こんにちは
最近、大学構内の草の成長が早く
生い茂っていましたが
先週、草を刈っていただいたので
とってもすっきりとして
プランターの花も目立つようになりました
ありがたいことです
また、この2日間、プロ野球の阪神対広島戦が
近くの米子市民球場で行われました
4年ぶりにプロ野球が開催されるとあって
とっても賑やかでしたね
TVで球場がたくさんの観客で埋まっているところを見ると
熱気が伝わってくるようでした
今日は、中川先生から節足動物についてのお話しです
中川 真由美
地球上に生命が現われてから38億年。その中の実に34億年は海の中でした。地表は太陽からの紫外線が強くて生命が生きられる場所ではありませんでした。
全地球史からいうと比較的最近といってもよいかもしれませんが,4億6000万年前 (オルドビス紀中期)になって,光合成が盛んになったことによりオゾン層が形成されました。オゾンは紫外線を吸収しますので,陸上でも生物が生息できるようになりました。シルル紀(4億2000万年前)になると植物が進出し,次いでデボン紀(4億年前)には動物も上陸を果たします。地上に一番乗りしたのは節足動物と考えられています。
節足動物の身体は頭部,胸部,腹部の体節をつないだ造り(体節性)になっており,胸部と腹部の体節からはそれぞれ一対の肢が出ています。肢には関節があり,これが節足動物の名前の由来になっています。体の表面はクチクラと呼ばれるキチン質とタンパク質でできた殻で覆われています。
節足動物門は非常にバラエティーに富んでおり,大きく三葉虫亜門(三葉虫),鋏角亜門(サソリなど),多足亜門(ムカデなど),甲殻亜門(エビ,カニなど),六脚亜門(昆虫など)に分けられています(図1)。
節足動物の起源はほとんどわかっていません。カンブリア爆発でいろいろな動物が一斉に出現した際,アノマロカリス(図2)
やアイシュアイアといった節足動物に似た種類が現われています。彼らは体節性で,関節のある肢,そして鰓らしきものをもつ点で節足動物とよく似た特徴を持っていますが,彼らと節足動物の関係ははっきりしていません。
カンブリア紀中期に多足類によく似たメリストソマが現われます。最初に上陸した動物は,シルル紀後期(4億1700万年前)に多足類のヤスデの祖先と考えられています。オルドビス紀前期には三葉虫(図3)
が現われ,後期(4億4000万年前)になると鋏角類のウミサソリが現われます。ウミサソリから進化した鋏角類は鰓を「書肺」という呼吸器官に変えて上陸しました。この仲間の子孫が現生のサソリやクモなどのクモ型綱です。
甲殻類は節足動物の中でも大きなグループですが,彼らの祖先は5億年前のバージェス頁岩動物群の中にすでに見つかっています。甲殻類自身は上陸しませんでしたが,甲殻類の中の鰓脚類という淡水産のミジンコの仲間が「気門」という空気の取り入れ口を獲得し,空気呼吸をしはじめます。さらに遊泳脚を歩行脚に変えて上陸を果たします。これが昆虫の祖先になりました。これは約4億年前のデボン紀のことですが,まだ翅はありません。3億年前の石炭紀中期になると昆虫は翅を持ちます。翅は外皮が薄く伸びたもので,これにより昆虫は飛行という新しい行動力を手に入れ,一気に多様化します。
気門は胸部と腹部の体節に一対ずつあります。気門から取り入れられた空気は気管を通じて各組織に直接送り届けられます。このシテスムは効率のよい呼吸方法ですが,何しろ自然拡散ですから,ある程度以上身体が大きくなると身体の奥深くまで空気が行き届かなくなります。つまり「昆虫は身体に酸素が供給できる範囲でしか大きくなることはできない」ということになります。
現在の昆虫にあまり大きな種類がいないというのはこの理由によるものです。酸素濃度21%の現在で最大の昆虫は長さだけでいうとマダガスカルオオトビナナフシの50cm,重さでいうとヘラクレスオオカブトの18cm, 100gでしょうか。古生代石炭紀の酸素濃度35%という時代には全長80cmという巨大なトンボ「メガネウラ」もいました(図4)。
現在,節足動物は約110万種あると推定されており,これは地球上の現生全動物種の85%になります。節足動物のなかでも特に昆虫が80万種とされていますが,未知のものを含めると500万種とも1000万種とも言われています。
昆虫は現在地球上で最も繁栄しているグループと言ってもよいかもしれません。
参照
図1 はhttp://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/050/research_21_2.html
から拝借しました。
図2,3,4は北九州市立「いのちの旅博物館」の展示品を撮影しました。