インフレなのかスタグフレーションなのかという感じの昨今だが、オーディオは売れないし、量も出ないからひたすら値上げで対応してきたから、社会がインフレを実感するはるか前より価格のインフレ化がスタートしていたと思う。


これまでは一部の輸入品ばかりであったが、国内メーカーも背に腹は代えられず、どんどん値上げするようになった。


この調子では、戦争が終わったからと言って値下げされるとは考えられず、価格は高止まりなのでしょう。


80年代の物量競争を代表として、家電的横並び競争から脱することが出来ず低収益構造のまま、縮小均衡され現在に至るわけだが、要は、適正な利益が取れないわけだ。


国産だと高級機といっても法外な価格が通用するブランドは皆無だ。


昔ゴールドムンドのCDプレーヤーの中身がパイオニアの安物のプレーヤーだったという話はご存じだろう。


近視眼的な物量投入量でしか評価できない人はそれに怒りを覚えたかもしれないが、ああいうことがある程度できないから日本のメーカーは消えるばかりでもあるわけだ。


零細企業のゴールドムンドだからアナログ部だけ一応自社で作ってメカやデジタル部は既製品流用というのは一つの考え方ではある。古いユーザーであれば初期の海外製CDプレーヤーはフィリップスの既製品のプレーヤーの中身をほぼ流用してアナログ部を少々いじったものがいくつもあったことを覚えているだろうか。これをゴールドムンドはイメージしたと思われる。


ユーザーが世代交代をしたのでそのことを知らない人が多かったのでしょう。


無論初期の海外製CDプレーヤーより当該のムンドのプレーヤーは高価だとは思うが、世界有数の物価高の国スイスなので日本の発想で見るのは問題を見誤ることになる。


ここまで鮮やかにゴールドムンドが割り切るのではなく、それが実質パイオニアのものと変わらない構成であったとしても、自社で基盤を作り、実装したものであれば天板を開けてみると一応は自社で作ったように見えるので、ここまで話題にはならなかっただろう。


今後のスタグフレーションを考えると、企画、設計の割り切り方も考えていかないとただでさえ減る一方のメーカーがさらに減ってしまう。ユーザーとしては出力端子からの音が改善してくれればよいわけだし、ユーザーの変なこだわりのせいで無駄に高くなるのは問題だ。