過去に山水アンプで使用したのは907iMOSと07Anniversaryだったかな。ポピュラーな製品なのであちこちで同社アンプは山ほど聞いた。
今考えると907iMOSは結構色が付いたアンプで高域はキラッとし、中低域は分厚い感じだった。体温が高い。
07Anniversaryは907iMOSよりはニュートラルではあるが全体的に整い過ぎて艶のある堂々たる音で、これも脚色感があった。
このブランドはアンプメーカーとしてのポジションはあったものの、ニュートラルな製品は少ない感じに思える。
当時のスピーカー事情に合わせて音決めを行っていたのだろうが、いろいろ聞き比べてみるとオーディオブームの仇花というかそういう感じもある。
つくりは凄いが音決めのセンスはいまいちという感じで、ハイエンドへ進むと山水から離れてしまうユーザーが多かったのもうなづけるし、同社がセパレートアンプに弱いのもそういうところなのかなと思った。
プリメインでは天下を取ったかもしれないが、セパレートではアキュフェーズの後塵を拝している部分から脱却できずに消えてしまった。
2302のセパレートもよい製品だと思うのだが、どのハイエンドスピーカーと組み合わせればよいのかと言われるとイマイチ浮かばない。同社はJBLの代理店の権利を失った後はB&W801をリファレンスにしていたともいわれるが、その割には801との組み合わせで同社アンプが選択されたイメージが無い。
国産高級スピーカーとの組み合わせが多かったのかも。
プリメインに強いとセパレートが苦手という感じは他ブランドでも見られる。
ラックスもそういうところがあったが、セパレートの積極的なチャレンジである程度は克服できたとは思う。
マランツやデノンは結局セパレートでポジションを築くことができずに今に至る。
NECも結局A10で終わってしまった。
オーディオ総合メーカーとは言われつつもアンプとJBL以外のカテゴリーでは全く存在感がなく、「サン・トリ・パイ」と言われる、トリオやパイオニアはもう少し幅広いカテゴリーで満遍なくポジションを得ていたにもかかわらず、山水はいつになってもアンプとJBLだけだった。
よく言われるように深刻な労使問題やPXに依存した特異な輸出政策が原因と思われる。
まあ、そのトリオやパイオニアも単コンを作る企業でなくなったわけで、生き残ったがオーディオメーカーではなくなったのだから同じかもしれない。
山水はわが国が景気の良い時代から経営状態が悪化していたといわれる困ったメーカーで、潰れてからネットの中古屋というか修理屋ベースで商材として目をつけられたからなのか無駄に持ち上げられているブランドでもある。
そんなに山水というならメーカーが存続しているときに買ってやれよと思った。
買わないから潰れたのでしょうが。
無駄に凝ったパーツと回路が仇になって、同社の破綻後のメンテは世間で言われるほど容易なものではないと思う。
特定パーツに依存するという事はパーツを変えれば音は変わることは間違いないし、街場の修理屋が入手できるパーツはたかが知れている。
そういうところも注意したいものである。
まあ、大半の人は音ではなく情報を聴いて満足しているのでしょう。