俺の雁木講座 実践棋譜2 | 鳥大将棋部の日記

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部員による日記です。将棋や日常について書いていきます。

今回も雁木の実践棋譜を見ていただくわけですが、テーマは「柔軟性」本講座で雁木は柔軟性のある囲いだと述べたことがあると思いますが、それを証明できる棋譜が取れたので、紹介したいと思います。

第一図
まずは、お馴染みの雁木囲いです。
お相手は将棋倶楽部R2100位の方。
対雁木の作戦ではあまりお目にかかれない戦形で、どうしようかと悩みましたが、△64歩と突かれたので、三手角を目指しました。しかしここで、△62玉。右に囲われると4筋に駒を集中させても、適当なところで攻め合いに出られて速度負けすると思いました。そこで方針転換。
第一図から
▲47金 △72玉
▲86歩 △62金
▲87金

第二図
三手角は諦め、取り敢えず狙われそうな5筋を補強。更に▲86歩~87金として、囲いを進化(退化?)させていきます。現状相手の戦力は左右に分散していてバランスが良いのですが、攻める場所によっては、左の金銀を遊び駒にすることができると考えました。
第二図から
△55歩 ▲同歩
△同飛 ▲56歩
△51飛 ▲96歩
△同歩 ▲同香
△同香 ▲同金
△91香 ▲98飛

第三図
5筋で1歩持たれましたが、ここで密かに狙っていた▲96歩!端を詰められているので盲点になりがちですが、いわゆる地獄突きと言うやつです。
普通に精算されて△91香と再度設置してきました。ここでは▲95歩もあるところですが、次の狙いが難しく、3筋の金銀に働く余地を与えると思い、速度重視で▲98飛と飛車を大きく使いました。
第三図から
△61玉 ▲95金
△72銀 ▲94歩
△83銀 ▲77桂
△72金 ▲85歩
△同桂 ▲同桂
△同歩 ▲84香

第四図
△96香と金を取ってしまうと、飛車成りが受けにくいので駒損でも先手が指せます。
そこで△61玉と早逃げしてから△72銀~83銀で端を守りに来ました。この将棋はすでに「端を破れば勝ち」と言う分かりやすい展開になっています。
▲95金と突進してから▲94歩と押さえました。
すぐに成れる形なので、▲95歩とはプレッシャーが違います。▲77桂と活用し、左辺躍動で先手優勢です。優勢なときは焦らず慎重に確実に駒得できる順を選んでいけば、勝ちに繋がるとおもいます。
カウンターは相手の力を使って反撃するものなので、こちらが派手に動かなければ、相手も困るのです。絶対に逆転を許さない指し回しを心掛けましょう。
第四図から
△86桂 ▲96飛
△55歩 ▲85金
△56歩 ▲同銀左
△55歩 ▲67銀
△84銀 ▲同金
△56香

第五図
相手は△55歩と再度突いてきました。狙いは▲同歩、△同飛、▲56歩に△25飛と回ることです。
なので、そこで手抜いて▲85金として制圧を目指します。
△56歩、▲同銀左、△55歩、▲67銀と拠点を作ってから、△84銀、▲同金、△56香と勝負手を放ってきました。受け方は色々有りますが、ここでは、相手の攻めを続かせない受け方を選びました。
第五図から
▲58歩 △57香成
▲同歩 △83歩
▲84金 △84銀
▲86金 △95歩
▲同金 △同銀
▲同飛 △84金
▲98飛 △94香
▲95歩 △同香
▲96歩

投了図
▲58歩と受けました。この手に変えて、▲同銀左は、△同歩、▲同銀、△55歩、▲67銀、56銀と絡まれて、面倒になります。
56の地点の効きを減らさないことが重要です。
最後の粘りで、端を手厚くされましたが、冷静に香を捕まえて、勝ちとなりました。
本局は、盲点の仕掛けから、優位を築き、慎重に指し回すことができました。最後まで相手の金銀が遊ぶ展開になったのでますまずな仕掛けだったとおもいます。
雁木は囲いと言うよりも構えと言う感じで、色んな形に変化していきます。
今回は、そのなかでも特に大きい変化でした。
雁木の「柔軟性」を感じて頂けたと思います。
これで今回の講座を終了します。
次回は実践棋譜3をお送りします。