俺の雁木講座 実践棋譜3 | 鳥大将棋部の日記

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部員による日記です。将棋や日常について書いていきます。

今回も雁木の実践棋譜を紹介していきます。

テーマは「44歩を突かない相手をへの対策」


第一図※先後逆にしてあります。

前講座で解説した通り雁木の主な攻め筋は4筋からの集中砲火ですが、相手の工夫で44歩と突かない指方があります。争点が無いのでなかなか4筋から攻めるのは難しいですね。しかしこの場合は角道があり得ないくらい直通なので、いい攻め筋があります。
第一図から
△84銀 ▲55歩
△同歩 ▲同角
△73銀 ▲56銀右
△54歩 ▲88角
△75歩

第二図
相手は棒銀を選択してきました。放置すると8筋が崩壊するので▲55歩、△同歩、▲同角で間接的に受けにいきます。
▲56銀右では、▲54歩もあります。
△75歩はやはり手抜きます。
第二図から
▲35歩 △同歩
▲34歩 △22銀
▲38飛

第三図
ここで密かに狙っていた手があります。
▲35歩!△同歩と取るくらいですが5筋で1歩持った効果で▲34歩の叩きが急所の一発。
角道があり得ないくらい直通しているので△22銀と引かせて、34歩の拠点と22銀の壁で雁木側が少しポイントを上げました。地味ながら終盤で1手くらいは違います。
▲38飛で更に圧力をかけていきます。
そこで後手も反撃に出ます。
第三図から
△76歩 ▲35飛
△74銀 ▲55歩
△86歩 ▲同歩
△87歩 ▲86角

第四図
お馴染みの攻め筋。この筋は何度も喰らいます。攻め潰されることも有りますが、その度に受け方を学んでいけばいいと思います。
「雁木のカウンター」の回で、△86角、▲同金、△同飛、▲77角打ちと言う指方を解説しましたが、76に歩がいるため効きません。
第四図から
▲76銀 △53角
▲37飛 △75歩
▲54歩 △55角
▲73桂

第五図
分かりやすい受け方は金に紐をつけることです。
▲78銀も有りますが、76の歩が目障りなので、▲76銀としました。ここから87の金の紐を巡る攻防が始まります。△53角と味よく飛車に当てて引いてきたので、味よく▲37飛と金に紐を付けながら引きました。
そこで更に△75歩。これで実質銀がお亡くなりになりました。67銀は87飛成りで負けです。
しかし▲54歩~▲55角と先手で迫り良い勝負です。飛車当たりなので、△73桂と受けてきました。ここでは△73角も有りましたが良し悪しは微妙です。
第五図から
▲75銀 △同銀
▲74歩 △64銀打
▲同歩 △同銀
▲88角 △36歩
▲47飛 △57歩
▲同飛 △65桂
▲47飛

第六図
桂頭を狙える形になったので、▲75銀の強手を放ちましたが若干疑問でした。ここでは、▲83歩から連打して飛車道を止め、▲67銀と引く手を作るのが良かったみたいです。
本棋譜は、相手の△64銀打が疑問手で、雁木優勢になりました。
第六図で相手に歩があれば、△57歩で困りますが、歩がないので、これ以上の攻めが有りません。
第六図から
△44角 ▲66歩
△84飛 ▲73歩成

第七図
△44角に▲66歩で完封宣言。なるべく逆転が難しくなる指し手を選んでいきます。
▲73歩成は放置すると相手の飛車が狭いですし、同銀には65銀で、角道を通すことなく桂馬が回収できます。
第七図から
△同銀 ▲65銀
△64銀 ▲85歩
△同飛 ▲86歩
△81飛 ▲64銀
△77飛

投了図
飛車を先手で止めて安全勝ちを目指しました。
最後の▲77飛は一見△66角で攻め手を与えているようですが、▲72飛成が厳しすぎるので成立します。ここで投了となりましたが、やはり飛車成りが受けづらく、54歩、34歩の拠点、22の壁、と飛車に弱い陣形なので、やむ無しと言った感じです。
今回は、44歩と突いてこない相手の対策をテーマにしましたがどうでしたでしょうか?
角道を生かして三筋を攻めました。一見地味な成果ですが、終盤戦を有利に進めるための布石といった感じです。
一気に攻め潰すものも楽しいですが、こういった着実にポイントを稼いでいく指方が、自分は好きです。良かったらお試し下さい!
今回はここで終了します。
次回は実践棋譜4をお送りします。