音源(録音)の問題に注意する人が意外と少ない印象がある。

最終的な音質は音源であって、これが上限だ。

あまり加工しない録音、比較的収音空間の響きが載るものを主体にシステムを調整する人とそうでない人の間にはかなりのギャップがあるように見える。

システム評価の軸の話だ。

オーディオシステムの改善のためには、聞きたい音楽ではなくともオーディオ的に素直な録音も積極的に聞くことで録音をシステム評価の軸として使う上での限界を極力無くしていくことも必要だと思う。

音像はともかく、音場に関してはマルチトラックレコーディングではどうしてもある種の作為的な感じが否めないという議論は昔から存在する。

このような部分はもう少し、ナチュラル系の録音をよく聞くことで自身のリファレンスを作っていくのもよいと思う。

時折触れている自然環境音をリファレンスにするのもよい。

音場の議論が少ないのは、スピーカーセッティングの自由度が低い場合や、室内音響の問題を解決しないと実感しずらいというのがある。

ポピュラーのマルチトラックレコーディングは環境の問題をある程度吸収して一定のバランスで鳴らすことについては相当に力を入れているので、意識しないと問題化しないというのもある。だから、聞きたい音楽ではなくともオーディオ的に素直な録音も積極的に聞く必要性が出てくる。

オーディオファイル向けポピュラーでも一定のレベルはクリアできるのだが、やっぱりポピュラー録音で試聴環境の差を吸収してしまう。

大昔の録音はナチュラルという意見もあるが、リマスターの問題もあり、頭でナチュラルと思い込んでいることでリマスターの加工が見えていないケースもあるように見える。

アナログディスクについても、ノイズレベル以下の音は消えるか、ノイズにまみれた音だろうし、高域が伸びる的な議論もハード側の共振が乗っている面も考える必要がある。

また定位については初期ステレオを録音の中にはステレオ効果を強調した録音があり、この定位が本当にナチュラルなのか考える必要がある。

大昔の録音は定位に関しては決してナチュラルなものは多いとは思えない。

昔はよかった的なフィルターを排除する必要がある。Dレンジの狭さからくるエネルギーバランスでの充実感の確保が容易な問題もある。

一見、ニュートラルな楚々と聞こえる録音をシステムのボトルネックを少しずつ改善して魅力的に仕上げるという視点も必要でしょう。

鳴らすというより引き出すという感じでしょうか。

高級ヘッドフォンの音に音場を加えて再現させるようなイメージが分かりやすい。

そのためのソフトとして時折紹介するのが欧米系のマイナーレーベルのクラシック録音だが、とっつきにくいというのであれば、長岡系優秀録音が一番手を付けやすい感じか。

時代背景からCD化されたものは少ないが、熱心な人が以下のページを作っている。本を買ってあげるのが良いけれど。

https://www7b.biglobe.ne.jp/~konton/gaibanAclass.html