この収容所は、同じ敷地内に女性収容所があることは既に触れた。
通常、こういった場所は、外の世界からは遮断され、情報も限られ、自由がなく、規律正しい生活を送るもので、自分もそういった生活を覚悟していた。
ところが、ここは、外の世界が見え、部屋の中とはいえ常に自由時間で、移動の時も掛け声もなくだらだらと歩いている。
しかも、我がC棟の横には女性収容所があるのだ。
C棟は敷地内中央に位置しているため、女性収容所日に出入りする場合、必ずC棟の前を通らなければならない。日に何度も前を通るが、このときは金が打ち鳴らされ、収容者は全員部屋の中で着席し部屋の奥側に顔を向けていなければならない。外でエクササイズしている連中はその場に着席し、彼女たちに背を向けていなければならない。とにかく、女性収容者の姿を見せてはいけないのだ。クッキーも同様。
しかし、クッキーICの場合、看守のアシスタントをしているため、背を向ける必要はなく、堂々と彼女たちを見ることができる。見たからといって何ができるわけでもないが、多少興味はあった。
彼女たちは、麻製の大振りのパジャマのようなものを着ていて、色は、淡いクリーム色。ショートヘアの者以外は、皆おかっぱ頭となっている。
見慣れてしまえばどうってこと無いが、普段見れない連中にとっては刺激的過ぎる光景だ。それを考えると、女性収容所が同じ敷地内にあるのは、やはり、ありえないことだ。
ある日、一人のベトナムが入ってきた。まだ若く、18歳という。彼は、地下鉄で集団すりを働き御用となった。聞くと、実の姉が一緒に御用となっているが、どこに収容されているのか分からないという。
早速、Mr Singhに報告すると、看守用PCのデータベースで探そうということになった。このデータベースは、収容者一人ひとりのファイルが写真付き(髪を切られる前の写真)で保管されているため、名前か登録番号さへ分かれば、検索は簡単だ。しかし、困ったことに、このベトナムは英語が全く分からず、姉の名前のスペルも分からない。国籍と入所日で何人かピックアップし彼に見せてようやく見つけ出すことができた。やはり、隣にいる。姉弟揃って異国の同じ収容所にいる...普通、ありえない話だ。
この検索作業に二日かかったが、おかげで、大半の女性収容者の写真を見ることができた。ほとんどが不法滞在で、夜か水の世界にいた連中なので、若くて、見た目の良い娘が多かったことには驚いた。