22日の新聞各紙一面にちょっと見てギョッとする写真が掲載された。
東京電力福島第一原発3号機の格納容器内の水中ロボット調査で、圧力容器下部で溶けて固まった核燃料(デブリ)と見られる黒い物質が複数個確認されたという。
デブリの映像を見たのはあの事故以来初めてだ。
なるほどデブリってこんな風に溶け落ちてるんだ!と原発事故の核心部分を目撃した思いだ。
東京新聞の一面記事
「溶けた核燃料か 黒い塊
福島3号機 圧力容器の下部」
写真と3号機のカラー図面。
解説を読んで怖くなった。
「内部の放射線量は半導体も短時間で破壊されるほど強烈で、人間は到底近寄れない。依然として、デブリを取り出す道筋は見えない」
「いずれにしても、壊れた原子炉からデブリを取り出した前例はない。米スリーマイル島原発事故の場合は圧力容器はほぼ損傷しておらず、福島第一の収束作業は未知の作業ばかりだ」
デブリ回収という廃炉作業の肝心要のところは全く見通しは立っていない。
これが原発事故の現実なのだ。
じゃあ、廃炉にかかる費用はどのくらいなのか、心配になってネットで調べてみた。
すると、
21兆5000億円
と言う数字が目に飛び込んで来た。
これは経済産業省が昨年12月9日に発表した推計結果である。
原発は一度事故を起こすと廃炉にもこれだけ厄介な手間と費用がかかる。
21兆と言えば日本の国家予算1年ぶんの三分の一に近い。
本当に気の遠くなるような話だ。
日本に原発は何基あるのか?
廃炉が決まっている福島第一も入れると、54基だ。
勿論福島第一の事故の後大半は停止状態にあり、稼働している原発は少ない。
が、国の方針は随時再稼動させていくことにあるようだ。
実はデブリの写真が掲載された同じ日の新聞には原発関連のニュースが載っている。
「伊方3号機差し止め 却下
松山地裁『不合理でない』」
東京新聞はこの日社説で伊方原発の問題を取り上げて、こう指摘している。
「伊方原発は発生が最も心配されている南海トラフ巨大地震の想定震源域にあり、わずか八キロ北を日本最大級の断層である中央構造線が走っている。関東から九州に至る大断層」
「おしなべて原発再稼動に前のめりな司法に対し、原告や支持者の間から『福島をもう忘れたか』という声が上がっていた。
何度でも繰り返す。福島の教訓を忘れたままで、原発を動かすべきではない。
原発事故は二度と繰り返されるべきではない」
私にもデブリの異様な写真が同じことを訴えてくる。