【2】「背中からアームスを使いなさい」は、イメージや意識だけでは使えない



バレエのアームスは、少し肘を曲げた状態で、アン・バ、アン・ナバン、ア・ラ・スゴンド、アン・オーのポジションを必ず通って動かすことが決められている。

「肩はそのままでアームスを動かしなさい」と教えられ、アームスは見た目の形でまねをすることになる。

どうしても大きな腕の動きに眼がいってしまうので、腕だけを動かしてしまいがちになる。この時、肩甲骨まわりが固まっていれば肩先からのアームスになってしまう。



背中からアームスを使うためには、肩甲骨や鎖骨まわりが緩んでいることや、手首を固定した状態で上腕骨の内旋ができることが必要となる。

鎖骨が後に回転して、肩甲骨が肋骨の上を滑りながら引き下げられれば、アン・オーで肩は上がらない。

ア・ラ・スゴンドでは、遠くにアームスを延ばしてから上腕骨を内旋させると、肘が後に向き、肘が少し曲がった状態で持ち上げられ、下腹部から肘までのつながりが感じられる。広背筋もしっかり使われて、背中からアームスを使えた状態になる。

肘が少し曲がるのは結果であって、単に曲げて形を整えているのではない。



鎖骨、肩甲骨まわりが緩み、腕の分離操作ができ、鎖骨や肩甲骨から手先までの連携ができることで、初めて背中からアームスが使えることになる。



≪補足≫


「水の中で動かすように、アームスを動かしなさい」とよく言われるが、実際に、鎖骨を後に回転させ、肩甲骨を引き下げた状態にすると、アームスは水中に浮いているように軽くなる。

実践的には、プレパレーションで、アン・バからア・ナバンにアームスを移行させる時に、鎖骨を後ろに回転させてからア・ラ・スゴンドに開くと、水の中のような軽い状態をキープできる。


Author:コツ(骨)トレ愛好家 F.S(愛知県 女性:ジャズダンス、バレエ愛好家)


監修:TriMind

http://www.zenshin-k.com/index.html





【1】「骨盤を動かさずにルティレ(パッセ)にしなさい」は本当?



体が緩んでいて、体の連携ができていれば、骨盤の中心を保ったまま骨盤を回転させてルティレの状態が作り出される。外からは、骨盤は殆ど動いていないように見えるが、体の中で骨盤は回転している。



ところが、骨盤の周りが固まっていると、この回転が起きないので、ルティレにしようとすると、お尻が持ち上がり骨盤が傾くことになる。



あるいは、骨盤が傾かないようにガチガチに固めて、不必要なところに力を入れてルティレのバランスを取ることになる。



体にとって自然な動きが前者で、余計な無駄な力はいらない。後者は不自然な動きなので、余分な力を入れて苦しくなり、体も痛めやすい。



年を重ねるほど体は固まっていくのに、固めた体でバレエをすると、より体を固めて使うことになり、ますます硬く苦しい状態になる。



インナーマッスルが使われず、外側の筋肉を必要以上に使った踏ん張り立ちになり、ぎこちない動きになる。



この固まった体を、まず緩めて、連携させることで、はじめてバレエ本来の体の使い方ができ、より自然で効率の良い、楽な動きが身についていく。



体を緩めて、連携させるのに非常に効果が高いトレーニングがコツ()トレなのである




≪補足≫



「ルティレの足の運び方」



ルティレをする脚は、足の中心(宙芯)で回転(踵と爪先を入れ替える)させて、足を恥骨に向って引き込む感覚で膝まで上げる。



足で床を蹴るのではなく、つかんで引き込むので、足の中心は、軸脚から外れず安定した立ち方ができる。



また、ルティレは、体幹内操法の脚振り2の動作なので、ルティレにした膝と、反対側の脇が張り合う感覚が生まれてくる。




Author:コツ(骨)トレ愛好家 F.S(愛知県 女性:ジャズダンス、バレエ愛好家)


監修:TriMind

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