もう40年前の話。一番初めに使ったコンポーネント用のスピーカーはP‐610だった。

初めは、場所がないので小さな箱だったが、後に標準箱とした。

ご存じの通りあの箱は奥行きが深いので難儀した。部屋が狭いので壁との距離が取れないわけだ。

そのためボンついた音だった。当時の部屋は賃貸で、壁がスラブなので低域がきついわけ。

それでもエネルギーバランスとしては以前の小さな箱よりはましなので満足していた。

しかし、紙臭いがさついた音だった。

そういう傾向があるとは思うが、何も考えず、ケンウッドとか山水のプリメインで鳴らしていたのもよくなかったと思う。

原設計が古く、球アンプで鳴らしたほうがよかったのでしょう。

オーバーダンピングだったのではと思う。この手のミスを結構やってしまう。なんでも力任せにすればよいわけではない。

ツィーターをいろいろ乗せて楽しんでみたが、結局何もしないほうがよかった。

防湿処理はされていたと思うが、梅雨になると音が悪くなった。

初期の610も聞いたが、センターキャップをチタンにしたのは意味があるのだなと思った。

2S-305が欲しくなったが、無論当時は買えるわけもなく、当然ながら狭い部屋であんなものを入れたら大変だ。

あれは専用ワゴンに乗せて、高さを稼いで使うものだから、なおさらだ。

そういえば、なぜP-610なのか。

それは簡単で、フォステクス系の明瞭な音が苦手だったからだ。

テクニクスやコーラルも苦手だった。それだけの話。

今はフルレンジだっていろいろあるが、当時はネットもなく、海外の様々なユニットを手に入れるのは難しかった。

昔の方が良かった面もあるが、クラフトに関してはネットのおかげであちこちから入手ができるのは悪くないと思う。