私は優秀録音レーベルばかりを聞いている感じがあるが、意外と聞かないものがある。
ECMである。
キースジャレットの一部の作品を除き、あまり近寄ることもない。
失礼だが、世間で言われるほど、音質面で凄いように感じない。
昔は凄かったのかもしれないが、今ではもっと優秀録音があるので、別にという感じだ。
trptkや2Lに比べれば情報量が全然少ないし、クリアーっぽく聞こえるがクリーンでもないし、拡がらない感じ。
また、現代音楽調のカテゴリ不明のラインナップも多いので、距離を置くようになったということもある。
もともと、あまりジャズを聴かないのですね。
ワイドレンジ、クリーン、音場展開を重視する側からすると、昔の録音だから仕方がないが、初期ステレオ録音の定位の不自然さとか、太いかもしれないが解像感が足りず、ナローな感じとか、リマスター盤を聞いていても、テープの劣化に起因する不透明さなどを感じることもあり、オーオタなのに余りジャズを聴かないルートを辿った。
そういえば高音質レーベルと言われる割には、ECMはSACDと縁のないレーベルだった。タワレコがリマスターで出したものと、ごく一部自社で出したもの以外は事実上無い様だ。
分かりやすいクールでクリーンなトーンとデジタルなのにアナログというところを狙ったDSDの厚手のトーンが似合わなかったのかもしれない。
話題を変える。クラシックもグラモフォンのデジタル録音に見られる中高域の輝きなどが苦手で、私はメジャーレーベルのクラシックにも距離があった。だからと言ってデッカ系の録音も、変に冴えた感じが苦手だった。
クラシックのメジャーレーベルで比較的フィットしたのはフィリップスだった。
ややソフト気味なこともあるが、ニュートラルに感じた。
当時あれだけ流行っていたカラヤンを聴かなかったのは、グラモフォンだったからというのは大きい。
当時のシステムと環境だとオケ物の再生がイマイチだったということもあるが、この辺は以前のブログで少し触れた。
その割には、一応フィリップスクラシックから分派したような形のPentatoneの初期の録音はやや中高域が強めのものもあるように聞こえ、フィリップスの雰囲気をあまり感じられず不思議に思ったものだ。
私がSACDを好きなのも、クラシックを聴くけど、メジャーレーベルの音調に馴染めず、好みの音調のレーベルがSACDに熱心だったという事はあるでしょう。
オランダ、北欧を主体とする欧州系優秀録音レーベルが行き着いた先だったようだ。
もう少し話を広げる。
優秀録音と言われながらもあまり聞かなかったレーベルがもう一つある。
テラークだ。
アメリカンなファットな感じがどうしても馴染めず、世間で騒がれるほどのものかと思っていた。音調がファット、響きの量が多めでうまく再生ができなかったのだ。
それから数十年後の今になってようやくまともに再生できるようになり、当時騒がれた意味も理解出来た。
広々とした音場感と、濃厚な音色をようやく再生できるようになった。
テラークくらいまともに再生できなかったのかと言われると恥ずかしいのだが、実際にそうだ。
当時、アメリカで相応の機材と環境が用意できるのであればそりゃこの録音は騒がれたでしょうね。当時のハイエンド機材と相性が良かったのでしょう。
十分な高さもある広い部屋で、アコースタットとか、インフィニティあたりでドーンと鳴らせば、アメリカの豊かさを感じるものだったでしょう。
当時のわが国では、ブルーバッフルのモニターが幅を利かせていましたが、その音はだいぶ距離がありますね。
ハイエンドオーディオという言葉はわが国でも定着しましたが、オリジナルのハイエンドオーディオと言われた機材はわが国では流行らなかった感じで、単なる高額オーディオという意味で独り歩きしてしまい、背景は理解されなかったのはいろいろと尾を引いている感じがある様にも見えます。