどの音を入れずに)半音下げで不自然な感じで戻るが、実は個人的にはこの部分が1番カッコイイと思うし、好きなパートなのだ。

つまり、彼等は、それをも分かっていて、この流れにしているのだ。恐ろしいほどのセンス!

 

ジョージの間奏のリードギターもノリが良くて好きだし、リンゴのボンゴ、ポールのピアノも良い味付けになっている。

 

いかにもジョンらしい曲ではあるが、ポールによると「6-4でジョンが作った曲」と言っている。

基本はジョンが書き、中間部はポールが作ったのだろう(ポールっぽいメロディであるし)。あと、コーラス部もそうかも知れない。

 

映画「HELP!」で、レコーディングの印象的なシーンで登場するので、映像と共に覚えてる人も多いだろう。

元祖PVのような映像だ。

 

余談だが、この曲の面白いエピソードがある。

この曲は、たった2テイクで完成してしまったが、採用テイクは何と“テイク3”。

これは、記入したスタッフの間違いから起こったことで、1テイク目をテイク2にしてしまっていた為だった(笑)。

 

 

 

 

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★50位

【I Feel Fine】

<Single & PAST MASTERS Vol.1>1964.11/27=2:18=

 

世界で初めて、レコーディングでフィードバックを使った曲として、永遠に歴史に刻まれる曲だろう。

 

ジョンは、自身のギターであるJ-160Eを音を上げたまま、アンプに立てかけようとすると、突然出て来た“グイ~ン”という音に驚いた。

ジョンはこれを気に入り、曲の冒頭に入れることを思い付き、この曲の全部のテイクに、フィードバックが起こるようにギターを構えた。

加えて、ポールのBassも「A」の開放弦を鳴らし、これに同調させた。

これが世界初のフィードバックとなったのだ。

昔は、この曲のフィードバックは偶然の産物と言われたりもしたが、ちゃんと狙ってレコーディングしていたのだ。

 

ジョンは言う。

“BEATLESの名誉の為に言う。それまで、レコードにこの手法を使ったミュージシャンはいなかった。ジミ・ヘンドリックスやザ・フーより先だったね”

 

8枚目のシングルで、全米No.1。

武道館公演や、エド・サリバンショーでも演奏された、そういう意味でも、お馴染みの曲ですね。

 

楽曲について申せば、傑作以外の何物でもないでしょう。

何とも底知れぬ魅力のある、他の誰でもないBEATLESテイストが溢れ出ている曲。

ブルージーだがPOPでもある、その両足で立つ、正にその部分が底知れないのである。

ジョンにしては珍しくストレートで前向きなラブソングの歌詞だが、音の方は実にクールなサウンドだ。

 

ボビー・パーカーのR&Bナンバー“Watch Your Step”のリフをヒントにしたリフで構成されるが、ジョン自身がギターを弾いている。

ジョージがユニゾンで被せて弾いている。

 

メインVoはもちろんジョンで、ジョンにしては抑え気味のクールな歌い方がカッコイイ。ジョン自身のダブルトラッキングですね。

ダブルトラッキングといえば、この素晴らしいコーラスもダブルトラッキングである。

この分厚いコーラスワークが堪らない。ギターリフとメロディ自体に耳が行きがちだが、コーラスも是非、聴き込んで欲しい、素晴らしいから。

 

演奏は、ジョンのギターに尽きるが、リンゴのラテンR&Bテイストのドラミングが良い。

ポールが、こういうスタイルのプレイが出来るからリンゴはバンドに不可欠なドラマーだったと言っている。

そのポールのBassは珍しく地味目で、ルート音と5度の音のみで構成している。これは、ジョンの全編に流れるギターリフを引き立たせる意味合いもあったのだろう。

 

レコーディングは、1966年10月18日に行われ、9テイク録音し、9テイク目を使用。

この日は、アルバム「BEATLES FOR SALE」の多くの曲を演奏し録音した日でもある日なので、特に演奏面は充実してると思う。

 

ステレオVer.は、モノVer.よりエンディングは短く編集されているが、小さく手拍子が入っている。

 

ノリが良い曲なので、天才ジョンが一発で造ってしまったようなイメージあるが、この曲こそ、彼等の知性と経験と感性が見事に結集された曲だと思うのである。

BEATLESの全楽曲で、この曲が1番好きだという人は意外と多いのだ。

 

 

 

 

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★51位

【The Long And Winding Road】

<LET IT BE>1970.5/8=3:37=

 

誰もが素直に思う、ポール流バラードの傑作である。

 

絵に描いたような素晴らしいメロディを持つ名曲で、今日までまったく色褪せていない。

 

「Yesterday」「Let It Be」と並び称される余りに有名な曲だが、一騒動となった曲でもある。

Get Backセッションで、彼等は多々の曲をレコーディングしたが、結局は意見の衝突や、会社運営のことで、ミックスやら完全な状態になる前に放り出してしまった。

最終的に、ジョン→アラン・クラインの流れで、フィル・スペクターがプロデュースした形となったが、とりわけ、この曲に大仰なストリングスを重ね、世に出してしまったことに、ポールとジョージ・マーティンがが激怒したことだ。

特にポールの怒りは凄まじく、「アンソロジー」のみならず、遂に、メンバー及び、故人メンバーの奥さんの了承の元、2003年に「Let It Be... Naked」までリリースしてしまうのだから、因縁のアルバムであり、この曲の問題がなければ、ここまではしなかったのでは?という意見もある。

(オリジナルとNakidでは一部歌詞も違う。“Never”と“Always”)

個人的な意見は、やはり、シンプルなVer.が好きだ(ですが、Naked Ver.は好きではない。アンソロジー3がBest)。

ただ、スペクターは良い仕事をしたと思う。素晴らしいアレンジではある。ただ、ロックバンドのアレンジではなかった…そして、特にBEATLESサウンドではなかったことが致命的なだけだと思うのです。

ポールがもし、サイモン&ガーファンクルの「明日にかける橋」のような曲にしたかったなら、もっと高いキーで劇的に歌っただろうし、それは意図してなかったのでしょう。

恐らく、この曲に答えはないのかも知れませんね。ポールが今の今まで、絶対的にこれというアレンジと決めていない訳ですからね。

 

さて、楽曲について。

ポールのバラードというのは、余りキーを上げずに、むしろクールなテイストで歌っています。それが寄りメロディの美しさを際立たせていると思いますね。

 

キー(歌い出し)はCm7で、ポールにしては、ごく普通の循環コードである。

ポールは、普段は、不思議だったり、誰も思いつかないようなコード進行な曲も非常に多いコードの魔術師なのだが、“Let It Be”や“Hey Jude”のような世紀の名曲と呼ばれるものには、至ってこのようなシンプルで簡単な循環コードだったりする。

このあたりは、とても面白い。

ピアノ自体も、本当にシンプルな奏法で簡素だ。でも、そこが良い。

ただ、コードは少しづつ崩しながら弾いている。低音の音使いも上手い。

 

Bassはジョンが弾いているのだ。

7thの音を入れながらの、なかなか良いセンスが垣間見れる(聴ける)。やはり、ジョンも素晴らしいミュージシャンだね。

 

歌詞は、BEATLESが分裂していく流れの時で、当時のポールの心情が切なく伝わってくる。

自分自身も、若い頃、何かに迷った時に良く聴いていた曲だと思い出しました。

 

…あなたの扉へと続く、長く曲がりくねった道のり…

 

 

 

 

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★52位

【Revolution】

<Single & PAST MASTERS Vol.2>1968.8/30=3:23=

 

BEATLESでは初めての社会的なメーセージソングであるジョンの野心作であり、後期のベストソングの1つでもある。

 

例のキリスト発言もあってか、以前は、かつてのマネージャーであるブライアン・エスプタインには政治的な曲を禁止されていたが、ブライアンも亡くなり、ジョン自身は“BEATLESは、社会的なメッセージを発信しなければいけないんだ”と語っている。

 

イントロから非常に強烈に歪んだジョンのギターが鳴り響く。

アンプを通さずにコンソールに直接ギターを繋ぐという反則技によって生み出されたサウンドではあるが、ジョンの要求を叶えるために様々な試行錯誤が繰り返され、エンジニアであったジェフ・エメリックを散々苦しめたようだ。

機材の使用に厳格なEMIのスタジオでは絶対にやってはならない暴挙でもあった(笑)。

ちなみに、ジョージには、“良い曲だし、ノレる曲だけれど、あのギターのノイズが好きじゃないんだ”と言われてしまっているが、個人的には好きだ。良くぞ作った音である。

アルバム「WHITE ALBUM」収録の“Revolution 1”とこれはバージョン違いで、こっちはシングル向けにテンポが早くなり、そのついでに全編に攻撃的なファズギターとニッキー・ホプキンスのピアノが添えられた。

元々は、“Revolution 1”をシングルにしたかったジョンだが、テンポが遅すぎるのと、曲が長すぎるのでポールとジョージに猛反対されてしまって、改めて作られたVer.でもある。

 

革命と言いながら突っ走る輩(兄弟と表現)に対して、ちょっと待てよ、自分の頭から変えてみなよ、と言い放つジョン。

これは、革命の歌ではなく、革命を叫ぶ人たちに対するジョンの返答歌なのです。

破壊的な急進主義を否定した洞察力は知性を感じるし、今読んでも見事な歌詞である。素晴らしいの一言。最高の歌詞だろう。

ちなみに、先の“Revolution 1”では、破壊活動の仲間から外してくれ…いや入れてくれと悩む歌詞だったものが、このVer.では、完全に外してくれと歌っている。

この、流れも聴き比べてみると面白いかも知れない(先の“Revolution 1は、White Albumに“1”と“9”に分けて収録されている)。

 

ジョンの弾くギターのドライブ感も素晴らしい。

自身では、“上手くないけど、バンドを乗せるギター”と言っているが、キレは良しい、シャッフルのリズムの中で3連を入れて弾くプレイなどは鳥肌モノである。

 

ポールは久々にヘフナーのBassを弾いている。

リッケンバッカーのポールも大好きだが、後の“Hey Bulldog”もそうだが、やっぱりヘフナーを抱えながら歌う姿は良いなあと思う。

 

ニッキー・ホプキンスのエレピの貢献も見逃せない。

ニッキーの参加は、恐らく、BEATLESと同世代のロックミュージシャンが初めてレコーディングに参加した曲でもある。

 

公式盤のPast Masters Vol.2では、ポールとジョージの例のコーラス“シュビドゥワ~”がカットされているが、PV(公式にYou Tubeにもアップされている)では、ボーカルのみライヴで、ポールとジョージによるRevolution 1コーラスが入っている。

 

余談だが、ジョンはこの曲を、発足したばかりのアップルレコードの第1弾シングルにしようと考えていた。

ところが、後日、ポールのかの名曲”Hey Jude“が出来てしまったのである。

どちらがA面になるかは一目瞭然だった。しかし、結果的にBEATLES最高の売上を記録したシングルのB面なのだから、その栄誉は色褪せることはないと思う。

 

最後に、暴力を否定したこの歌詞のジョンが、自らの人生を、その暴力によって奪われてしまったことが悲しくて仕方がない。

 

 

 

 

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★53位

【Oh! Darling】

<ABBEY ROAD>1969.9/26=3:26=

 

ポールの絶唱が聴ける、最高な50年代風のロックンロールの究極曲!

 

特に、サビで聴かれるポールの情熱的なシャウトは圧倒的だ。

 

恐らく、ポールの曲…いや、全BEATLESの曲の中で1番Voパートのキーの高い曲だろう。

ポールの曲なら、次いで“I’m Down”や“I Got The Feeling”あたりだろうか。

ポールの声質は太いので、キーが高くても余り高いとは感じないが、声域は広く、高い。

コーラスワークで、大概、ポールは1番上のパートを歌うのも、その為である。

ポール自身も、1週間、午後の早い時間に1番乗りでスタジオ入りして、1日に1テイクのみボーカルを録音し、納得がいくまで前のテイクを消して録音していた。

1日1テイクのみの理由は、「何度も歌うと慣れてしまうから」。そのように、声を作り上げていったようだ。

今聴ける素晴らしい歌声は、これらの賜物である。ただ、ポール自身は当時、“5年前なら、あんなの簡単に出来たのに”と言っていますが…。

 

まずもって、イントロのピアノの音色が渋いですね。

コードで言うとEaug7ですが、ポロ~ンと弾いているだけですが、このセンスに一気に緊張感が高まりますね。

 

楽曲自体は、50年代風の12/8拍子のミディアムテンポのスローなロックンロール。

 

ドラムスとベースのコンビネーションが良く、とても気持ちよくグルーヴしています。

リンゴも珍しく手数が多いし、細かいハイハットの打ち方なんか、この曲に魅せられたのか、気持ちが籠ってますね。

その上に被さるのが、アフタービートで入るジョージの弾くギターのカッティングと、力強いピアノの3連ブロックコード。

そして、50年代のオールディーズっぽいコーラスと、重量感のあるソウルフルなベースも曲にアクセントをつけていますね。

ポールの歌唱に隠れてしまいがちですが、ジョンとジョージとポールによるコーラスワークの透明感も実に見事で、それも書き加えておかないとなりません。

加えて、ビリー・プレストンのエレピのプレイもね。

 

ジョージは「コード進行が最高。いかにも1955年の曲っぽい感じがする」と語り、

ジョンに至っては、「ポールの凄いやつ」と賞賛した上で、「これは、ポールより僕のスタイルの曲だ。自分の方が上手く歌えるし、彼にセンスがあったら、きっと僕に歌わせたさ」と、ずっとスタジオに居ながらも、この曲を歌えなかった残念さを露わにするストレートな心情と共に、ジョンらしい皮肉を込めて発言している。

(リハーサル音源では、マッカートニーとレノンのツインボーカルとなっている。アンソロジー3で聴けます)

しかし、どうだろう、ジョンの発言には一理あるし、ジョンのVer.も聴いてはみたい。凄く良いVer.が聴けるだろうと思う。但し、キーは2音くらい下がるだろう。ジョンには高過ぎて、このキーでは歌えないからだ。

それに、このポールのハイトーンの歌唱の圧倒的な熱量は半端ないので、これを出すのはさすがのジョンも無理だったろう。

ポールは、サイケ時代を終焉させ、69年初頭のGET BACKセッションで、50年代風のストレートなロックに原点回避した後だったので、挑みたくなったのだと思う。

それに加え、「ロックンロールはジョン」「バラードのポール」という誤った当時の世評も払拭したかったのかも知れない。“Long Tall Sally”や“I’m Down”等を歌って作ってきたポールの原点はロックなんだという意地でもあろう。

 

 

 

 

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★54位

【Lady Madonna】

<Single & PAST MASTERS Vol.2>1968.3/15=2:16=

 

ポールのメロディメイカーとしての成熟ぶりや、圧倒的なピアノプレイに圧倒される名曲である。

 

ポールは、Humphrey Lytteltonのバンドの1956年のスマッシュヒット“Bad Penny Blues”から、この曲のヒントを得ている。

何を隠そう、その曲のプロデューサーは、ジョージ・マーティンなのである。単なる偶然ではない。

ポールの、他の“ジャンル音楽”を自身風にアレンジして、まったく違う名曲を作ってしまう才能は、20世紀に限らず、それ以前も以後も誰も居ない達人だということだ。

 

歌詞の方は、非常に優れていて、ポールの作詞の中でもベストの1つだろう。

リバプールに住む労働者階級の女性達の歌なのである。

“お母さん達への応援歌だ”と、後にポールは語っている。

現在のソロのライブでも、女性たちの姿を映像で映し出しているが、本当に女性賛歌の歌に昇華したように見受けられるよね。

 

とにかく、ポールのピアノが圧巻で、素晴らしい。

左利きのプレイヤーの良さがこれでもかというくらい味わえる。とにかくベース音が力強くて強力なのである。

(後の、“Maybe I'm Amazed”や“1984”などと並び称される、左手の力強いプレイでしょう)

ジェフ・エメリックが、コンプレッサーとリミッターを使い、ピアノの奥にマイクを仕込んで作ったサウンドだ。

 

ポールのBassプレイは、さすがに、このピアノに準じていて、シンコペーションを入れながらのシンプルで良いプレイだ。

 

そして、上でも書いたが、メロディラインの成熟さ。ポールはここまで来たんだなあと感嘆させられる。

“See How They Run~”のハーモニーも、1フレーズなのに、何千回聴いても心地良い。

ポールの太いVoも上手くマッチしている。

 

そして、特筆なのは、間奏の“Pa,Pa,Pa,Pa…”とスキャットするセンス。

普通ならブラスを入れるところだが、敢えて彼等はそうしない。他のパートではブラスを入れているのに、ここに入れない。スキャットなのだ。

そうしないのには理由があるのだ。その理由はセンスしかない。敢えて入れないセンスなのだ。

 

あと、この曲を“まるでエルヴィスのようだ”と絶賛したリンゴのプレイセンスが冴える。

ヴァース部は、ハイハットは入れずにバスドラとスネアだけ。ブリッジ~サビハハイハットのみという、このセンスには脱帽!

リンゴを上手くないプレイヤーと昔は散々言われたが、大間違いだ。

速く叩くこと、おかずが多いことだけが上手いプレイヤーではない。

曲を100%以上に引き上げられる曲を活かすプレイが出来る人が本当に上手いプレイヤーなのだ。

ここで、引き算のプレイを選択したリンゴのセンスは凄いものなのだ。

 

アルバム「RIVOLVER」から始まったサイケデリックからの離脱を宣言するのが、この曲でもあろう。

シンプルに、ロックやポップに回帰した感じがあるが、もちろん、以前のサウンドではない、いろんな複雑な音楽を作りだしてきた末のシンプルさは、圧倒的に違うのであります。

 

 

 

 

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★55位

【I Want To Hold Your Hand(抱きしめたい)】

<Single & PAST MASTERS Vol.1>1963.11/29=2:25=

 

1964年にこの曲を聴いた人は衝撃だったと思う。

特に日本とアメリカでは、この曲から爆発的な人気が出たと言っても過言ではないだろう、初期の代表曲である。

アメリカの爆発的なブレイクは、正にBEATLES旋風であったろう。

あの当時で、アメリカだけで500万枚を売り上げたのだから。もちろん、全米初のビルボードNo.1。

 

英国ではすでに5枚目のシングルだったが、日本では初めてのシングル曲(B面は“This Boy(こいつ)”)でした。

 

この曲は、当時のポールの恋人であったジェーン・アッシャーの自宅の地下室でジョンとポールが一緒に書いた曲である。

きっかけは、最初に弾いたポールのピアノのコードからだった。

1963年までの2台代表曲は間違いなく、“She Loves You”と、この曲だろうが、前者はややポール寄り、この曲はややジョン寄りといったところだろう。

ジョンは“あの頃は本当にこんな調子で、お互い鼻面を突き合わせて作曲したんだ。例えば「I Want To Hold Your Hand」がそうだ”と回想したくらい、特に共作したイメージが1番強かった曲だったのだろう。

ポールもその話を聞いて、思い出したかのように“睨み合わんばかりに…正にそうだった。大切なNo.1ヒットだよ”と言っている。

 

Voは、初期の定番ジョン&ポールのデュエット。

上がポールで、下がジョンですが、サビの“I Wanna Hold Your Hand~”の“~Hand”の部分だけ、下がポールで、上をジョンがファルセットで歌っている。

こういうところが彼等のセンスである。ジョンの切ない感じをここぞで出すのである。

ポールが、サビで1ヶ所、歌い回しを変えている部分も美味いなあと思う。

 

しかし、イントロからの歌い出しが裏からに感じてしまう(というか、シンコペーション)ので、難しい曲でもある。

ジョージのギターが良い仕事をしているね。

 

ポールのBassが和音弾きをしているが、この辺りからポールは和音弾きをするようになる。

リンゴも、サビでの両手打ちが印象的で、これもポールの和音弾きと共に、BEATLESの個性となっていく。

 

ハンドクラップは完全にビートルズの個性というのが分かる1番の例ですね。

 

この曲から、2Trから4Trになったことも大きい。

初期の曲のサウンドは全部同じと今の人は曲を聴いても思うかも知れないが、“She Loves You”と比べれば一目瞭然で、明らかに音圧も深みも違う。

 

録音は、17テイクを録り、17テイク目がベストで採用された。

 

周知の事実で、実際の公式曲213曲の1つにもカウントされている、この曲のドイツ語版だが、タイトルの"Komm, Gib Mir Deine Hand"を邦訳すると、「来て、あなたの手を取りたい」と意味はほぼ同じだが、同じくドイツ語版がある“She Loves You”の歌詞が忠実な訳なのに対して、この曲の詞の内容はドイツ語訳ではなく、かなり自由に作られている。

 

余談だが、当時の東芝の担当ディレクターだった高嶋弘之氏が付けた、この邦題“抱きしめたい”は素晴らしい。

初めて、形容詞が曲のタイトルになった日本初の曲でもあるのだ(抱きしめ“たい”)。

 

 

 

 

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★56位

【Things We Said Today (今日の誓い)】

<A HARD DAY’S NIGHT>1964.7/10=2:35=

 

1度好きになると抜け出せなくなる棘のような作品。

ポールの名曲である。

 

デル・シャノンから影響を受けた…特にコード進行などで、ポール流に作り上げたもの。

ちなみに、ジョンも全く同じことをして“I’ll Be Back”を作ったのだが、どちらも名曲で、彼等の非凡な才能ぶりには驚嘆する。

 

さて、この曲は、ポールとしても、BEATLESとしても珍しいマイナーコードの曲である(キーはAm)。

しかも、アコースティックサウンドなので、非常に展開が心地良い。ポールのこういう面が大好きだ。

そして、マイナーな曲が、突如、サビで転調して、Amから→A7になる。

同じメジャーコードに転調する得意のパターンだが、この辛口展開が堪らない。ここが、この曲が何万回聴いても飽きない所以なのだと思う。

 

ポールの素朴な歌い方も良い。

 

ジョージが何回も弾く、ブレイクのギター“ジャカジャーン♬”が本当にインパクトを放っているよね。

これが、この曲の肝であるし、彼等のさり気ないアレンジの上手さを感じさせ、その細かい部分が佳曲から名曲にステップアップさせているのだと思う。

この“ジャカジャーン”は、ずっとコードがAmの部分なので、クセを付けたかったのだろうか?

 

サビに入るとピアノとタンバリンが加わり、ハイハットもハーフオープンになっている。

ジョージ・マーティンが弾いたピアノは後で消しているが、微かに残ってしまっているので、かすかに聴くことが出来る。

 

この曲は、僅か3テイクで完了。

もう最終的な完成形は、ポールの中で最初からあったのだろう。まあ、シンプルな曲だしね。

翌日にオーバーダブして、あっという間に完成してしまった。

 

この曲は、BEATLESの映画の撮影後に休暇を取り、ポールとジェーン、リンゴとモーリーンはヴァージン諸島へ。

そこで、船の上で、ポールはこの曲を作ったという。

ポールの当時の浮気性や、ジェーンの女優業の独立志向から関係が離れつつあった時の歌詞で、関係が音楽評論家のイアン・マクドナルドは「キャリアを積んだ2人の人間関係のもどかしさから生まれた陰鬱な歌詞が、沈みゆくような曲の暗さとマッチしている」と評している。

 

ポールのお気に入りの曲で、BEATLES時代も、今現在もライブのレパートリーに良く入る曲だ。

更に言うと、決してポールの曲の多くは褒めないジョンも、この曲は“良い曲だ”と言っている。

 

余談だが、2014年にリリースされたポールのトリビュート盤「The Art of McCartney」では、ボブ・ディランがこの“Things We Said Today”のカヴァーをやっている。しかも殆どThe Beatlesのアレンジのままで。

ディランという人は、後にインタビューなどから受けた印象で言えば、自分(ディラン)に影響を受けまくったジョンを余り高く評価していなくて、出会いの頃はともかく、逆に後にもそこまでは交流がなかったポールのことを凄く尊敬している節がある。これは少し面白い話だね。ジョン=評価が余り高くない、ジョージ=仲が良い、ポール=尊敬している、そんな感じだ。

 

 

 

 

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★57位

【And Your Bird Can Sing】

<REVOLVER>1966.8/5=1:59=

 

とにかく躍動感溢れるツインリードのリフが曲を支配していて、ナイスで最高な1曲となっている。

ファンにはとりわけ人気の高い曲で、カヴァーバンドが演奏すると盛り上がる曲でもある。

 

そして、この曲は、ROCK&POPS史上、初めてのツインリードギター曲でもある。

ロックバンドがその後に普通に行うようになる革新的なことを、数えきれない程、BEATLESはパイオニアとして切り開いたことを忘れてはいけない。

 

そのツインリフは、ジョージとポールが弾いている。

見事と言うほかない息の合い方だ。

テンポの割に疾走感を感じるのは、このツインリードのリフのお陰であろう。

間奏の、同フレーズから展開していく流れも聞き惚れてしまう。

 

遅れたが、楽曲はジョンの曲。

シンプルなメロディは素晴らしく、無駄な部分がまったくない。

ジョン自身は、この曲を嫌っているらしく、“歌詞が最悪”捨て曲だ“に加え、“おぞましい”とまで言い放って いるが、ジョンは歌詞が気に入らないと、曲は悪くなくても自作曲を自らけなす傾向があるからね。

それにしても、ジョンのハスキーな歌声は素晴らしい。

 

そして、もう1つのポイントは、ポールのBassである。

このアルバムからはっきり開花したメロディベースが躍動している。呼び跳ねていると言ってもいい。

Voパートでも上下に自由に動き、テクニックだけで魅せるスタイルではなく、ポールならではの独自の完全メロディベースなのである。

中幹部の"When you prized..."の必殺技クリシェの展開も素晴らしい。ギターが控えめなリフに替わった部分で余計にマイナーな感じなリズミカルさが増して聞こえるのです。

曲のエンディングもBassだけで終わらせる構成もナイスだ。

 

Bメロ"When you prized..."は美しいクリシェ(G#m→G#mM7→G#m7→C#9)を描いていて、それにツインギターのリフが心地良くマッチしている。このようにサウンド的にも非常に完成度が高い曲である。

 

録音は13テイクで、10テイク目を基本に、6テイク目が編集された。

 

ジョージは、当時を振り返り、こう言っている。

“REVOLVERには聴き直してみると本当に良い曲がある。例えば、And Your Bird Can Singとか”と発言している。

そう、実は良い曲というレベルではなく、相当に良い曲なのである。

 

 

 

 

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★58位

【Michelle】

<RUBBER SOUL>1965.12/3=2:40=

 

誰でも知ってるポールの名曲中の名曲だが、音楽的な解説をすると、とてつもなく高度で複雑な曲なのである。

 

この曲の原型は、デビュー前のリパプール時代に遡る。

ジョンと一緒に、アートスクールのパーティに参加したポールは、パリが最先端の場所で、女の子の気を引こうと、ボヘミアンを意識して、フランス風のメロディを考え、シャルル・アズナブール風に歌ったのだ。

それを覚えていたRUBBER SOUL制作時のジョンが、ポールに“覚えてるかい?あれは良い曲だったから、あれで曲を書いてみたら?”と言ったことが、この曲の誕生秘話だ。

 

そして、ポールはこの名曲を書いた訳だが、何を思ったかジョンは、例の“I Love You~”と繰り返すフレーズを作って中間部に入れたらと提案した。

気に入ったポールは、コーラスを入れていた部分に、このパートを入れた。名曲の誕生だ。

ジョンは言う。

“ポールの曲に僕が手を入れる場合は、ブルージーな要素を入れるんだ。そうしないとMichelleもただのバラードになっていただろう“と。

ジョンはポールを知り尽くしている。ポールにないものを補う。それはBEATLESとしての楽曲だから必然なのである。逆に言えば、ポールもまたジョンを知り尽くしていて、ジョンにないものを補うのである。

だから、2人は世界最高のソングライターチームなのである。

 

楽曲について語ろう。

まず、独特なコード進行。とても23才の人間が書いたものとは思えない、成熟したセンスである。

イントロは、Fmだが、歌い出しはF。まず、もうBETLESマジックだ。しかも、サビで、またFmのマイナーに戻る。

そして、歌い出しが、F /Bb7(#9)/Eb /Ddim /C – Ddim /C - C7 /

である。

良く、Fに続く2番目のコードは、Bbm7とスコアに書かれ続けてきたが、間違いである。

この曲は、5フレットにカポを付けて、Cのコードで弾いている。

良くこんなコード(の流れも)を思い付くものである。

 

これだけでも凄いのだが、コーラスのアレンジがもっと凄い。

4声や5声のダブルトラックのハーモニーだが、4度の音でコーラスをしているのが不思議なムードを醸し出している。良く、ここで4度の音を入れようと思うセンスが凄い。

しかも、それをあっさりとやってしまうところも、感心してしまう。

この曲は本当にたくさんのアーチストによってカヴァーされたが、BEATLESを越えるVer.は遂に現れなかった、その1番の理由は、これ以上ない、この洗練されたハーモニーがあるからだと思う。

 

そして、ポールのBassがとにかく素晴らしい。

イントロで、いきなり5度や3度の音で入るセンスも良いが、サビだけ4ビートで弾くセンスもどれだけ曲の雰囲気を作っているかである。

ポールは、この曲でメロディベースを開眼したといっても良いと思う。

Bassはただのコード弾きやリズム楽器だけではなく、楽曲全体をBassが支配することを知ったと思う。

これ以降のBEATLESの楽曲は概ね、ポールのBassによって大きく支配されていくことになる。

 

 

 

 

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