夢のがん治療薬として知られる

「オプジーボ」

が今回胃がんにも使えるようになり、今月末正式承認され、保険が適用されるそうだ。

日本国内の胃がんの罹患数は年間13万2千人、がんの中では肺がんに次いで二番目に多いがん。

胃がんの患者さんやご家族には大変な朗報だろう。

私も大腸がんから始まり肺、肝臓とがんの手術を四回やった身だけに、こうしたがん治療の世界で起きていることに無関心ではいられない。

さぁ、まずこのオプジーボってどんな薬なのか、そこから見て行きましょうね。

オプジーボ(一般名ニボルマブ)はがんの特効薬ではあるけど、抗がん剤ではない。
ここはまずしっかり押さえておきましょう。

これは人間が本来体内に持っている

「免疫力」
「免疫機能」

この仕組みを使ってがん細胞をやっつけようという治療法なんですね。

人間の身体は毎日細胞分裂を繰り返し、新しい身体になっていますが、その細胞分裂の中でたまには異常な分裂もあります。これががんの源なんですね。

専門家の話ではこのがん細胞は毎日2〜3千万個は生まれているそうです。

うわー大変!それじゃすぐがん患者じゃん!

と、思いますが、そう簡単にはがんにはならない。
何でか?

さぁ、ここで免疫機能の出番です。

免疫細胞の中にある

「T細胞」

が中心になり、がん細胞を叩き潰し、死滅させてしまうんです。

「T細胞」

は英雄ですね。

免疫細胞の中の「T細胞」のおかげで私たちはそう簡単にはがんにならずに済んでいるわけですから「T細胞」様々ですよね。

ところが敵もさるもの、引っ掻くものですね!

がん細胞は自らを守るために

「PD-L1」

という物質を作り出します。

この「PD-L1」は、先ほどの免疫機能の英雄「T細胞」の中にある

「PD-1受容体」

と結合し、「T細胞」によるがん細胞への攻撃をやめるような信号を出してしまいます。

こうなると、我らが英雄「T細胞」も力を発揮できず、がん細胞が進行してしまうんです。

そこでじゃあ「T細胞」の活動にストップがかからないようにすればいいじゃん!
免疫の働きを止めてしまう

「PD-L1」

を抑える薬💊を使ったらどうだろう?

ま、簡単に言うとそういう思考回路で

「免疫チェックポイント阻害薬」  
 
つまり、オプジーボが登場した訳ですね。

最初は悪性黒色腫に使われたが、その後非小細胞肺がん、腎がんなどで有効とされてきた。

ここへ来ていよいよ

「胃がん」

にもOKとなった訳だ。

従来はがん治療と言えば

「手術」

「放射線治療」

「化学療法」

の三大治療だった。

ここに新たに

「免疫治療」

という分野が開けてきたことになる。

夢のような話ではある。

だけど、この治療法問題が無いわけではない。

先ず値段がベラボーに高い。

最初登場した時は

「三千五百万円」

かかると言われ、これを保険適用にすると、オプジーボで医療保険制度が潰れる!
とまで言われた。
そうした懸念もあって今年2月、厚労省は半額に下げた。
厚労省の試算によれば1日換算の薬価は3万9千円、年間約千四百万円ほどだそうだ。

もう一つの問題は副作用だ。
 
挙げられている副作用は

掻痒(かゆみ)

間質性肺疾患

下痢

甲状腺機能障害

などだ。

もう一つは効果はどのくらいか?
ということだ。

正確には分からないが、20〜30%くらいとされているので、「夢の新薬」ではあるが、「万能薬」ではないことは認識しておく必要がある。

ただ、手術も出来ないと、従来の治療法から見放された患者には、やはり朗報だろう。