よく訪問するブログでチェンバロの話をされていた。
このブログではよく、ピリオド楽器でのバロック音楽の録音をソースに使っている。
理由は簡単で、再生が難しいからだ。
再生の難しいソースが再生できるようになるのがオーディオの楽しみと考えているからだ。
楽器そのものの音量が小さく、モダン楽器と音色が異なり、ちょっと細くて突っ張った感じの音で、デッド過ぎる環境だとその癖が強調されやすい。
ギシギシ、キーキーといった再生音になりやすい。
だから、聞かない人も多いのだが、この手の音楽こそ録音フォーマットの拡大の恩恵を最も受けている音楽と思う。
高域方向の周波数の拡大とDレンジの微小方向の解像度改善が最も効いているように思えるし、だからそれをきちんと再生したい。
とはいえ、きちんと再生できたリファレンス的な音を聴く機会が無いとなかなかうまく鳴ってくれないので、再生が億劫になりやすいと思う。
比較的容易にこの手の録音を再生したいのであれば静電型ヘッドフォンで聞くのが手っ取り早い。
私の場合、住環境の悪い期間が長く、静電型ヘッドフォンをシステムの一部として利用してきたことは以前書いた。
今は静電型ヘッドフォンもいろいろあるようだが、昔は事実上STAXしかなかった。だから同社製のものを使っていたのだが、これだと、多少のシステムとしての使いこなし、主に電源環境に気を配るだけで、スピーカー再生では得難い、響きの多さ、濡れた質感が容易に出てくる。
この手の音が出るとギシギシ、キーキーから一転し、ピリオド楽器でのバロック音楽がとても楽しく聞こえてくる。
これをルームチューニングを用いてスピーカー環境で実現しようというのはシステム調整の推進力になっている感じである。
安易に好みで逃げることをせずに、録音の違いをきちんと出していくことが必要だ。