ユンギの体温が、私の手を熱くする。
 
体温感じる妄想の世界へようこそ。
 
トリセキセイインコ青
 
 
 
 
 
ーーーーーーーーーーーーーー
episode  3の5
 
 
 
 
 
 
タクシーは街を抜けて、閑静な住宅街を走っている。
 
酔った身体に静かな揺れが心地よい。
 
私の右手と、ユンギさんの左手はつながったまま。
 
 
 
(まだ一緒にいたい。ここにいて。)
 
 

彼の低い声、
タクシーに乗る間際に言った言葉が、脳内を何度もリフレインする。
 
 
私も子供じゃない。
どういうことか分かっている。
 
緊張して、ユンギさんの顔が見られない。
 
 
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーー

窓の外を見ながら、振り返る。
 
 
私は、何年も仕事に全てを捧げてきた。
 
会社で成果をあげて、自分の立ち位置を確保するのに必死で、女である自分はどこかに置き忘れたまま。
 

そんな自分がナム先輩のチームに配属されて、人生は仕事が全てではないと思い知らされた。同じ24時間を生きているはずなのに、ナム先輩は驚く程、時間の使い方が上手い。
 
サイクリングや美術館、寺院巡りなど、自分を癒す時間をしっかり確保している。
 

私も先輩に触発されて、学生時代に習っていたピアノを再開した。あとは月に一度のお菓子教室。女子力を取り戻したい。そんな矢先、私はユンギさんと恋に落ちたのだった。
 
彼は、今まで頑張ってきた私に恋の天使がくれた御褒美なのかもしれない。
 
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
 
タクシーが止まった。
私たちは手をつないだまま、ユンギさんのマンションへ。鍵はカードキーになっていて、ホテルみたいで驚いた。
 
 

靴を脱ぐ間もなく、ユンギさんが私を抱きしめる。
 
 
 






 
 
やっと、俺のところに来た。
 
どこに行ってたんだ、お前。
 
 


ユンギさん・・

それはこっちのセリフです・・・(笑)
 



驚くほど着やせするけれど、実はすごく鍛えている身体。たくましい胸板。甘い香り。
 

彼の腰に、私もそっと腕を回した。
 
ユンギさんの胸に抱かれて、資料室以来の彼の体温にたまらなく泣きそうになる。
 
 
 
 

ユンギさんが私の額に、自分の額をくっつけた。
 
 
目と目があって、私は潤んだ瞳で微笑む。


彼も目を細くして小さく笑う。
 
 
 
 

 
 
一番甘い雰囲気のところで、ユンギさんのスマホが鳴った。
 
 
私を抱きとめたまま画面を見て天を仰ぎ、着信をそのまま無視しようとした。
 
 
 
出てください。大丈夫。ここにいますから。
 
 
 

ユンギさんは、ごめん。と肩で息をして見せた。
 
 
 

「はい。何ですか。ヒョン・・・。」
 
 
 
電話の向こうで明るい声が、ヤーヤー言っている。一人で話して一人で笑っているのか、とにかく明るい声。ユンギさんと親しい人だと想像がつく。
 
 
最初はムスッとしていた彼が、呆れ顔で歯を見せて笑い始めた。
 
 
 
「もう!何時だと思っているんですか。切りますよ。また連絡します。」
 
 
 
一方的に言って、電話を切ってしまった。
 
 



どなたですか?
 
 
 

・・・俺の、面白いヒョンだよ。ジンさん。
 
ものすごいイケメンだけど、顔と行動が合ってないんだ。今度紹介するよ。
 
 

さ、上がろうか。
 
コロナだから手を洗ってうがいもしよう。
 
洗面台はこっちだ、おいで。
 
 
 
よく笑う先輩からの電話で私たちの酔いも冷めて、
 
私は愛しい人と二人きりの部屋で、この夜を迎えた。
 
 
 
~ Continue ~
 
 
 
 
3の1セキセイインコ黃

 

3の2セキセイインコ青

 

3の3 オカメインコ

 

3の4セキセイインコ青


密室シリーズは、3の1~3。
今夜シリーズは、3の4~6です。
6だけは、キュンキュンを詰め込み過ぎたので、アメンバー限定にしています。読みたい方は申請ください。

3の6セキセイインコ黃   相当SUGARを詰め込みすぎた💜


 
 
 
 
素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。