朝日新聞が3月2日にすっぱ抜いた森友学園への国有地売却に関する決裁文書書き換え問題。決裁文書の原本が一部書き換えられて、国会に提出された。この事案の本質はうっかりミスなどというレベルの問題ではなく、あくまで「何か」を隠蔽、隠すために行われた行為である。そう考えるのが一番真っ当な思考だろう。
解明すべき核心は
誰が、いつ、何の目的で書き換え作業をやったかに絞らる。
しかし、ここで先ずはっきりしておくべきことがある。
それは誰がーの中には①書き換えの実行行為者②書き換えの指示を出した者③指示を陰に陽に強要した存在ーの三段階に分けて考察する必要があることである。
以上の問題を考察する上で一つの材料になるストーリーを11日の毎日新聞朝刊が一面トップで掲載している。
朝日新聞が3面3段見出しで
「首相『財務省が全力を』」
て実にさらりとしか反応していないのと比べると、毎日新聞と東京新聞は「東日本大震災7年」ではなく、森友文書の書き換え問題を一面トップに据え、社会面でも取り上げている。力が入っているのだ。
朝日新聞の拍子抜け記事の背景には何かあるのか気になるが、11日朝刊でやはり目立つのは毎日新聞の踏み込み方だ。
見出しはこうだ。
横に黒地白抜き凸版見出しが目を惹く。
「財務省 書き換え 認める」
そして縦4段見出しは
「佐川氏が指示」
「森友文書 答弁に合わせる」
毎日新聞の記事を引用する。
「売却問題が発覚した昨年2月当時は、佐川宣寿前国税庁長官が理財局長を務めており、売却の経緯を説明する責任者として書き換えを指示したと見られる」
さらにもう一歩踏み込み記事はこう書く。
「決裁文書は佐川氏の答弁に沿うように書き換えられていた模様だ。政府関係者によると、自身の答弁を正当化するため、佐川氏が指示した可能性があるという」
この記事が「模様」「可能性」という表現で断定はしていないものの、森友文書書き換え問題の核心ー誰が指示したのか?ーに一つの回答を出していることである。
書き換えの指示は佐川氏である。
これは一連の今回の報道では初めてである。
この記事で見落とせないポイントは
「佐川氏が指示」、いわば佐川犯人説が
「政府関係者によると」
つまり安倍政権の関係者が佐川犯人説を示唆しているという事実である。
ここで透けて見えるのは、安倍政権としては当面の落としどころを
「佐川氏」
に全面的に背負わせて幕引きを図ろうという意思である。
そしても一つ付け加えると、
書き換えの実行行為者は
近畿財務局で森友学園の土地売買を担当していたとされている、先日自殺した職員。
この絵が描ければ①と②の問題は解決する。
③の問題は残るが、忖度に証拠はないということなんだろう。
以上のようなストーリーで安倍政権は逃げ切って幕を引き、はい、チャンチャン‼️
毎日新聞は今日の記事を見る限りはその逃げ切りストーリーに乗ってしまっている。
ただ、社会面の片隅にベタ記事でこうあったのが救いかもしれない。
「政治的な力働いている 前川前文科次官」
この見出しの記事は僅か16行の短いものだが、見逃せない。
「(書き換えは)政治へのそんたくだろう。無理なことを役人は自発的にするはずがない。何らかの政治的な力が働いている」
またこういう発言もあったようだ。
(佐川国税庁長官の辞任には)「辞めるなら、もっと自由に発言したらいい」
今回は毎日新聞の推理を取り上げたが、この問題の決着までにはまだ色々と紆余曲折がありそうだ。