繁殖期になると、雌は雄を求めて徘徊する。気に入った雄を見付けると番になり、さらに保険を掛けたいと思えば餌場にやって来て雄を探す。餌場にはあぶれ雄たちが待ち構えているのを知っているのだ。人も江戸時代までは長屋暮らしの大衆にとって不倫は極く当たり前の日常、それも「兄さん、一寸寄って行かない」と女が主導する。これは雌の已むに已まれぬ種の保存への衝動であり、誰も止められぬ。元始も当時も女性は実に太陽だった。明治の女性解放運動家も、欧化の明治だけが特別な時代だったと知ったらさぞ驚くことだろう。鳥と人との唯一の違いは鳥の繁殖期は年に1度、人は四六時中。人はいつの時代からそうなったのやら。
雌は小魚と引換えに、ちゃっかり雄との性的関係を受け入れる。一夫一妻型の鳥でも生まれ来る3割は番以外の間の子とか。江戸時代もそんなところではなかったか。納得のいく数字だ。
(2016年5月撮影)
M=美味しいよ、如何? F=じゃ、戴だこうかな
M=あ!アドレス教えてよ F=今のこと忘れてちょうだい
6月になると雄たちは、独特のダイビングで魚を捉え、捉えた後は脇目も振らずコロニーへ直行する。コロニーでは雌と雛が餌の到着を待っている。
(2019年6月撮影)
餌場には、番にあぶれた雄たちもいるはずだ。それを目当てに、コロニーに役立たずの亭主と子を残して餌場にやって来る雌もいるだろう。そこでは雄たちは雌への給餌を通じて種の保存に参画できるし、もしかしたらわが子に餌を届けることになるかも知れない。あぶれ雄たちはこうして生き甲斐を手に入れる。
(2018年6月撮影)
M=‥ F=付いてこないで、主人が嫌がるから
昔、現役時代、男の職場に女が給料袋(注)を取りに来たことがある。当時としても珍しい出来事で、給料を入れない夫を訝り夫人が生活資金を取りに来た、いや不倫相手の女がわが子の養育資金をピン撥ねしに来た、と話題になったが、いずれだったとしても結果は似たようなものだ。
(注)昔は給与、ボーナスを袋で貰っていた。
撮影場所 千葉県・日の出海岸など 撮影 S・植木













