競争地位別戦略 | 逆算戦略アカデミー

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ここでは、”とらよし”が集めた情報を個展として掲載します。
掲載は随時増えていきますが、ここで掲示されている情報は
どんどん皆様に取り込んで頂いて、皆様の日々を豊かに過ごす
ための糧にして頂ければ幸いです。

競争地位別戦略とは

 

競争地位別戦略とは、各市場における

自社の立ち位置(地位)を知っておく事で

大手企業であれば守り方

中小企業やベンチャー企業であれば

その戦い方を定義した戦略論です。

 

『同業界内における競争上の地位

によって取るべき戦略の定石は異なる』

 

といった考え方を基にマーケットシェア

の観点から企業分類を

「リーダー」

「チャレンジャー」

「ニッチャー」

「フォロワー」

の4つに分け、その地位に応じた

戦略目標を立てる事で、本来の

課題を浮き彫りにします。

 

 

 

 

※リーダー

「フルライン戦略」

 

業界内で最大の市場シェアを

占めているトップ企業であり

「良質」な経営資源を「豊富」に

有する企業です。

「価格変更」

「新製品導入」

「流通範囲」

「プロモーション」

などの多方面で他社をリード

しており、業界内で最も認知度の

高い企業であると言えます。

 

市場シェア率の維持・拡大には

「市場規模の拡大」が不可欠であり

新たな市場の獲得を図る事が

主な役割になります。

 

また新たな企業に新規参入されないよう

「参入障壁」や「移動障壁」を

築くなど、業界全体の利益を守ることで

自社の利益を確保する事が重要に

なってきます。

 

リーダー企業の基本戦略は

「フルライン(全方位)戦略」であり

戦略定石は以下の4つです。

 

 

①市場の拡大(周辺需要の拡大)

 

リーダー企業は競合他社に比べ

良質な経営資源を有し、業界内で

最も認知度が高いことから

市場規模を拡大させることで、必然敵に

市場シェアの獲得が可能です。

(New Standardを意図的に創る事が可能)

例えば夜のシャンプーに加え

「朝シャンプー」が日常化することで

シャンプーの消費量は単純に

「二倍」になりますね。

一般的に朝と夜で異なるシャンプーを

使い分けする人は少ないと思いますので

朝シャンプーの市場を開拓することで

売上の向上と市場シェアの獲得を同時に

達成する事が可能となります。

 

 

②非価格対応

 

「チャレンジャー」

「ニッチャー」

「フォロワー」などの

シェア獲得下位の企業が繰り広げる

価格競争に「安易に応じない」という

ことが可能になります。

業界平均価格が下落すると

最も影響を受けるのは市場シェア率の

高いリーダー企業です。

よって、どの業界においても一般的に

リーダー企業から価格競争を

持ちかけることはありません。

 

 

③同質化

 

チャレンジャー企業が行ってきた

差別化戦略に対し、豊富な

経験資源を持ってそれを「模倣」する事で

チャレンジャー企業の差別化戦略を

無効化させてしまう戦略です。

 

同質化競争は

「経営資源の豊富さ」

「認知度の高さ」

そして「市場シェア率の高さ」など

あらゆる点で優位に立つ

リーダー企業に圧倒的有利に働くため

同質化することでさらに市場シェアの

獲得を図ることができるのです。

 

 

④最適シェアの維持

 

「自社が最も顧客化したい消費者層のシェア」

を維持する事に努めます。

市場シェアは必ずしも高ければ良いわけではなく

「投資コスト」と「収益性」のバランス(ROI)で

判断しなければなりません。

50%のシェアを60%に伸ばす為のコストと

70%のシェアを80%に伸ばす為のコストは

同様ではなく100%に近付くほど効率は

下がります。加えてシェア率が高くなるほど

「顧客化したくない消費者」も取り込む事に

繋がる為、経営効率の悪化を招く恐れが

生じてきます。

また独占禁止法の問題にも多大な

コストがかかる懸念が生まれますので

むやみにシェアを拡大させるのではなく

「顧客にしたい消費者層」を増やす方に

コストを割く方が賢明ではないでしょうか。

 

 

 

※チャレンジャー

「差別化戦略」

 

業界で2~3番手に位置する

準トップ企業であり、常にトップの座を狙う

為にリーダーに挑戦し続ける企業です。

 

市場シェアの拡大には

競合他社への攻撃が不可欠であり

攻撃対象の弱点を突くなどして

シェアの獲得を図ります。

 

チャレンジャー企業の主な戦略は

以下の3つになります。

 

 

① 直接対決

 

リーダーと同様の領域で真っ向から

勝負を挑み、純粋に品質と価格の

競り合いにてシェア獲得を図る

(純粋な殴り合いです)

 

 

② 裏どり攻撃

(競争範囲の拡大)

 

リーダー企業がまだ強化していない

領域を探し出し、その領域を特化

させる事でシェア獲得を図る

(差別化の強化です)

 

 

③ シェアの底上げ

 

自社よりシェアの小さな企業から

シェアを奪いながら自社シェアの

拡大を図る

(自社の規模アップです)

 

 

リーダー企業との戦いでは

上記のいずれの戦略であれ

「リーダー企業との差別化」

「コスト競争力」

「ブランド優位性」

は不可欠であり、リーダー企業に

『同質化』されない差別化戦略を

図る必要があります。

 

 

 

※ニッチャー

「ニッチ戦略」

 

業界全体のシェア率は高くはないが

ニッチな領域に特化することで

特定市場では高い支持を

得ている企業です。

 

量的な経営資源では

「リーダー」や「チャレンジャー」に

勝らなくとも、経営資源を

特定領域に集中投下することで

優れた技術・ノウハウ・サービス

そして仕組みなどを構築し

特定市場においての高シェア率を

獲得していきます。

 

取り扱い製品や販売チャネルを

限定するなど、扱う市場を『専門化』

することで高収益を目指します。

 

 

 

※フォロワー

「模倣戦略」

 

チャレンジャーのように

シェア率 No.1を狙う位置になく

ニッチャーのように特定市場での

独自性も有さない企業です。

多くの個人起業家はここに

当てはまるのではないでしょうか。

 

多大な経営資源の投下が難しいため

多くは業界リーダーに追随し

上位企業の模倣により合理的な経営

図る事が多いのが特徴です。

 

なお、最も多くのライバルを抱えるのが

このフォロワーであり

競合他社からの攻撃や報復を回避

しながら市場シェアの獲得を図ります。

 

フォロワー企業の主な戦略は

次の2つです。

 

① 経験の蓄積から

オリジナリティを生み出す

 

② 模倣にアイデアを付帯して

オリジナリティを生み出す

 

上記のいずれであっても

オリジナリティは不可欠であり

模倣であったとしても

「全てを模倣する」のではなく

そこに少しの工夫を加える事で

差別化を生み出す必要があります。

 

大切なのは、消費者が価値と感じる

「他社との明らかな違い」を生み出す

事にありますので、小さな積み重ねから

差別化戦略を図ることが重要になります。

 

 

 

自社のポジションを明確に把握し

その戦略を見極める為にも

「地位別戦略」で

より「勝てる」企業を目指してみては

いかがでしょうか。