家庭での再生だと音場と音像の配置を録音の記録されている情報そのままでは再現できないので、再配置するようなことになると思う。

これが再生時に感じる違和感の原因でしょう。

原則論としてスピーカー角度とリスナーとの距離は正三角形60度で行うことになっている。

録音側もそれでモニターしているのでしょう。

しかし家庭だと正三角形60度でスピーカーを設置しようとすると、長方形の部屋が多いだろうから、リスナーとスピーカーの距離を取ることが出来ないことになる。

長手方向だと無理。短手方向なら60度の角度は確保できてもスピーカーとリスナーの距離及びスピーカーと背面壁との距離を確保できないケースもあるでしょう。

カタログに書かれていないことが多いが、マルチウェイなら各ユニットの信号を空間で合成するので本来であればバッフル面からリスナーまでの距離を考える必要が出てくる。

つまり、スピーカーの各ユニットの空間合成を行う距離と、スピーカーセッティングの正三角形を両立させる必要が出てくる。

出来るだろうか?

我が家が狭いのはわかっているが、これができる人は意外と少ないのではないだろうか。

小型スピーカーでも、壁とスピーカーの距離を確保しながらこの関係を維持できる人は少ないと思う。

LS-3/5Aくらいの大きさなら可能な人も増えるでしょうが、低域再生のため、相応の口径とエンクロージャー容量を確保しながらこのセッティングができるか否か。

で、やむなく、多くのユーザーは二等辺三角形のセッティングになっていると思われる。

これでは録音時の定位をそのまま再現することは難しい。

なぜこんなことを言うのかというと、定位をどの幅で決めるのか疑問に思うことが多いからだ。

左右スピーカーのバッフル側面内側間で定位が並ぶように録音しているのかもしれないが、我が家ではそのように再生すると音色での違和感が大きいことがある。

幅方向として左右スピーカーのバッフル外側間で音像を並べたほうが違和感が少ない傾向があるのだ。

これだと、スピーカーが音像の一部になってちょっと違和感があるのだが、視覚的な違和感はともかく音色面では違和感が少ないように思える。

弦楽四重奏でバッフル側面内側間できれいに弧を描くように定位させると、センターヴォーカルの定位がボディ感が無く線状定位になるケースが時折散見されるので、いろいろやった結果、そうなったのだ。

スピーカーの角度をもう少し内振りで振ってみたらどうかとも思うのだが、それはそれでまた問題が発生するのでどうしようかと考えている。